InDesignって何ができるの? 同人誌制作向けの機能を解説【盛れる! グラフィックデザイン部】

グラフィックデザインってなんだか難しそう。誰か親切な人が教えてくれないだろうか。できれば優しいギャルだといいんだけど……。そんなことを考えていた初郎(ういろう)君のもとに、どこからともなくグラフィックデザインに詳しいギャルが現れました! グラフィックデザインの初歩を学ぶ連載です。
- 初心者向けInDesignの機能紹介
- 「フレーム」「親ページ」の概念
登場人物
ぎゃるの
グラフィックデザインに詳しい謎のギャル。その時の気分で優しくしたり詰めたりする。
初郎(ういろう)
グラフィックデザインについては右も左もわからない。できれば優しいギャルに教えてもらいたい。
InDesignは難しくない!
うーすういろー。
今日はちょっとぅちのパイセンも来てるんだけど、インして良い〜?
毎度毎度5階のベランダからインするのやめて欲しいんですが……。
(ぎゃるのさんのパイセンってことは、やっぱりギャルだよな……)
は〜……仕方ないのでインしてどうぞ。
パイセン、どぞー。

……はじめまして……。我輩、印出座院(いんでざいん)と申す。
あ〜……なんかもう「魁!漢!」って感じの人が来ちゃったよ……。なんなんだぎゃるのさんの交友関係……。
今日はこの印出座院パイセン略して印パが、ういろうにInDesign略してインデザの重要性をどうしても伝えたいらしくって。
(先輩なのになんか雑な略し方するなぁ……)
InDesign聞いたことはありますが、イラレでできることがほとんどなんですよね? じゃあ要らないかなーって。

喝(かぁつ)っっ☆☆☆☆☆☆☆
ヒイ!!! 目、キレイ……。
……失礼。ういろう殿は自身も同人即売会へ参加されており、同人関係の方々からの依頼が多くあると伺った。本を作るならInDesign一択であるぞ。
いやでも、なんか難しそうですし……。
Illustratorが使えるなら問題ござらん! 慣れていけば、同人小説や漫画本、書籍や雑誌など「エディトリアルデザイン」の仕事を受注できる可能性もありますぞ。
おお! なんかカッコいい響き! やります!
チョロすぎて草〜。

イラレ? インデザ? どっち
んじゃまずはぅちから、イラレとインデザ(InDesign)の違いについて教えておくねー。
とりまざっくりイメージまとめてみた。

なるほど、エディトリアルって雑誌とか書籍の編集を表す言葉なんですね。
これまで作ってきた表紙やチラシ、DMとかとはまた違いそうですね。
媒体や企画にあわせたトンマナを意識したり、デザイン的発想したりも必要だけど、文字や写真などの情報量が多い分、整理する力が求められるんだよね〜。
だから組版(※)に特化した機能が充実してるインデザインが良きでは?っていうワケ。
※文字や図版(写真・イラストなど)を見栄え・可読性・デザイン意図を明確にレイアウトすること
情報整理といえばお品書きですけど、ペラ(一枚)物でもInDesign使った方が良いんですか?

商品点数がすごく少なかったり、毎回デザインを作り替えるつもりなら必要ないかも。
でも、同人誌即売会のお品書きって、参加のたびに既刊と新刊の組み替えがあるっしょ。それから文字数がそこそこ多い場合もあるよねー。そういう場合ならインデザ使った方が、マイナーチェンジしやすくていいかも。ペラかページものかにかかわらず、ある程度の文字数があるなら、インデザって風潮あるよね。
なるほど! じゃあイラレ解約してInDesign入れます!
いや早まるなし。イラレかインデザどっちかしか持てないけどグラフィックデザインしたい!っていうならイラレの方が良きだけど……。2つのソフトを使い分けて並行作業するのがさいつよだと思うよー。

そうなんですね! 危なかった〜。
はっはっは! ういろう殿はあわてんぼうであるな!!!
なんでもフレーム、とにかくフレーム
では、ここからは我輩が。ういろう殿、まずは試しに、我輩のInDesignを触ってみるがいい。
あ、ありがとうございます……!
なんかUIはイラレに似てて、ツールバーとかも見慣れた物が多いですね。
うむ。まず、イラレの操作にある程度慣れたものがInDesignを触ってみてまずつまずくのが……。
あの、これ文字が打てないんですが???
である。InDesignはテキストも画像も全て、先にフレームという容れ物を用意してレイアウトするのである。ういろう殿、テキストツールを選択した状態で四角を描くようにドラッグしてみるがいい。
あ、イラレでいうテキストボックスみたいなやつが! 文字が打てそうです!

うむ!!! 画像やイラレで作ったグラフィックなどは、グラフィックフレームにファイルをドラッグすることで配置できるぞ。(イラレと同様に「ファイル>配置」でも可)
しかしこの…事前に容れ物を用意しておくやり方、慣れるまではちょっと難しそうですね。
わかるぞ。だが、デザインにしろイラストにしろ、まずはアタリをとるであろう。それと同じ感覚で美しく整理された紙面を想像することから始めるのだ。
親と子、ページの概念
さて、続いて、これを置いてInDesignを語ることはできまい。
ページ機能について。
これまでイラレのアートボードを複数枚作ってページ物を作ったことあるんですが、それとは違う感じですか?
うむ。InDesignのページ機能の魅力は語り尽くせぬが、最も素晴らしいのは親ページ機能であろう。

へー! 親ページに固定したい要素を入れておけば、全てのページに反映がされるんですね。確かにこれは便利だなあ。
例えば普段趣味で描いてる漫画を本にまとめたい時とか、柱(書籍名や各章のタイトル)やノンブルを親ページで指定して、あとはひたすら画像を貼っていけば漫画本が完成しちゃうってわけ〜。
てことは……同人誌の本文まで僕がデザインすることが可能ってことですね。表紙のご依頼はよくいただくのですが、一冊丸ごとできたら素敵ですね〜!
ね、世界観が統一出来て良いよね〜。
他にもある、インデザだけの良機能
他にもまだまだ紹介したいことがあるのだが、三日三晩かかってしまう。
あ、それは本当にご勘弁いただきたいんで、さらっとで大丈夫ですよ。
うむ。では……
「段落スタイル」と「テキストスタイル」、そして「表作成」についてプレゼンして終わるとしよう。

スタイル機能もすごいですが、イラレにもある「連結」がこんなに簡単にできるのは素晴らしいですね。
バトンを繋ぐリレーみたいで気持ち良いよね〜。
ですね!
文字がメインのインタビュー記事とかをデザインすることになったらすごく便利そう。表作成もイラレでやろうとするとすごく大変な上に体裁が崩れがちですが、InDesignなら見た目整いなデザインできそうですね!
うんうん、イラレが盛れるデザインなら、インデザは整いデザインだねー。とりま今回はインデザインでできることをざっと説明した感じだけど、魅力伝わった?
はい! イラレでできることも、InDesignでやればさらにクオリティ高く仕上がることが良くわかりました! 前向きに導入検討したいです。
ういろう殿……。
感謝の気持ちに、我輩がインデザインを使って作った小説を贈らせてもらう。是非一読して感想を聞かせてくれ。
タイトル
「ふれ〜む⭐︎おぶ⭐︎らぶ
泣き別れなんて
イヤですぅ〜(涙)」
拝読いたします………こ……これは……
(タイトルの時点で嫌な予感がしたけど語彙力無い上に表現が独特すぎて全く意味わからないし、肝心のストーリーが全然おもしくない……まずいぞういろう……どこでも良い、何か褒めるところを見つけるんだっ……何かひとつで良いから……。)
じっ……⭐︎
(期待を込めた瞳で見つめる)
すっすごく読みやすい(レイアウト)ですね……! 本当に(InDesignって)最高ですね!!
うおおおおおおおおおおお!!!!!! 我、生涯の友を得たり!!
(熱き抱擁)
ぐえっ、ちょ、苦しい……! ぎゃるのさん……タスケテ……
んじゃ町内会の運動会参加してくる〜。
あ、そだ。今度ういろうに町内新聞作ってもらおうかな! インデザで!
じゃね〜♪
今のはエピソード「0」で、エピソード50まであるから読んでくれえ! さあ! さあ!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
執筆・イラスト
きびのあやとら(GENSEKI/X:@kibinoayatra)
元ギャル。グラフィックデザイナー歴16年の漫画家。書籍『今すぐ痩せ見え!!-5kgコーデ』(はちみつコミックエッセイ)発売中。デザインはあらゆるクリエイティブの根底にあるズッ友のような存在。基本的なことやコツさえ抑えたらデザインはとても自由で楽しいからマジでみんなやろ〜?ということをギャルのノリで伝えていきたいと思っています。
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