登場人物
この連載では、イラスト作成に関するお悩みを、田中くんとかのと先生と一緒に学んでいきます。今回はテーマは、ソシャゲのポーズデザインです!
ゲーム会社に就職を夢見る学生。
この連載の先生。イラスト・ゲーム・キャラクターデザインなど様々なデザイン、ディレクション等、多岐にわたって活動するマルチクリエイター。
この記事を読むと学べること
ポージングに悩む田中くん
ソシャゲの女の子って可愛いなぁ。絵もかわいいんだけどポーズが最高すぎる。
あれ?もしかして、このポージング技術を自分の絵の中にも取り入れたら最強なのでは??
ソシャゲっぽいポージングって結局何なんだ・・・・?
あら、田中くんお悩みね。
あ、かのと先生・・・!!実は、かくかくしかじかでソシャゲのかわいいポージングで自分の絵を最強にしたいと思ってるんです。
あ、描いてみた絵があるのね!見せてみて!!
うーん。なるほど・・・
ソシャゲといっても色々あるよね。まずは「何を」見せたいか考えてみよう!
ソシャゲポージングをかっこよく見せる極意①「何をみせるか」考える
まずは、何を一番伝えたいか、を明確にすること!
そして「一番伝えたいこと」が目立つようにしてみましょう!
例えば、かわいい顔を一番見せたければ、顔のどアップ。大きな武器と対比したい時や、全体の衣装などしっかり見せたい時はすこし引き姿で…といった感じね。
なるほど。「何を伝えたいか」か…。たしかに僕の絵は「雰囲気」だけソシャゲになっていました。
じゃあ、実際の例を出していくね!
ちなみに、見落としがちなのだけど、目立たせたいものは「前」、「真ん中」に「大きく」に入れることが大事よ!
▶ とにかく顔を見せたい
▶ 全身を見せたい
▶ 魔法や武器を見せたい

ソシャゲポージングをかっこよく見せる極意②「キャラクターの性格・個性を考える」
ん?でも、「目立たせたいもの」って割りとパターン化されませんか?そうすると絵の個性がなくなると思うんですけど・・・
そうね!そこで大事になるのが「キャラクターの性格・個性」よ!
個性・・・!
人は性格によって仕草・話し方が変わるよね。例えば、お嬢様だったら指先までが優雅だったり、粗暴な人であればあるきかたが大股だったり。一枚のイラストでキャラクターの性格・個性を表現する為には、ポーズも大事なポイントになるの。
たとえば…
【元気のいいキャラ】
動きが激しく、体全部をつかったポーズがオススメ!
ダンスやスポーツなど参考にしてみても良いわね!
【静かなキャラ】
動きの少ないキャラクターは似たりよったりになりがち。
だからこそ、髪や小物など、キャラクターの個性となるポイントで動きをつけてみましょう。
どうですか?表情が無くても性格の違いが伝わってきませんか?
たしかに!ポーズだけでもキャラクターの性格が見えてきますね!
ソシャゲポージングをかっこよく見せる極意③シルエットと画角
ソシャゲ絵におけるポージングではシルエットも大事です!
シルエット?
そう!!ソシャゲを思い返してみてほしいのですが、たくさんのキャラクターが出てきますよね。似たような人たちばかり
が並んでいたら・・・
推しを見つけられない・・・!
その通り!
だからこそ、いろんなキャラクターと並んだ時にシルエットだけで誰だかわかるようにすることはとっても重要なの!仕事でソシャゲ絵の依頼が来たら、自分のキャラクターだけでなく他のキャラクターもしっかり研究しましょうね!
ソシャゲ絵の仕事、憧れます・・・!
シルエットで大事なのは、ポーズももちろんだけど、髪の毛や腕などの抜き位置も注意が必要。
物が重なりすぎると何があるかわかりにくいので、見せたいものはシルエット上でもしっかり魅せましょう!

ソシャゲポージングをかっこよく見せる極意④手の演技
手って・・・・。キャラクターの良さって顔と体と性格じゃないですか〜??!!!!
チッチッチ。甘いわね。
細部の演技まで描き込んでこそのキャラクター作り!手の演技は意外と目に付く重要な要素なの!
上品なお嬢様、強い戦士で「物の持ち方」は圧倒的に違うわ。ここまで配慮できている人は、見る人を絵の世界観にしっかり引き込める絵師ね。
うわ!同じ瓶を持ってる手なのに印象が全然ちがう!完全に右の手は育ちが良いことが伝わってきました!!!!
そうでしょ?
キャラクターの性格はこういった細部を意識することで世界観がぐっと表現できるの。神絵師達は自然にやっているように見えるけど、言語化すると改めて理解度が深まるのではないかしら。
神絵師にまた一歩近づけました!!
ソシャゲポージングをかっこよく見せる極意⑤動きのある小物とエフェクト
さて、ポーズが決まったら人物のエフェクトと小物を入れましょう!
エフェクト・・・?
これよ!
わー!一気にソシャゲっぽくなった!
空間を意識したエフェクトやアイテムを入れてあげる事で、奥行きが増して華やかになりますね!
この時、注意してほしいのが、エフェクトを人物のどこに入れているのか、空間をちゃんと意識することです!
前にだけエフェクトをつけて終わる人が多いのですが、同じモチーフであっても前と後で配色を変えたり、後ろに回り込むようなエフェクトを入れると空間がグッと伝わり易くなります。
ふむふむ
あとはそのエフェクトに合わせて髪の毛のなびき方や服の動きも入れましょう!
エフェクトだけ大きな動きがあって、キャラクターの小物は何も動いていないのはかなり不自然になります。
あ、この時に風の方向が、それぞれで違わないように気をつけてね!例えばエフェクトの動きと髪・マントの動き方がそれぞれ違うと、かなり不自然です!
そっか!なんか自分の絵に華やかさが足りないな…って思ってたけど、小物に動きが足りなかったんだな~
なびく髪の毛などカーブを描くのが苦手な人は、S字の練習をしてみると、軽やかな髪の毛や、風になびく布などが描きやすくなるので試してみてね!
※髪の毛などが硬い線になってしまう人は手首などをうまく使って無かったり、力が入りすぎてしまってる傾向があります。
力を抜いて、手首をくにゃくにゃにしてS字を描いてみてください。
軽いタッチになって風になびきそうな線が描けるようになりますよ!
そして、もう一つのポイントは、画角を理解すること。
ソシャゲはスマホで見るので、四角の中にデータをはめてることが多いの。
だから、四角を感じさせないようにすると空間が広がって見えてキャラクターの良さが出るわ。
四角を感じさせないってどうすればいいですか?
イメージ的には丸の範囲内で描いて、四角の範囲内に多少はみ出す感じにすると良いと思うわ。

四角いっぱいに描いてしまうとそこまでしか描けないという壁ができてしまう。
丸の中に収めたり、多少はみ出るくらいだと、まだその先にも空間があるように見える。
また、エフェクトは空間の流れを作るのに便利です。ポーズや魔法の使い方などを考えて、流れを意識して描いてみましょう。
それでは以上を元に田中くんの絵を見直してみましょう!
わー!キャラデザは一緒なのに全然違う!
魅せ方をかえるだけで、伝わる情報量も魅力もUPします!
いろんな魅せ方を研究してみてね!
魅力的な絵が描けるように日々研究ですね!うおー!頑張るぞー!
楽しみにしてるわ!
執筆者
華乃都(かのと)(twitter @rubanribbon)
ゲーム会社、IT 系会社で、イラストレーター&デザイナーとして勤務したのちに独立。
現在はフリーランスのイラストレーター&デザイナーとして活動中。
専門学校でも現役で講師をしている。
イラスト(ファッション画、水墨画、ゲーム系etc…)
デザイン(グラフィック、パッケージ、UIX、グッズ、etc…)
The Kitten Louis イラストレーター/ エグゼクティブプロデューサー
クリエイティブディレクター、プロデューサーなど多岐にわたる