「キャラデザやオリジナリティ、苦戦して学んだこと」タカヤマトシアキ先生Q&A連載 第二弾 第1回

こんにちは!GENSEKIマガジン編集部です。
以前の記事でクリエイター全力応援コンテスト「異形の神々」オンライン講評会をレポートしました。
オンライン講評会では、イラコン応募者のみなさんに質問を募り、タカヤマトシアキ先生に答えていただくQ&Aの時間がありました。その内容を今回も「タカヤマ先生Q&A連載 第二弾」として再構成し、全3回の連載としてお届けします!
第二弾 第1回「キャラデザやオリジナリティ、苦戦して学んだこと」(この記事)
第二弾 第2回「空気感や質感の描き方、絵の下調べと参考書籍」
第二弾 第3回「ペン設定や配色について、仕上げの色の見極め」
タカヤマトシアキ(X:@tata_takayama/Web/GENSEKI)
デュエル・マスターズ、ヴァンガードなど様々なトレーディングカードゲーム(以下TCG)でメイン・パッケージイラストを手掛けるイラストレーター。クリーチャーやメカニック、リアル系まで幅広い画風をもつ。
Q.タカヤマ先生の思う「異形の神」の表現はどんなものですか?
A.意思疎通ができない存在。
タカヤマ先生
言葉が通じなさそう。自分の世界とは違う法則や意思で動いている存在、という気がしますね。
物語なら前後の文脈でそのことをいろいろな方法で表現できると思います。しかし、1枚のイラストでは、そうもいきません。そこで、まず大きさを考えます。神様は大きく描かれることが多いので、ストレートに大きくするんじゃないでしょうか。
それから、人型にするときは、肌の色を変えるなど本物の人間と微妙に違うような描き方にしますね。人と近い、例えば仏像のような姿だったら知恵や慈悲を授けてくれそうに見えてしまいます。

大蝗如来/コル祐
コンテストでは、コル祐さんの『大蝗如来』はパッと見たときに「異形の神」を感じました。大きいし、言葉が通じなさそうだし、嫌なことをしてきそう(笑)。こちらの都合を気にしなさそうな、人間ではない感じがありましたね。
Q.キャラクターデザインで大事にしていることはなんですか?
A.行動内容からシルエットと色を決める。
タカヤマ先生
そのキャラクターがどんなことをするか、シルエットと色で伝わるように考えます。
パワー系のキャラクターなら筋肉隆々だと思うので、末端の手先足先を大きくして、シルエットがより大きく見えるデザインにする。肉弾戦が得意そうなものを持たせる、分厚そうな甲冑をつけるなどです。逆に素早いキャラクターの場合は、スリムにして羽をたくさんつける、色もスピードが速いイメージの青や白といった形にするでしょう。
仕事の場合はクライアントさんからイメージや色をテキストでいただくので、それを参照して描きます。自分のオリジナル創作で描くときは、設定が頭の中に入っているので、テキストに書き出したりはせず直接イラストに描き出しています。
Q.キャラクターデザインのモチーフによく選ぶものは?
A.ドラゴン。
タカヤマ先生
好きでどうしても描きたい、というわけではないのですが、ドラゴンはよく選びます。仕事のスタートが『ドラゴンドライブ』という作品のTCGデザインだったことや、TCG業界では「最強といえばドラゴン」と決まっているからです。
かわいい女の子やイケメンのような、パッと見て目がとまる題材、人気が出るものというのはだいたい決まっています。そのひとつに「モンスターといえばドラゴン」というのもあります。○○ドラゴン、ドラゴンソードなど、名前にドラゴンがつくとかっこよくて強そうですよね。

オリジナルキャラクター『DORAGO MACHINA-ドラゴマキア-』
Q.絵にオリジナリティを出す方法を教えて下さい。
A.人に言われて気づくぐらいでいい。
タカヤマ先生
こうやるとオリジナリティが出る、という方法はないです。僕の例を出しても、その通りにしたら真似になってしまう。描き始めの段階ならそこまで意識せずとも、「どういうものが自分にとって美しいのか」をとにかく画面に表現してみてください。
最初は「この人みたいな絵が描きたい」というところから描くことが始まると思うので、描き始めたばかりは○○さんに似てる、と言われても仕方ありません。参考にする人がいて、真似て描いていくなかで「でも自分はこう描きたい」と思うことがきっと出てくるはずです。
それを数年繰り返すうちに、オリジナリティといわれるものができあがってきます。でも自分ではなかなか気づけないものです。意外とプロの多くは「自分は没個性だ」と思っていて、僕自身も「タカヤマさんの絵だ!」と言われて、よくこれが僕だと気づいてくれたなと感じるときがあります。
なので、あまり気にしなくても、クライアントさんから「あなたのここにオリジナリティがある」と言われてはじめて、自分のオリジナリティに気づく、ぐらいでいいのではないでしょうか。
Q.タカヤマ先生がイラストを描く際に苦戦したことと、どう解決したのかを教えて下さい。
A.立体表現がうまくできなかった。
タカヤマ先生
僕は、立体表現がうまくできない、と思った時期がありました。プロになってある程度収入は得られていたのですが、描いても描いても自分が思うように立体のカタマリ感を表現できなかった。それで、専門学校のときの先生がやっていたデッサン教室に1年ぐらい通いました。
あるときヌードデッサンで女性の背中を「描けるだけ描きこむ」という課題がありました。ただ、教室は普通の蛍光灯のライトで、そこまで体の陰影が出るわけでもありませんし、モデルさんにはボディビルダーのような明確な筋肉の隆起があるわけでもありません。それを2日間計4時間ぐらいかけて描き込めと言われても、案の定40分ぐらいで描くことがなくなってしまいました。
でも先生は「まだまだ描くところはたくさんある」と言うんです。骨や筋肉、脂肪のたわみがここにあるじゃないかと、実際には見えていないものを加筆されました。
厳密に言うと、目の前で見える陰影の違いは1から1.1ぐらいだけど、1から1.3ぐらいに「見る力」で描いている。「あなたが見て感じるものをより増幅して描け」と言われ、なるほど! と開眼した気持ちでした。見たままではなく、自分がどう描きたいか、どう表現したいかを、自分のフィルターを通して増幅してアウトプットするんだ、ということを学びました。
先生の話を聞いて、絵は「目に見えるままに描くのとは違うことなんだ」と自分なりに気づけたおかげで、その後の絵がグッとよくなりました。
>>>第二弾 第2回「空気感や質感の描き方、絵の下調べと参考書籍」に続く
第二弾 第1回「キャラデザやオリジナリティ、苦戦して学んだこと」(この記事)
第二弾 第2回「空気感や質感の描き方、絵の下調べと参考書籍」
第二弾 第3回「ペン設定や配色について、仕上げの色の見極め」
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