GENSEKIマガジン

モノづくりを広げる・支えるメディア

「イラストで初めて仕事をもらったときにどうすればいいか」 さいとうなおき先生に聞く【イラストお仕事道】第3回

 

「イラストを描くことを仕事にしたいけど、どうしたらいいかわからない……」そんな悩みを持っている人はいませんか。

この連載では、大人気イラストレーターのさいとうなおき先生に「イラストを仕事にするための質問」に答えていただきました。

今回のテーマは「イラストで初めて仕事をもらったときにどうすればいいか」です。第一線で活躍するプロの知見、ぜひ参考にしてください!

 

第1回 イラストを仕事にしたい人が「用意すべきモノ」
第2回「イラストレーターはどうやって営業すればいい?」
第3回「イラストで初めて仕事をもらったときにどうすればいいか」(この記事)
第4回「イラストで収入を増やすにはどうしたらいいか」
第5回「イラストの人気ジャンルって?」
第6回「イラスト全般についての疑問解消Q&A」

 

答えてくれた人

さいとうなおきTwitterYouTube
イラストレーター/YouTuber。1982年生まれ、山形県出身。多摩美術大学卒業後、ゲーム会社を経て現在フリーランス。『ポケモンカードイラストレーター』。
YouTubeチャンネル登録者130万人以上を記録。『お絵描き上達テクニック』などの情報も発信中。

 

Q.初めて仕事をもらったときに心がけたいことは?

A.まずメールは早く返そう! そして、相手に変な人じゃないとわかってもらうのが大切。


ーー初めてお仕事の依頼をいただいたとき、うれしい反面どのようにお返事したらいいか空回りしてしまいそうで不安です。どのような心構えをしておくといいでしょうか。

 

さいとう先生
まずメールはすぐに返したほうがいいでしょう。クライアントも、初めてお仕事をする相手なので同じく不安に思っているはず。そこできちんとまずメールのやり取りができれば「ちゃんとした人だ」と安心してもらえます。

初めてのお仕事ではまず変な人じゃないという証明をすることが大事です。それが、今後継続してお仕事をいただくうえでも重要じゃないかなと思っています。

たとえ返事が遅れてしまっても、きちんと謝ることができれば大きな問題にはなりにくいはずです。

 

ーーちゃんと話ができる人とわかってもらえるとお互いスムーズですよね。でも初めての相手なので、メールの文面を考えるのに時間がかかってしまって……。

 

さいとう先生
僕の周りでもメールの文面を考えるのに1〜2時間くらいかける人もいます。気持ちはわかりますが、クライアントからすると誤字脱字があっても早く返事をくれたほうがうれしいじゃないですか。

それに、メールに時間をかけたとしても、イラストの金額は同じですから、早く返したほうがいいです。僕もあまり時間をかけずカジュアルに返していますね。

 

Q.打ち合わせって緊張する……。いったい何をしたらいい?

A.打ち合わせは、相手に人柄を知ってもらう意味で重要。お互いの求めるものを確認するため、受け身にならずに積極的に提案していくことが大切。

ーー初めてクライアントと打ち合わせするときって、何を話していいか緊張してしまいます。

 

さいとう先生
駆け出しだとドキドキしてしまいますよね。打ち合わせは、仕事内容と作業要件を取りまとめる重要な場です。

メールではなく実際に話すことで、お互いがどんな人かわかるので今後の作業も進めやすくなり、印象がよければリピートの確率も上がります。

最初はどうしても受け身になりがちですが、「こういう絵を描こうと思っています」と積極的に提案してみることも大事です。初めてのお仕事で自分の中で最善の絵を出そうと思っても、クライアントの求めるものと違って、空回りしてしまうパターンもあります。

初めてのお仕事だとこういう勘違いは生まれやすいし、仕方がないことだと思います。そこで、打ち合わせではお互いの求めるものが何か、そのために何が必要かを確認するといいでしょう。

 

Q.契約書って初めてだから難しい……。契約周りで気をつけたいことって?

A.そもそも契約関係を結んでくれるかは重要。内容に関しても、自分が不利になる条件がないかよく確認しよう。

 

ーークライアントから「契約書にサインしてほしい」と言われたことがあります。契約書って、よくわからなくて、不安です。

 

さいとう先生
まず、契約書はないよりあったほうがいいんです。契約書を作ってくれる時点で、ある程度はちゃんとしている取引先だと思います。もし契約書がないと、納品したのにギャラが支払われないなど、悲しいことも起きかねません。

欲を言えば、相手の住所は存在するのか、連絡相手とはきちんとやりとりできるのかなどをきちんと確認しておきましょう。

 

ーー実績公開の有無や著作権の取り扱いなど、契約書の内容についてはいかがでしょう。

 

さいとう先生
駆け出しの方だったら、実績公開はできるだけOKにしてもらったほうがいいと思います。そのほうがのちの仕事につながりやすくなりますし。

大きな案件だけど公開できない、という場合は、そのお仕事が好きでやりたいのであれば受けてもいいとは思います。

著作権周りで言うと、買い切り(著作権をクライアントに譲渡する)なのか、自分と相手で半々で持つのかなどは確認しておいたほうがいいでしょう。

 

Q.警戒した方がいい依頼ってありますか?

A.テンプレの文章、金額が書いていない依頼は、ちょっと警戒しています。パスワード付きZipファイルも気をつけて。

 

ーーこういう仕事は怪しいぞ、という見極め方法はありますか?

 

さいとう先生
内容によりけりだと思うんですが、明らかに自分以外の複数に送っていることがわかるような、テンプレートの文章だったらちょっと警戒しますね。

あとは最初の依頼のときに金額が書いていない場合はちょっと怖いので、必ず聞くようにしましょう。ただし、最初に金額が書いていないからといって、必ずしも問題があるというわけではありません。金額に関しては、後ほど交渉になるという場合もあるからです。

他にも、コンペ形式など作品を出しても実るかはわからない仕事もあります。これについては、お金にならなくても自分にとってメリットがあると感じるなら、引き受けてもいいのかもしれません。

そして、これはいろんなところで言っているんですが、初めての取引でちょっと怪しいと感じた会社や個人から送られてきたパスワード付きZipファイルは開かないようにしましょう。

もし開くとパソコンが乗っ取られて、個人情報などを抜かれるという事態になりかねません。駆け出しの人を騙そうとする悪い人もいるので、そういう事例があるということも知っておいてください。

 

第1回 イラストを仕事にしたい人が「用意すべきモノ」
第2回「イラストレーターはどうやって営業すればいい?」
第3回「イラストで初めて仕事をもらったときにどうすればいいか」(この記事)
第4回「イラストで収入を増やすにはどうしたらいいか」
第5回「イラストの人気ジャンルって?」
第6回「イラスト全般についての疑問解消Q&A」

 


執筆
神田匠(Twitter:@gogonocoda

イラスト
きびのあやとら(Twitter:@kibinoayatra

編集
斎藤充博(Twitter:@3216