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妄想から溢れるロマンチックな世界を描く<後編> ー イラストレーター・シェリーリリー

イラスト・漫画ともにロマンチックな世界観で多くのファンを魅了しているシェリーリリー氏。

前編では、出版したイラスト集や連載している漫画に込められたこだわり、シェリーリリー氏の世界観を作り上げた “原点” についてお話を伺った。

後編では、イラストレーター/漫画家という職業に焦点をあて、仕事の進め方やリフレッシュ法、新しいことに挑戦することの楽しさについてたっぷりとお話を伺った。

SNSでの繋がり、そして夢の実現

『ロマンチックな恋人たち』

 

ーー仕事が増えたきっかけはInstagramですか?

シェリーリリー:そうですね。Instagramでフォロワーが増えたことがきっかけです。そこからいろんな企業さんから DM が届くようになって繋がってるという感じです。

ーーフォロワーさんが増えたきっかけがあれば教えてください。

シェリーリリー:ファンタジー要素のない日常の中の一コマみたいな感じの絵がきっかけで増えました。男の子が女の子にベッドの上で「大好きだよ」みたいなことを言ってる絵です。その時スペインにいたのですが、家に帰ってインスタを開けたら通知が凄くて…(笑)

ーー 通知が止まらないって凄いですね!

シェリーリリー:友達にも驚かれました!その後もバズるきっかけの絵がいくつかあり、徐々にフォロワーが増えていったという感じです。

ーー今までで一番思い出に残っているお仕事はありますか?

シェリーリリー:「ar」というファッション誌があるのですが、そこにイラストと漫画を掲載いただいたことです。
昔からファッション雑誌に載ってるお洒落な漫画が凄く好きで、ファッション誌に自分のイラストと漫画が載って「一つ夢が叶った!」といえる、とても嬉しかった仕事でした。

ーー夢が叶うって何にも代え難い喜びですよね。お仕事を円滑に進めるために気をつけていることはありますか?

シェリーリリー: お仕事だとそれぞれのクライアントさんが求めてる物の形が違うのでそれをキャッチアップするっていうのが一番大事なポイントかなと思います。それをきちんとキャッチアップできるように打ち合わせするのも大事だし、イメージの写真を共有してもらったり…私の絵の中で「こういうイメージでお願いしたい」というのがあれば、そのイラストを指定してもらったり、カラーのイメージがあるか訊いてみたり。
着色の段階で手戻りが発生すると大変なので、なるべくラフの段階ですり合わせすることを心がけています。

ーー1日のタイムスケジュールはどのような感じでしょうか?

シェリーリリー: 10時ぐらいに起きてご飯を食べて、18時か19時ぐらいまで仕事しています。その後にご飯やお風呂をすませて、22時ぐらいからもう1回お仕事タイムをとっています。 一応火曜日をお休みにしているんですが、土曜日も仕事はちょっとだけにしたり…その時々によってっという感じです。

ーーアイデアに困ったときのリフレッシュ法はありますか?

シェリーリリー: 完全に散歩か寝る(笑)外に出る気分にならなかったらもう寝る!みたいな。ある程度ゴロゴロすると結構満足して「よし、やろう!」という気持ちになるのでそれを待つ感じでしょうか。締め切りに追われてたらやるしかないんですけど(笑)

『絵描きのグッツ屋さん』キャンバスパネル・ステッカー

『絵描きのグッツ屋さん』キャンバスパネル・ステッカー

 

ーー締め切り前は頑張るしかないですもんね(笑)イラストレーターとして一番幸せと感じる瞬間はどのような時ですか?

シェリーリリー:クライアントさんに満足いただけて「頼んでよかった!」とか、同じ企業さんにリピートしてご依頼を頂いた時とか、私の仕事に満足いただけたんだ!と思った時が一番嬉しいですね。

ーー逆に、辛いなと思うことはありますか?

シェリーリリー:これは本当にしょうがないんですけど、連載の終わりでしょうか。この時が終わりですって決まってる終わり方だったらいいのですが、そのメディアがなくなっちゃうとかは寂しいですね…。別れがあれば次の新たな出会いがある、とポジティブに考えるようにはしています。

色んなことへ挑戦した先に今がある

『ロマンチックネオンドリーム』

『ロマンチックネオンドリーム』

 

ーー絵を描くこと以外の趣味はありますか?

シェリーリリー:実はフラメンコにはまったことがきっかけで、スペインへ留学したことがあります。

ーーえっ?スペインにですか? 

シェリーリリー:最初は観光目的で3ヶ月くらい滞在したあと戻ってきたのですが、その後「やっぱりもっとフラメンコを学びたい!」と再びスペインに行ってシェアハウスで暮らしていたんです(笑)その時は4年くらい住んでました。ちょうどスペインにいた時にインスタにイラストをアップし始めたんです。
お金は無かったですけど、毎日絵を描いたり…フラメンコしたり…一緒に住んでる人達と夜集まってお話したり…本当に生活が楽しくて!(笑)全員女性で年齢もバラバラなんですけど、本当に皆自由で楽しかったですね。
日本だと色々なしがらみがありますけど、あちらだとそれが全然なくて「一生このままでもいいな」って思うくらい楽しかったです!

ーーフラメンコにはまってスペインに行ってしまう行動力も凄いですし、好きなことをどんどんやっていく姿勢も見習いたいです。これからイラストレーターを目指す人達に向けて、ぜひアドバイスをお願いします。

シェリーリリー:近道の方法はもしかしたらあったのかもしれないですけど、色んなことを経験して今があると思っています。何かやりたいことや興味があること、私は割と恐れずにチャレンジしてきたので、もしやりたい事があってどうしようかなって迷っているなら絶対やった方がいい!と思います。それが違ったとしても全然よくて…違ったなっていうのがわかったら、また新しいことを始めればいい。すぐ辞めちゃったとしても全然問題ないからとにかくやってみる!ということが大事だと思います。

ーー行動したからこそ、自分に合う・合わないがわかりますよね。

シェリーリリー:私自身、漫画も編集さんがついたけどデビューには至らなかったし…絵に関して自信がないところもあるのですが、自信がないからといって自分を下げたりしちゃうとお仕事を頼んでくださる人にも良くないし、自分自身が可哀想だなと思う。
頑張って毎日描いている自分に対してそう思うのはよくないな〜と感じて、最近はそういう風に自信がないみたいなことは言わないようにしています。
上手な人は上手だし、たくさん絵を描く仕事をしている人はいるので、そういう人たちと比べたりしてもしょうがない。今の自分を認めて、とにかく描く!!ということを大切にしています。

次の目標に向かって

『ラフォーレ原宿1.5F Base lab.アクセサリーshop Holic mii様  単独POP UPメインビジュアルポスター』

『ラフォーレ原宿1.5F Base lab.アクセサリーshop Holic mii様 単独POP UPメインビジュアルポスター』

 

ーーイラストも漫画もどちらも積極的に活動なさっていますが、今後やってみたいと思っている絵のお仕事はありますか?

シェリーリリー:雑誌に漫画とイラストを掲載していただくことだったり、あとは商品のパッケージとか…イラストレーターさんとコラボレーションで化粧品とか文房具とかお菓子とか飲み物とか、今けっこう多いですよね。そういう仕事が出来るように頑張りたいなと思っています!

 

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ファッション誌にイラストが載るという夢が叶った経験や、スペインへ単身で渡った経験など、メルヘンなイラストからは想像できないシェリーリリー氏独自の貴重な体験談をいくつもお伺いすることができた。

人生の色んな局面で「やりたいことを恐れずにチャレンジしてきた」という姿勢から、夢を叶えるためには「行動力」が欠かせないということを改めて考えさせられるインタビューとなった。

また、クリエイターが陥りがちな他者との比較も「ポジティブなマインド」で切り開くその姿勢はクリエイターのみならず、様々な人がお手本にすべき生き方と言っていいだろう。


シェリーリリー(TwitterInstagram
長崎出身のイラスト・漫画描き。SNSフォロワー20万人超。
恋人たちのロマンチックなときめきを妄想たっぷりにセクシーに描いたイラストを「妄想日記」と題しInstagramにて更新中。
2018年8月、河出書房新社より初のイラスト集「星降る夜のロマンチック妄想録」を出版。