さいとうなおき先生がGENSEKIの顧問に就任してから初めてのコンテスト。
『さいとうなおき先生の”縛り”イラコン』
9月は『アニメ塗り』のイラストを対象としてコンテストを開催しました。
審査員 プロフィール
イラストレーター・ユーチューバー。
1982年生まれ。山形県出身。多摩美術大学卒業後、ゲーム会社を経て現在フリーランス。『ポケモンカードイラストレーター』
YouTubeチャンネル登録者109万人。『お絵描き上達テクニック』などの情報も発信中。
インタビューした人
坂本彬
GENSEKIマガジンの編集・マーケティングを担当。
最近、液タブを買った。
坂本
縛りイラコン1回目が終了しました。どうでしょうか?作品全体を見て。
さいとうなおき先生
チャレンジングなことをしている人がたくさんいましたね。面白い作品が多かったです。
坂本
そうですね。今回のアニメ塗り縛りのイラコンでは200作品近くのイラストが集まりました!さいとう先生に見てほしい、という気持ちで描かれている人も多かった印象です。
さて、今回「さいとうなおき賞」に選ばれたのはどの作品でしょうか?
さいとうなおき先生
さいとうなおき賞は・・・・ゆうきさんの『White』です!
「もっと知りたい」気持ちになる引き込まれる作品
坂本
すごくカッコいいイラストですね!選ばれたポイントはどこでしょうか?
さいとうなおき先生
細かな技術も優れているのですが、一番は「もっと知りたい」を刺激してくれることですね。このキャラクターの物語が絶対あるはず、それを知りたいと思わせてくれるところが良かったですね。
坂本
確かに女性の意思のある強い眼差し、そして羽がある様子から見ても、只者じゃない雰囲気ですね。
さいとうなおき先生
実は、ゆうきさんはもう一つ作品を投稿いただいていて、そちらもすごく良かったので、迷いました。
アニメ塗りという技法を守りながら演出される「垢抜け感」と「オシャレ感」
坂本
アヒルのぽってりしたフォルムが可愛いですね。こちらを含めて、ゆうきさんの技術的に優れている点を教えていただけますか?
さいとうなおき先生
両方の作品を見て感じたのですが、ゆうきさんは「アニメ塗り」というルールを守りながら独自の視点でイラストを描いているように感じます。
- 色面はしっかり分けているが、境界線にオレンジを入れる
- グレーの背景を効果的に使えている
- 影の色面にポイントでドットを使っている
坂本
まずは「1」について詳しく教えていただけますか?
さいとうなおき先生
アニメ塗りといえば、色面がぱきっと分かれているポップな塗り方ですね。なのですが、ゆうきさんは影の色面の境界線に、このイラストのキーカラーであるオレンジ色を入れるという工夫をしていました。これにより「今」っぽさを出しながらアニメ塗りを完成させています。絵がぐっと垢抜けた印象になりますね。
坂本
なるほど。
さいとうなおき先生
そして「2」についてですが、あえて白ではなくグレーの背景を使うことで絵全体をおしゃれな印象に見せています。
坂本
では「3」についても教えてください。
さいとうなおき先生
影を単純な色面として塗らずに、ポイントでこうしたドットを使っています。ゆうきさんは思い切った構図の中にこうした細かい小さな処理をたくさん入れており、独自性を感じました。
ポイントになったのは作品としてのメッセージ性
坂本
ここまでの話を聞くと、さいとう先生も『White』と『アヒルのカバン』ですごく迷われたのだろうなという印象を受けました。実際に『White』を大賞に選んだ決め手はどこだったのでしょうか?
さいとうなおき先生
『アヒルのカバン』は完成度が高いのですが、ファンアートのように見えてしまいました。一方で『White』は前述した通り、見た瞬間から「もっと知りたい!」と思わせるようなメッセージ性を感じます。作品と呼べるのはどちらかと考えた場合に『White』になると考えました。
受賞者コメント:ゆうきさん
この度は大賞に選んでいただき誠にありがとうございました。
今回2点応募させて頂いたのですが、両方ともとても細かいところまで説明して頂きとても嬉しいです。さいとうなおき先生の動画は絵を描き始めた当初から拝見しております。これからも先生の動画を参考に勉強させていただきます。
改めてこの度は誠にありがとうございました。
佳作作品のご紹介
佳作作品と、さいとう先生からのコメントを順不同でご紹介します!
<さいとうなおき先生からのコメント>
ベタ塗りなのに、透明感があるところが素敵です!サムネでみても目をひく作品でした。
<さいとうなおき先生からのコメント>
彩度の高い青で描いているところに未来感を感じます。パソコンの画面を見ると男の子が自分の絵を描いていたり、それを配信しているようなVtuberが写っていたりして物語性がありますね。
<さいとうなおき先生からのコメント>
キャラクターの造形・色使いや構成が、見ていて気持ちいい絵になっています。キャラクターがアニメ塗りをしている感じも勢いがあって良いです!
自分の新たな一面を見つけるきっかけに
さいとう先生のイラストコンテストは、全て「縛り」をもうけています。
イラストを描いていると、ついつい自分の好きな方向・得意な手法に寄ってしまいますが、さいとうなおき先生は、縛りイラコンを「いつもとは違う自分の一面」を探すきっかけにして欲しいと仰っています。
今回の「アニメ塗り」にご応募頂いた方の過去作品を見ると、普段は全くアニメ塗りではない方もたくさんいました。今回のイラストコンテストが新たな発見・チャレンジになってくれたらGENSEKI運営チームも嬉しいです。
さて、次回の縛りイラコンは・・・
『パレット縛り』です。どんな色が指定されるのでしょうか・・・
是非ご参加ください!
執筆・編集:坂本