GENSEKIを使い始めてから「絵に対する考え方」が変わった。じみにしじみさんに聞く上達のヒント

ファンタジックな世界観のイラストでSNSやYouTube、ゲーム制作など幅広く活躍するイラストレーター・じみにしじみさん。さまざまなイラストコンテストで入選を重ねています。
今回は、イラストコンテストを絵の上達に活かす道のり、制作に集中するための工夫、おすすめツールや参考資料まで、よりよいイラストを描き続けるヒントをたくさん伺いました。

お話を聞いた人

じみにしじみ(GENSEKI/X:@jimini_shijimi/Web)
イラストレーター。SNSやYouTubeでの発信に加え、ゲーム制作や同人誌など、イラストにとどまらず幅広いジャンルで活動している。GENSEKIイラストコンテストをはじめ、数多くのイラストコンテストで受賞歴を持つ。
(聞き手:kao)
好きな絵や本との出会いが、飛躍のきっかけになる

―― 現在のご活動について教えてください。
じみにしじみ
イラスト制作を専業にしていて、Skebやネット経由でご依頼をいただいたり、YouTubeで活動をしたり、同人誌の販売やFANBOXのネットプリントなどをしています。
最近は特に背景ありのイラストを制作してSNSに投稿したり、イラストメイキングや制作中に気づいたことをYouTube動画で発信したりしています。
――ゲーム制作もされていますね。
じみにしじみ
ゲーム制作は完全に趣味で、楽しくていつの間にか5作品ほど作ってしまいました。「ティラノビルダー」という無料でノベルゲームが作れるツールと「ノベルゲームコレクション」という投稿サイトがあり、とても便利です。
――現在の制作環境と愛用のツールを教えてください。
じみにしじみ
今はすべて13インチのiPad ProとProcreateで制作しています。最近のおすすめブラシは本物の鉛筆のような描き味の「ナリンダーペンシル」で、はっきり線が描けて気に入っています。「平ブラシ」「タラリア」なども調整して使っています。詳しくはSNSやYouTubeでもご紹介しているので、ぜひご覧ください。
――絵を始めたきっかけや経緯は、どういうところからでしょうか。
じみにしじみ
絵を描くのは小さいころから好きで、自由帳にポケモンばかり描いていました。デジタルで描くきっかけはさいとうなおき先生のYouTube動画で、ニンテンドー3DSの「うごくメモ帳 3D」やスマホのアイビスペイントを通って、今に至ります。
――他に影響を受けたクリエイターや作品はありますか?
じみにしじみ
mashuさん(X:@mu_mashu)の本『デザイン視点でイラストを描く 伝えたいことが伝わる29のヒント』を読んで「魅力的なテーマがあり、うまく伝えられるのがいい絵」と学び、絵の見方がかなり変わりました。
それまでは上手な絵を描くことが全てと思っていたのですが、「どういうことをこの絵で伝えたいのか」のアイデア出しに時間をかけるようになりました。もっとたくさんの人に読まれてほしい1冊です。
また、その本を購入した店頭で吉田誠治さん(X:@yoshida_seiji)の『吉田誠治作品集&パース徹底テクニック』に出会い、背景イラストに憧れて自分でも描くようになりました。
――本や憧れの作品からインスピレーションを受けるのですね。
じみにしじみ
本を読んで表現したいことや絵への考え方が変わったり、すごい作品を見て「私もこんな絵を描いてみたい」と思うことが刺激になります。
最近は可(べし:Bluesky)さんの作品や『Inner Garden 可作品集 ILLUSTRATION MAKING & VISUAL BOOK』のインタビューを読み、絵への向き合い方に感銘を受けました。
可さんのイラストは花などのモチーフを抽象的ともいえるところまでデフォルメしています。配色も自由で花のピンクに水色が入っていたり、構図や余白の取り方もすてき。絵に奥行きを感じて、見ていて飽きないんです。
そのころの私は、吉田先生のパースや空気遠近法などの基盤がしっかりしたリアリティがあるイラストに憧れて「いかにリアルに描くか」にフォーカスしていたのですが、価値観をひっくり返されました。

イラストコンテストに挑むことで見えてきた、成長のきっかけ
――じみにしじみさんはさまざまなイラストコンテストに応募されていて、GENSEKIイラストコンテストでも多数入賞されています。GENSEKIに登録したきっかけはどんなところからでしょうか?
じみにしじみ
「イラストコンテスト」で検索して見つけました。背景つきのイラストを描き始め、だんだん自分の描きたいものが描けるようになってきて、腕試しがしたかったんです。
今思うと恥ずかしいのですが、最初は結構いけるんじゃないかと思って応募して、全然受賞できなくて落ち込みました(苦笑)。でも入賞目指して躍起になっていた時期も、今思えば上達に繋がりました。
――GENSEKIイラストコンテストは既存作品で応募することがOKのものもありますが、毎回描き下ろしてくださっていますね。
じみにしじみ
はい。いつも絵のアイデアに迷うので、描きたいものが思いつかないときコンテストのテーマからアイデアを広げられて、助かっています。
――どうやって絵のテーマを広げていくのでしょうか?
じみにしじみ
テーマを頭の片隅に置き、描きたいモチーフを探します。いろいろ考えて紙にメモし、構成が固まったらラフに移ります。
例えば「好きなものに囲まれて」のテーマのときは、アンモナイトが描きたい → アンモナイトが好きなのは古生物学者 → ただ物に囲まれているだけじゃ楽しくない → 好きすぎて古生物を復活させてしまった → それなら恐竜も描こう……とアイデアを展開させます。

じみにしじみ
結果発表ページの講評でとろろとろろ先生にアドバイスをいただいたことも、すごく役立っています。
とろろとろろ先生
アドバイスを強いて言うなら、モチーフについてです。恐竜や化石はニッチというほどではないですが、万人が好きなモノでもないですよね。そういった場合でもみんなが注目する工夫があるともっとよくなりそうです。
例えば恐竜がかわいいのもひとつですし、ものすごくかっこいい化石やキャッチーなモノが置かれているなど。フックになるワンポイントや「テーマに興味がない人にも突き刺さる何か」が足されると、さらに伸びると思います。
このときから普遍的に人が惹かれやすいモチーフを入れるようにしたり、人は明暗やコントラストのあるものに目を引かれると思って、ライティングを大事にするようになりました。

じみにしじみ
ポージングイラストコンテストでは「テーマのポーズをどう魅せるか」が思った以上の制約になり、構図に苦しんで生まれた絵だったので、大賞をいただけてとてもうれしかったです。
最近は絵の中にひとつファンタジーを入れて違和感(フック)を作るようにしているのですが、この作品がきっかけで、できるようになりました。
――「透明縛りイラストコンテスト」でも、受賞されていました。さらに審査員のさいとうなおき先生からの講評コメントをもとに、リメイクもされていましたね。


「透明縛り」佳作/リメイク
さいとうなおき先生
見どころである白波に被ってしまっているので、右下の白いお魚たちは入れずに、白波の部分をもっと描き込んでほしいです。
それから、とくに人物にかかっている部分や中央のお魚の周りに、液体のぬるっとした感じをしっかり出せていればさらに良くなるだろうと思います。
じみにしじみ
透明なものを描くのが苦手だったので、このコメントはとても助かりました。当時は絵は描き込むほど良いと思っていたのですが、「手前の魚はなくてもいい」と言われ、見せたいものを見せるためには引き算も大事だと気づかされました。
――イラストコンテスト講評が、制作のいろいろなところで役立っているのですね。
じみにしじみ
講評はとてもありがたく、いただいた言葉は全部心に残っています。さまざまなイラストコンテストに参加していますが、大賞しか講評がなかったり、なぜ選ばれたのかわからないこともあります。GENSEKIイラストコンテストは佳作でもコメントがもらえたり詳細な記事になることもあるので、憧れの先生からの講評を目標に、制作もがんばれます。
GENSEKIを使い出して「テーマの表現の仕方」を考えるようになった
――GENSEKIを使い始めた当初と現在で、絵やご自身に変化はありましたか?
じみにしじみ
絵に対する考え方が変わりました。最初はうまい絵を描けば入賞できると思っていましたが、今は「いかにテーマを自分なりにかみ砕いて、表現するか」を考えるようになりました。
ネットや生成AIの普及でうまい絵はいくらでも出てくるので、描いた人が「人生でどんな体験をしてどう考えたのか」の過程こそが大切だと思います。審査員の先生方も絵のうまさより「描き手が伝えたいことがまっすぐに伝わるか」にフォーカスされることが多いと感じています。
GENSEKIマガジンは確定申告の記事など、コンテスト講評以外もよく読んでいます。タグ検索できるようになって便利です。

新しく始まったスケッチノートも好きで、「みんなこんなことを考えて描いているんだ、いろいろな状況の中で自分と同じように絵が好きで描いているんだな」と、勇気をもらえています。
いいねボタンや数字ではなく絵文字スタンプなので、どう感じて反応されたのかわかるのもいいです。私も制作が落ち着いたら使ってみたいです。
イラストをもっと楽しく。集中できる「描く環境」の作り方


――じみにしじみさんは、どのイラストも3人のオリジナルキャラクターで描かれていますが、何か理由があるのでしょうか?
じみにしじみ
絵を描くたびにキャラを考えるのは大変なので、個人制作では固定しています。何よりこの3人が純粋に好きで、描くのが楽しいんです。別々の機会に生まれたキャラですが、新しいキャラをどんどん作るより、ずっとこの3人を描いていたいです。
――効率と楽しさの両立なんですね。「じみにしじみ」というお名前とオルニチンさんは関係しているのでしょうか。
じみにしじみ
たまにご質問いただくのですが、実は関係ないんです。中学生のとき筆箱につけていたラッコのキーホルダーの名前が「しじみ」で、とても気に入っていて活動名にしました。でも案外「しじみ」という名前の方が多く、何か変化をつけようと「じみにしじみ」になった経緯です。
――交流はマシュマロ(匿名で送れるメッセージサービス)やYoutubeのみ、Xのフォロー0人のご様子ですが、SNSの利用について方針があるのでしょうか。
じみにしじみ
Xはいいねの数を気にしてネガティブになってしまうので、スマホのアプリを消し、PCから投稿しています。Google Chromeの「おだやかツイッター」という拡張機能を使うと、フォロー数もフォロワー数もいいね数もまったく見えなくなります。
ただ、一応自分の絵の評判はチェックする必要があるので、5枚ぐらい投稿したらスマホのブラウザからログインして、まとめていいね数を見ています。何枚かたまってからなら、どれかがいいね数が少なくても他の反応を見てダメージを減らせます(苦笑)。
フォロー0人は自然にそうなりました。最初は憧れている方をフォローしていたのですが、絵のいいね数を比べて落ち込んでしまい、よくないと思って外したきりです。
――SNSを制限するとなると、情報はどこから得ているのでしょう?
じみにしじみ
画像検索サイトや手持ちの図鑑、画集です。画集は高価ですが「絵がよくなりそう」と思ったら迷わず、月1冊ぐらい買っています。
また、SNSから情報収集しないかわりに新聞を取ることにしました。ネットニュースも検討しましたが、広告が多く興味があるものばかり見てしまうので。新聞は興味がない情報もまとめて見れるのが良く、朝日新聞などはクリエイターのインタビュー記事もよく載っていておもしろいです。
――絵を描くことに専念できる環境にしているのですね。
じみにしじみ
はい。朝起きてから寝るまでずっと描いています。休憩はたまにお昼寝したり、家事ぐらい。本当に楽しくてずっと続けたいのですが、これで大丈夫かな、とは思っています(苦笑)。
イラストの活動もまだまだの身なので、まずは制作をしっかりやりたいと思っています。マシュマロや動画コメントなどもあまりチェックできず申し訳ないのですが、余裕ができたらXやYouTube動画でお答えしています。

――絵が行き詰まったときはどうしていますか?
じみにしじみ
無理して描きます。離れたら考えたことまでリセットされてしまいそうですし、限界まで突き詰めないといいアイデアが出ません。目の前の絵のことだけをぐっと考えるようにしています。
あと、作業中に音楽をかけています。最近はアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」のオープニングとエンディング曲を聞いていました。絵にあわせたプレイリストもよく作っていて、たとえば不気味な絵なら「不気味」リストを聞いています。
――これからやっていきたいことや、アピールしたいことを教えてください。
じみにしじみ
YouTubeでキャラのやりとりがかわいい動画を作っているので、ぜひ見てください。私のイラストもより楽しく見てもらえると思います。
毎年何か新しいことに挑戦するのを目標にしていて、今年はアニメーションに力を入れたいと思っています。キャラの掛け合いやストーリーを伝えたくて、以前は漫画を描いたのですが、今後は漫画とアニメの表現をあわせて作れないかと模索しています。
おもしろいWebサイトを作ってみたくてhtmlやJavaScriptの勉強も始めました。個人サイトを作るのが目標です。
――今後もいろいろなコンテンツが更新されそうですね。楽しみにしています!
マンボウ🐟(1/3)
— じみにしじみ (@jimini_shijimi) April 17, 2025
#漫画が読めるハッシュタグ pic.twitter.com/1qsXTo6vVI
【定期開催】GENSEKIイラストコンテスト
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執筆
kao(GENSEKI/X:@kaosketch/Web)
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