「コート」「マット」って何……? 印刷用紙の基本を解説【盛れる! グラフィックデザイン部】

グラフィックデザインってなんだか難しそう。誰か親切な人が教えてくれないだろうか。できれば優しいギャルだといいんだけど……。そんなことを考えていた初郎(ういろう)君のもとに、どこからともなくグラフィックデザインに詳しいギャルが現れました! グラフィックデザインの初歩を学ぶ連載です。

この記事でわかること
  • 「コート紙」「マット紙」「上質紙」基本的な印刷用紙
  • 紙の厚さによる用途の違い
  • 印刷用紙を踏まえたデザイン

登場人物


ぎゃるの
グラフィックデザインに詳しい謎のギャル。その時の気分で優しくしたり詰めたりする。


初郎(ういろう)
グラフィックデザインについては右も左もわからない。できれば優しいギャルに教えてもらいたい。


いや〜今年も明けたなあ〜♪
1年ぶりに初詣来たけど、今年も賑わってるなあ。
2026年、いい年にするぞ!


ういろーAKOM(あけおめ)KTYR(ことよろ)〜。
はい、ぅちからお年玉〜。

(ズシッ)


な? 重い! そして分厚い!!!
(これ、200か300枚はあるんじゃないか……? 前にテレビで見た、大御所演歌歌手が弟子にあげるお年玉みたいだ……)
ぎゃ……ぎゃるのさん、こんなに良いんですか??


いーっていーって。
今年もこれでさらに良いデザインをしていって欲しいな〜と思って〜。


あ……ありがとうございます!!!
これでフォントや素材やPCとか買わせていただきます……!!!!

(ペリッ)

……ん? なんだこれ??
「紙質見本」……?

(パラパラ)

コート50……80……110……180……220……
マット50……80……110……180……220……

………………(パラパラ)

なんじゃこりゃああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
(横転)


ウェ〜い。新年一発目は、知れば知るほど沼落ちする「用紙」の世界!
用紙の厚さや特性を把握しておけば、さらにレベルの高いグラフィック提案ができるし、自作ZINEのクオリティも爆上がりだょ〜!


そ、それは知りたい……! 知りたいけど、新年早々泣き叫びたい気持ちです!!!
よし泣こう、うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!

頼れるやつら。標準用紙


まずはデフォで選べる3種類の用紙「標準三銃紙(し)」を連れてきたょ。


標準三銃紙!!??


印刷注文する時「コート」「マット」「上質」のどれかから選んだことない?


そういえばあるかもです!


(こいつテキトーに選んでたんじゃね? ヤバ)
この3つは印刷会社が標準で用意してくれてる紙で、それぞれに向き不向きがあるからぜぇ〜ったい覚えておくと良きやつ。


なるほど、光沢感のあるコート、ツヤのないマット、ザラつきがあるのが上質かあ。
(なんで全員タンクトップなんだ……)


コート紙はテカテカして光を反射しやすいから明るい色が映えるょ。キンアカ、原色使いまくりのスーパーのチラシとか、郵便受けに入っててもアッ! てなるよね。


確かに〜! そういえばタワマンとかの広告は落ち着きのあるマットが多いかも……?


それな。高級感や大人っぽさ出したい時はマットが良き!


上質紙はどんな時に?
コート、マットがあればだいたいの印刷物はできそうですが……。


上質紙は性質的に色が「沈む」から、鮮やかに発色させたい写真入りのデザインは向かないかな。いわゆるコピー用紙と同じ材質だから文字だけのお知らせとか、アンケート用紙とかに向いてる。あとリサイクルしやすい点もイマドキはポイント高いよね。

※ドライダウンと言い、印刷時インクが染み込んで暗くなる現象


なるほど……! それぞれがニーズに対応しているから標準なんですね。
なんて頼もしいんだ、標準三銃紙……!
(でも、なんで全員タンクトップなんだ……)

紙厚を知ろう!


本格的に用紙沼落ちする前に、グラフィックデザイナーなら知っておきたい「用途別の紙厚(かみあつ)」について知っとこー。


紙の厚さですか……。あ、そういえばいただいたお年玉(紙見本)に70とか90とか書いていたような……。
でもこれ単位がKg?? なんで??


それは「連量(れんりょう)」って言って、原紙サイズで1,000枚積んだときの重さで、印刷界隈ではだいたい四六判(788mm × 1091mm)の連量=紙の厚みを表すょ。


ほうほう。で、用途によってちょうどいい厚みがある、と。
確かに同人誌とかは表紙がしっかり厚手で、本文は薄めですね。


そうそう。本文は薄手の方がめくりやすいからね。ただあまり薄くしちゃうと裏が透けちゃうから、片面か両面かも紙圧を選ぶ基準になるょ。


なるほど〜。
あ! ちょっと待っててください!

(1分後)


お待たせしました! はい、これぎゃるのさんの分。


あ! これ、おみくじ?


はい! そうです!
このおみくじの紙厚は何kgでしょうか?


透け具合的にたぶん55くらいかな。おみくじは小さく折り畳むし、木にくくったりするからなるべく薄い方が良きよな。あ! やた!大吉!


超? そんなのあります? えーっと僕は「爆凶(ばくきょう)」……なんだよこれ!
縁起悪すぎるからすぐ結ぼう! わあ流石55kg、結びやすいや!

魅力あふれる特殊紙たち


じゃーお待ちかね。人気の特殊紙の紹介いっちゃおー!


よっ! 待ってました!!


まじおすすめの紙とかあり過ぎて超悩むんだけど、入門編としてとりま抑えておくと良さげなやつを厳選したつもり!


わ〜本当に個性豊かだ。名前までユニークすぎる。


まだまだあるよーん!


バラエティ豊富すぎる…!
どれも使ってみたいものばかりです!


用紙が変わると仕上がりも全然違うからね〜! 可能な限り試してみたいよね!
でも、デザインに高級感や特別感を出せる分、印刷料金も変わるから注意だよ。
倍くらい違うこともあるからまじ。


な、なるほど。予算次第ということですね。
標準で選べる三銃紙、やっぱり頼りになるなぁ……。

ダルとかアートとかなんたらホワイトって何ぞ


そういえばさっきもらった紙見本をパラパラ見てみると、用紙の名前の後ろに「アート」とか「ダル」とかなんたらホワイトとかいろいろ書いてますがこれは一体?


あーね。それはこゆことー。


最後絶対言うと思いましたが、なるほど。
確かによく見ると表面の質感や反射具合が違うし、紙の白色も若干違う、というかかなり違う!


初見だと微妙な違いに見えるけど、紙の白さとインクのノリ具合って仕上がりにめちゃくちゃ影響するからねー。


そういえば、フォントも名称の後ろにライトとかレギュラーとかイタリック(斜体)とかありますね。種類が豊富でデザインを大きく左右するって、フォントと用紙って似てるところありますね。


それ。まじでどっちも奥深すぎて沼すぎるから。デザイナーとしてはどっちの沼にもズブズブにハマるが吉だょー。

加工でビジュ爆盛っとこ〜


選ぶ用紙も重要だけど、印刷加工でも爆盛れできちゃうよ。
標準三銃紙にも使える場合が多いからガンガン活用してこ!


おお……三銃紙がキランキランの爆美男に……。
そういえばこういった加工、同人誌でもやっている人いますが、やっぱりキラキラしてたり高級感あるものは目を惹きますよね。


ね。用紙もこだわって高級紙やファンシーペーパー使って、さらに加工も……ってできたらまじさいつょのさいつょになっちゃうから、いつかそういうオーダー来てほしいよね。

自分でやるなら予算ないから好きなだけ盛り盛りにできちゃうし、思い切ってやっちゃうのもありだよ。まずは名刺とかちいこい物からやってみても良いかも!


おお〜確かに! 自分の好きな用紙で爆盛れ加工した名刺。配りまくりたくなりますねえ。

デザインに「かみだのみ」は必要!


最後に、身近な印刷物はどんな紙を使ってるの〜?的トリビア〜。


ああ、投票用紙! 確かにツルツルスベスベしてて、何時間でも触ってたい手触りですが、書き味も抜群なんですよね。ユポって言うのか〜覚えておこう!


某ハンバーガーショップとかナチュラル系雑貨店の袋みたいに、用紙の色を活かした印刷物も覚えておくといいょ。
ファッション誌とか写真が多いものは白色度の高い用紙でくっきりはっきり印刷出すのが基本だけど、あえてくすませてみたりすることもデザインのテクニックとしては必要だから。

こうやって身近な印刷物を見て気になったら、用紙や印刷加工を調べてみるのも立派なデザインの勉強だょ。


なるほど。ただ良いデザインをするだけじゃなく、何の用紙にどう印刷するかを考えることもデザイナーの仕事ってことですね!


そゆこと。グラフィックデザインは知識と経験と「紙だのみ」ってことぉ〜。ってことで今年も精進しろし。


はい! がんばります! ただ私生活では嫌な予感しかしないので、一緒に詣でってもらって良いっすか? 超大吉のぎゃるのさんといると運気上がるかなって。


いーょー。ぅち生まれてから一生大吉だから〜。あやかっとけし。


ありがとうございます!
(そういえば僕の厄災のほとんどはぎゃるのさんが持ってきてる気がしないでもないけど)

改めまして。
今年もよろしくお願いします!!!


執筆・イラスト

きびのあやとら(GENSEKI/X:@kibinoayatra
元ギャル。グラフィックデザイナー歴16年の漫画家。書籍『今すぐ痩せ見え!!-5kgコーデ』(はちみつコミックエッセイ)発売中。デザインはあらゆるクリエイティブの根底にあるズッ友のような存在。基本的なことやコツさえ抑えたらデザインはとても自由で楽しいからマジでみんなやろ〜?ということをギャルのノリで伝えていきたいと思っています。

編集

斎藤充博GENSEKI/X:@3216Web

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