同人誌即売会の陳列ってどうやればいい? 什器メーカーにアドバイスしてもらった

こんにちは。ライターの斎藤充博です。先日、自分で漫画を描いて、同人誌即売会で売ってみました。

売れたのは20部くらい。漫画の同人誌を作るのは初めてですし、この手の同人誌即売会に参加するのも初めて。それを思えば、まあまあ……というところでしょうか。
でも、もっと売りたいんですよ。思えば、僕は同人誌即売会においてほぼなんの用意もできていなくて「売場」というものが作れていませんでした。
そこで今回は同人誌即売会向けの什器を製作・販売しているイガラシプロ有限会社さんにお話を伺いました。売場の基本を教えてください~!
お話を聞いた人

Oさん
イガラシプロ有限会社・制作部。趣味でイラストや漫画を描き、即売会への参加経験も多数。
インタビューした人

斎藤充博
どうにかして自分の漫画を世に知らしめたく、先日同人誌即売会に参加してみた。でも、わからないことだけで……。

斎藤
というわけで、同人誌即売会で、もっといい陳列をできるようになればと思っております。
O
一応お伺いしておきたいんですが、斎藤さんはどんなふうに陳列していたんでしょうか。

斎藤
マジで何にも用意していなかったので、こんな感じです。同人誌を手に持って、声を出して通行人を呼び止めて、買うようにお願いしていました。
O
すごい(笑)、力技ですね。斎藤さんの本は、表紙を見れば子育てエッセイだという内容はわかりますよね。ただ、値段がわからないのがちょっと……。値段はどうやって伝えていました?
斎藤
手に取ってくれた人に、「1,500円です! 安いッ!」って言っていました。

O
押しが強い(笑)。でも、人によってはちょっと苦手に感じる人もいると思います。逃げちゃう人もいるかもしれません。
斎藤
たしかに……。そそくさと去って行く人もいました。
O
基本的な陳列の見本を作ってみましょうか。「本が少ないパターン」と「本が多いパターン」の2つについて解説したいと思います。
斎藤
ぜひお願いします!
本の種類が少ないパターン(1種類を想定)

O
まず、机に敷く布はやっぱりあった方がいいですね。
斎藤
ああ~。会場で布を敷いている人は多かったです。
O
同人誌即売会って、一つの長机を2つのサークルが使うことが多いと思うんですが、布を敷けば隣のサークルとの境もわかります。
そして、本を目立たせるために、布にはできるだけ色があった方がいいですね。会場によっては難燃性の布でないと使えないこともあるので、注意してください。
斎藤
なるほど……。
O
そして、本を平積みしているだけだと、歩いている人から表紙はほとんど見えません。試しにA5サイズの本を置いて、ちょっと離れてみましょうか……。

斎藤
本当ですね! 想像以上に表紙が見にくい。

O
だから、こんなふうに本は立てておいた方がいいでしょう。立体的に陳列するのがコツです。ちなみに、弊社の「スリム面陳列スタンド」という商品を使っています。
斎藤
これは見やすくなりましたが……。すいません! この『イガプロマガジン』ってなんですか?
O
取材してもらうにあたって、私が制作したダミーブックです。
斎藤
えっ。わざわざありがとうございます……! この絵ってOさんが描いているんですか?
O
そうですよ。絵を描くのは趣味なので!
斎藤
めっちゃすごいじゃないですか! 絵の描き方も教えてほしいくらいだ……。

O
値段と内容をかんたんに説明したポップも置きましょう。これなら口頭で値段を説明しなくても大丈夫ですね。今回は弊社の万能POPスタンド『ポップ君』を使用して立てています。

O
それから、本が少ないとどうしても見た目のインパクトが弱くなってしまうので、ポスターを制作しておいて立てられるといいですね。このポスタースタンドは私物ですが、ネット通販などで安価に買えると思います。販売する本が一種類だとすると、このくらいでいいんじゃないでしょうか。
斎藤
なんというか……。すごく「売場」っぽい感じがします。見ていて安心できる。こういうのを僕はやりたかったんだ、と思いました。
O
このくらいの準備をしておくと、通路を歩いている人にもパッと目に入りますよね。

本の種類が多いパターン(2~4種類を想定)
斎藤
今後、いろいろな本を作ったときのために「本が多いパターン」もお伺いしたいです。

O
本が多くなってきたら、陳列台を使ってみるといいと思います。ここでは弊社の「コンパクトひな壇」という商品を使っています。
斎藤
(イガプロマガジンが4巻まで用意されている……)こういう陳列台使っている人、会場でよく見ました。すごく賑やかですよね。
O
高さが出るからより目立ちますよね。ちなみに、売る本が一冊である場合でも、こうした陳列台を使ってみるのはおもしろいと思います。

斎藤
本当だ。自分の本(B5版)を陳列してみたんですが、同じ本が4つ並ぶことになって、迫力が出ますね。

O
本の数が多くなると、先ほど使ったポップスタンドだけでは足りなくなるかもしれません。これは弊社の「クリップワイヤー〔小〕」という商品ですが、こんなふうにいろいろなところにポップを設置できます。

斎藤
全体としてこういう形になるわけですね。自然と『イガプロマガジン』が目に入ってくる……。こういうのって、すごく手がかかっているんだろうと思ってしまっていたんですが、やり方をひとつひとつを聞くと、別にそこまで手間という感じもしませんね。
O
そうですね。4種類くらいだったら、このくらいがちょうどいいかなと思います。ちなみに、さらに陳列するものが増えた場合はケースバイケースにはなりますね。

イガラシプロのグッズ紹介
斎藤
ここまで出てきたイガラシプロのグッズについて解説していただけますでしょうか?

スリム面陳スタンド [中]
1,537円(3枚セット、税込、送料込)
O
まずは本を立てるための「スリム面陳スタンド [中] 」です。今回はいろいろなグッズを紹介してきましたが、多分これが一番使い勝手がいいのではと思います。
斎藤
組み立てる前は薄いのもいいですね。

O
Amazonでは3枚セットで1,537円(税込、送料込)で販売しております。安価ですし、初心者の方はまずはここから試されてもいいかもしれません。

万能POPスタンド『ポップ君』
(金額は後述)
O
万能ポップスタンド「ポップ君」です。これは折り目が付いていて、ある程度好きな高さにポップを表示させることができます。こんなふうに高いところにポップを表示させたり……。

O
机の手前側に垂らすこともできます。
斎藤
なるほど。こりゃ便利だ。

くっつくポップ君
(金額は後述)
O
ポップ君にはバージョン違いがいろいろあって、「くっつくポップ君」もおすすめです。これは高さの調整ができない代わりに、底面に貼り剥がしが可能な粘着テープが付いているんです。
斎藤
貼り付けて固定できるわけですね。こういう軽いものがすぐに動いちゃって困る、というのはすごくよくわかります。
O
弊社の通販サイトから「スリム面陳スタンド(中)」2枚、「万能ポップスタンド『ポップ君』」5本、「くっつくポップ君」3本のセットを1,300円(税込)で販売しています。こちらもぜひご利用ください。

コンパクトひな壇
2200円(税込)
O
弊社では非常に人気があって、即売会に出られる方にすごく売れている商品です。
斎藤
なんでそんなに人気があるんですか?

O
段ボールで軽くできていますし、B4くらいの大きさに畳むことができます。だから持ち込みが非常に楽なんです。会場でかんたんに組み立てることができます。
斎藤
なるほどね、これはよさそうですね。

O
裏側にはスペースがあります。ここにお金を入れる箱などを置いておくと便利ですよ。
斎藤
行き届いておる……!

クリップワイヤー[小]
572円(4本セット、税込)
O
クリップでいろいろな角度にポップを付けられます。コンパクトひな壇と一緒に使われる方が多いです。
斎藤
家の中でも使えそうですね。ちょっとしたメモを留めておくとかできそう……。
同人誌即売会は「楽しさ」を忘れずに!
斎藤
イガラシプロさんは以前からこういった同人誌即売会用のグッズを販売されているんですか?
O
本業は書店向けの什器の製作・販売なんです。最近では個人のお客様からのお問い合わせが増えてきたため、個人向けにも販売するようになりました。
斎藤
それは、やっぱり同人誌即売会に出す人がすごく増えているってことですよね。
O
そうですね。イベントもすごく多くなっている気がします。個人とプロの境界がだんだんなくなってきているような印象も受けます。
斎藤
Oさんはこれまでにもいろいろな同人誌即売会に参加されていると思うのですが、参加への心構えって教えてもらえますか? 僕はまだ何もわかっていないような気がしていて。
O
楽しんでやれればいいと思います。ここまで同人誌を「売る」ことをお話ししてきましたが、商売っ気を出すというよりも、ぜひ楽しさを追求してほしいですね。

斎藤
あ~。僕はちょっと商売っ気が出ていたかもしれないです。本当は自分の漫画をもっといろんな人に見てもらいたい、くらいの気持ちだったはずなのに。金がからむと、つい……。
O
売り手も買い手も楽しんでできればいいんじゃないかと思います。こうした什器も、売り手と買い手のコミュニケーションのお手伝いになればうれしいですよね。
斎藤
ありがとうございます。楽しさを見失わないようにやっていきたいと思います!
O
次の同人誌即売会、がんばってください!
というわけで、同人誌即売会における本の陳列の仕方でした。

それにしてもイガラシプロのOさんには感謝です。最後にちょっと気になる『イガプロマガジン』の中身ですが、白紙でした。本当にこの取材のためだけに作ってくれた本でした!
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