ネイルのトレンドがわかる! 元ネイルサロンスタッフによる、ネイルイラストコンテスト講評会

GENSEKI主催で「viviON社員が選ぶ!イラストコンテスト テーマ:ネイル」を開催しました。
GENSEKIを運営する株式会社viviONは、各部署に二次元コンテンツへの知識と愛情を持ったメンバーが多数在籍しています。アニメ・マンガ・ゲーム業界出身者はもちろん、全く異なる仕事の経験を活かしているメンバーも多くいます。
今回はそのひとり、ネイルサロンでマネージャーの経験を持ついろはさんを審査員にお迎えしました。ネイルの楽しみ方や知見がいっぱいの講評会をお送りします。
参加メンバー

いろは
株式会社viviONのネイル愛好家代表。ネイルサロンにてマネージャーとして勤務していたことがあります。ネイル歴は5~6年で、ゴテゴテのY2Kデザインが好きです!

サイトウ(メンバーブログ)
GENSEKIマガジンの運営スタッフ。インタビューや記事、バナー制作などを担当。イラストは見るのも描くのも好き。

今回は株式会社viviONのネイル愛好家代表として、いろはさんに審査員をお願いしました。
以前はネイルサロンでマネージャーをされていたんですね。

はい。ネイリストさんとお店の運営との橋渡しや管理など、言葉通りのマネージャーのお仕事をしていました。お店が終わったあとInstagramを見ながら、ネイリストさん達と流行を調べたり、SNS映えする色やデザインを考えたりしていました。
元々ネイルは好きでしたが、仕事となると自分の趣味の範囲を超え、何千人ものデザインを見てきました。

見せていただいたネイルの写真が、どれも美しいです!

ネイリストさんにお願いしたものの中から、特に好きなY2K(ワイツーケー)っぽいデザインの写真を持ってきました。


ファッションやネイルで「Y2K」とよく聞きますが、どういったものなのでしょうか……?

Y2KはYear2000(西暦2000年)の略で、「2000年代っぽいデザイン」のことを指します。ですが、ファッションや髪型とネイルでは、けっこうイメージが違います。最近のネイルとしては、黒やシルバーがメインでパーツもりもりのデザインを指すことが多いです。
こちらは少しY3K(ワイスリーケー)寄り。Y2Kより近未来・パンクっぽいジャンルです。写真は立体モチーフなどY2Kも入っていますが、もっと抽象的なニュアンスや宇宙っぽいイメージが強くなるジャンルです。

【viviON賞】自由でポジティブな今の時代を象徴する一作


今回のコンテストでは「ネイルが映えるイラスト」を中心に選びました。ただ、この作品だけはちょっとイレギュラーでネイルの描写が控えめです。
現在はネイル・メイク・ファッションといった自己表現は、ジェンダーを超えて楽しまれる時代です。その社会的な変化を見事に捉えて、1枚の絵に落とし込んでいます。そこがとってもすてきですね。

メイクやネイルをする様子も描かれていて、この男の子のバックグラウンドまで伝わってきますね。

「いつだって、自分が好きな自分で」というタイトルも秀逸。「好き!」や「かわいい!」といった個人の表現が尊重され、自由に解放される社会へのポジティブなメッセージまで描かれているようで、なんだかうれしい気持ちになりました。心を動かせる絵だと思いますし、私もパワーをいただきました!

ファッションも特徴があり、ヒール靴などもおしゃれですね。


こういうファッションの男性をよく見かけるようになりましたよね。色使いやヒールの靴、リボンやハートからも、女の子が身に付けるもの、という固定概念がなくなりつつある今を感じます。もうピンクやかわいいモチーフ=女の子が好きなもの、という時代ではないのでしょう。
ここ数年で、メンズネイルの需要がすごく増えています。仕事をしていたときも、SNSからメンズネイルのお問い合わせをいただくことは多かったです。爪がかわいくなってテンションが上がる気持ちに、性別は関係ないですよね。
好きなことを好きだと表に出せずにいた人達が、どんどん自分をアピールできるようになってきていて、すてきなことだと思います。
ネイルへ知識の深さがわかる、トレンドをおさえた作品


イラストのテーマと大胆な構図にとても魅力を感じました! 服の装飾や背景まで細かく描かれているのに、全体が中華風な赤・緑・黒の配色でまとまっていてどこもちぐはぐなところがないのが、クオリティの高さにつながっています。黄色い空もアクセントになっていて、すさまじい色彩センスとこだわりを感じます。本当にすてきな作品です。

キャプションに「ネイルの美しさを、カンフーの構えで踊るように魅せつけています!」とあります。

その発想なかった! と思いました。ネイル見せたいと確かにこうなりますよね。流行ってほしいです(笑)。ネイルの見せ方がいいのはもちろんのこと、ネイルデザインもすごくかわいいですね。
中国結び(紐を結って縁起のよい形を作る伝統工芸)やパンダなど、中華風のモチーフが盛りだくさん。手間がかかっていて、こだわりを感じます。

中華風のネイルというのは、ポピュラーなのでしょうか?

けっこう前から人気で、ネイル業界でもずっと存在感あります。トレンドを押さえているな、と思いました。
白・黒・赤・金のような配色と、中華風モチーフ……特に太極図が乗っているとそれらしく見えます。私もやったことがあり、先ほどの写真のネイルに入っています。ネイリストさんが漢字や中華風モチーフでチャイナマフィア風を表現してくれました。

私のネイルはモノクロとシルバーがメインですが、映えるように赤を入れると華やかになるデザインです。中華風のネイルは赤を入れやすいので、イラストのネイルはぴったりなカラーだと思います。


ネイルのデザインにもいろいろとあるのですね。運営スタッフでは気づけないポイントばかりで、ネイル業界にいた方ならではの視点がわかっておもしろいです……!

最近は中国の人気インフルエンサーが発信している「ワンホンネイル」というジャンルも流行しています。
Instagramで映えるきれいめでシンプルなデザイン、指が長く見える形、ビジュー(キラキラと輝くイミテーションストーン)が乗っていることも多いデザインです。「中華風のデザイン」と「中国発のワンホンネイル」は別のジャンルなので、分けて調べるといいと思います。


ネイルのデザイン自体は「プリン」をテーマにしたやわらかいデザインですが、指輪やヘアピンでY2Kっぽい感じが盛り込まれていますね。シルバーや雷モチーフなどはY2Kによくあります。個人的にも大変好みです!
ネイルのデザインはもちろんのこと、お顔・髪色・アクセサリーなどモチーフ全部を使って「怒っててもかわいい・かわいくありたい」というのを表現されています。作者さんの中に確固たるものがあり、それをイラストにできる高い技術をお持ちだと感じました。髪の毛の躍動感や表情まで、全部かわいいです。

タイトルの感情そのまま、ネイルで表現されていますね。

ブチ切れた感情をネイルにする発想はなかったので、驚きました!

こんなふうに瞬発力高く、感情をネイルにすることはないですか?

ないですね。実際はネイルサロンに向かっている間に怒りが収まって、大人しいネイルになると思います(笑)
そもそも、ネイルはお金と時間がかかる計画性が高いものなんです。サロンで新しいネイルに変えているときに、次はどうしようか考えますし、ネイリストさんも塗りながら「次はどうします?」と予定を決めていくんです。
ネイルは月1回ぐらいのペースで時間をかけて変えるもの、という認識を覆されました。今の感情そのままをネイルでアピールするのもいいな、と思わされましたね。

ネイルをイラストの装飾としても取り入れていて、どんなデザインのネイルをしているのかがわかりやすいです。


この形はバレリーナネイルといって、バレエのトゥーシューズの先端の形が由来なのですが、最近すごく流行っています。
デザインの種類は……推しイメージのネイルにワンホンを組み合わせた、日本アレンジのワンホンに近いですね。今は推し活の一環でネイルをされる方が多く、日本のネイル業界はオタク文化に支えられているといっても過言ではないんです。「オタクネイル ワンホン」「ワンホン 痛ネイル」などで検索すると、近いものが出てくると思います。

「ワンホン」を日本風にアレンジしたデザインも存在するのですね。

日本のワンホンは中国発のワンホンに比べて、ガーリーでかわいい印象が強めです。モチーフもしっかりしていて、フリフリなものが多いです。
デザインの細部を見ると、編み上げデザインは韓国発祥のバレリーナのようなファッションから取った「バレエコア」に近そうですし、小指はY2Kなモチーフです。
いろんな要素が詰め込まれたデザインですが、「プリン」というひとつのモチーフでよくまとまっていますね。


rarukoさんはネイルに詳しそうですね。聞いているだけでも知識が深くて楽しいです。

きっと日頃から自分でネイルをされているか、よく見ていらっしゃるのでしょう。ネイルデザインの造詣が深い方だと思います。
イラストだからこそできるデザイン性にあふれたネイル


ネイルのデザイン自体がとてもかわいくて、構図、配色がとても魅力的です。青とピンクと白をメインに、きっとシルバーなんだろうとわかる質感も入ってすてきです。
「ネイルを新しくしてかわいい写真を撮りたい! ついでにかわいい私も見てほしい!」という女の子の心情が読み取れます。その自信がそのままつよつよなネイルに表れてるな、とニッコリしてしまいました!
また、陰影の表現がうますぎます。ネイルのパーツって乗せるとこうなる! と思いました。色を塗った上にモチーフが乗っている様子、パーツの数など、ていねいに描かれていて知識と画力を感じました。脱帽です。脱ぎました、帽子を(笑)。

よく観察して、実際のネイルのようにありありと描かれているんですね。

本当にそう思います。でも、日常生活で何をしていても、何にでも引っかかりそう(笑)。なのでイラストならではのデザインです。本当にかわいくて、私も参考にしてやりたくなりました。

これが実現すると思うとすごいですね。「やりたいと思えるデザイン」って、すてきです。

見せ方もすてきな構図ですよね。上から撮っている感じがとてもかわいいです。

自撮り風で、ミニキャラもいてかわいいですね。


ミニキャラがないバージョンもご応募いただいていたのですが、ミニキャラがいるこちらがよりかわいいと思いました。最近、SNSで自分をSDキャラ化して写真に乗せる加工が流行ったのですが、それっぽい感じもあって、トレンドをよく見られていますね。

ミニキャラは指先まで描かれることは少ないと思うのですが、この子はしっかりネイルまで描かれていますね。

ミニキャラではネイルが省略されるイメージがありますが、忠実にロングネイルで描いてあってかわいいですね。しっかり指を描くとデフォルメしきれていない感じが出そうなところ、そうなっていないのもうまい。かわいいですね。

この形にも名前はありますか?


「スティレット」ですね。指が長くきれいに見える形で、刺さると痛いぐらい先端が尖っています。ロングネイルの際によく映えるデザインです。
日常生活がとってもしづらくて(笑)、職業が限られます。爪が長くても大丈夫な接客のお仕事をされている方や、学生に多いかな。ジャンルは「地雷系ネイル」で検索すると出てくると思います。


YOUさんの作品も、先が尖ったスティレットの形ですね。

キャラクターの雰囲気やアクセサリーに合う、激ロングのスティレットを選んだセンスが秀逸です! ユキヒョウがモチーフとのことですが、ネコ科は鋭い爪のイメージがあるので、親和性が高いです。ネイルテーマの絵として、モチーフ選び大成功! と思いました。
拡大して見たのですが、ネイルの描き込みがとても細かくて、すごいです。ここまで描くならもっと大きく見たい! とすら思いました。ネイルがお好きなんだろうな、と伝わってきます。Y2Kと地雷系の合わせ技ですね。


爪の先がキラキラで、真ん中あたりでデザインが分かれていますね。

地雷系ネイルでは定番のフレンチ(爪の先だけ別の色やデザインにしたもの)ですね。地爪のように見えるスキンカラーを使用したフレンチが王道でしたが、ツイード風のチェックを入れたり、ミラーパウダーを使って光沢を出すなど、最近は種類が増えてきました。

地雷系で王道の「キルティング」というデザインもあります。粘土のような硬めのジェルを爪全体に乗せ、ダイヤ型に交差する線で溝を作ると、キルティング生地みたいになるんです! キルティングネイルは冬にとても流行るので、季節感もあっていますね。
塗る範囲が小さい形だしデザインも細かいので、施術はすごく大変そう。やるとなったら2時間は拘束されそうです。

2時間! 凝ったネイルはする方もされる方も大変なんですね。

トイレに行くタイミングも難しいので、やったとしたらネイリストさんもこの子もがんばったと思います。ネコっぽいキャラに見えるけど、実は忍耐強いのかも(笑)。

キャラデザ全体もかわいいですね。ヒョウ柄や、色使いも冬らしいです。
動物柄はネイルデザインでも人気ですか?

モノトーンのヒョウ柄、かわいいですね。動物柄はネイルでも人気です。
ただ、このイラストはキャラ全体が動物のイメージでネイルは地雷系なので、ネイルデザインの「動物柄」は少し違います。ヒョウ柄や肉球、ワンちゃんのホネなどを使ったかわいいデザインが多いです。お店でもよく使われていました。
応募作品一覧は、見ているだけでワクワクするネイルデザインの宝庫!


今回は194作品ものご応募をいただき、ありがとうございました!

大好きなネイルのイラストがたくさん見れて楽しかったです! 審査期間を何日間かいただいていたのですが、夢中で全部見て、依頼をいただいたその日のうちに審査結果を提出しました(笑)!

詳しい方でないとわからないネイルの話がいっぱい聞けて、貴重な時間でした。
みなさん、ネイルのトレンドをしっかり押さえて描かれていたんですね。

そう思います。応募作品一覧がネイルのデザインブックのようなので、イラストは描かないけれどネイルが好きという方にもぜひ見てほしいです。
一覧を見て「自分もこんなネイルしてみようかな」と触発されるようなことがあったらうれしいですね。私もやりたくなりました。

どんなネイルにしようかな、と考えるときに参考にしたくなる一覧ですね。

自分でネイルのデザインを探すと、「Y2K」などやりたいイメージのジャンルで検索してしまい、他のデザインを見る機会はあまりないんです。こうしてイラストコンテストでいろいろなデザインが見れて、とてもおもしろかったです。どの作品もとってもすてきでした!
それから、選考していて自分もイラストを応募したくなりました。自分でもイラストを描くのですが、絵を描くときって、描いたら見せないということはなくて、やっぱり「誰かに見てほしい」という自己顕示欲も入っているんだなと気づいたんです。興味が湧くテーマがあったら、応募しようと思います。
貴重な体験をありがとうございました。みなさんもぜひ、ネイルもイラストコンテストも楽しんでみてください!
▼応募作品一覧と結果発表
GENSEKIイラストコンテスト


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執筆
kao(GENSEKI/X:@kaosketch/Web)
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