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子育て中でもイラストをがんばれるのは「自分の可能性を広げる」ため。GENSEKIイラコン年間大賞「にのまえはじめ」インタビュー

 

こんにちは。GENSEKIマガジン編集部です。先日「GENSEKIイラコン年間大賞」の結果が発表されました。

「GENSEKI イラコン年間大賞」結果発表!! - GENSEKIマガジン

大賞に輝いたのは、にのまえはじめさんです。

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にのまえさんは応募数が本当に多く、審査をしようとすると「今回もにのまえはじめさんが応募されている……!」とスタッフは毎回ビックリしていたくらいです。いったい、にのまえはじめさんはどんな方なのか? お話を伺いました。

 

絵を描けるチャンスは1日に2回

―GENSEKIイラコン年間大賞の受賞おめでとうございます! 受賞を聞いたときはどんな気持ちでしたか?

 

にのまえ
ありがとうございます。GENSEKIイラコン年間大賞は「絶対に大賞を獲りたい!」と思ってがんばっていたんです。会社のお昼休みに休憩室で受賞のメールを見て、うれしすぎて階段を駆け上がってしまいました。

 

―にのまえさんは、現在2歳のお子さんの育児をしながら会社勤めをしているとお伺いしています。イラストを描く時間を捻出するのも大変なのではないでしょうか?

 

にのまえ
そうですね。私が絵を描けるチャンスは1日のうちで2回あって……。

まず会社のお昼休みです。45分のお昼休みで、昼食を食べて、残りの時間に持参しているiPad Airで絵を描いています。会社の人にイラストを描いていることは言っていないので、こっそり、です。

もう一つは家で娘の寝かしつけを終えた後ですね。娘が寝るのはだいたい21時から22時くらいの間です。「寝たな」と思ったら、そのまま寝室で真っ暗な中、iPad Airで1時間くらい絵を描いています。いつも娘には「早く寝てくれ」って思っていますね(笑)。

休日ではチャンスがもう1回だけ増えます。夫が娘の昼寝の付き添いをしてくれるので、その時間も描くことができるんです。

 

―ハードな毎日の中、応募していただいていたんですね。

 

にのまえ
昔の私は「バイトが忙しいから絵を描いている時間なんてない」みたいに、自分が行動しないことを正当化していました。ただ、そういった考え方を続けていても、何も成長できません。結局は自分のためにならないんです。

だから「時間がないからできない」って、思わないようにしたいんです。

現在の自分の生活を考えてみると、家事や育児や仕事の優先度が相当高くなっています。でも、その中に自分が本当にやりたい「絵を描く」ということを入れてもいいんじゃないか、と思いました。

 

―使える時間が少ない中、GENSEKIに応募する絵はどのくらいの時間で描き上げているんでしょうか?

 

にのまえ
たとえば、こちらの「GENSEKI2周年記念名刺裏デザインコンテスト」で「解像度爆上がり賞」をいただいた絵は1時間くらいで描きました。

はじめまして、こんにちは!

―シンプルなイラストとはいえ、1時間で描いているのはすごいです!

 

にのまえ
このときは、たくさんのアイデアが湧いてきて、それを全部描きたくなっちゃったんです。「あれも描きたい、これも描きたい」って思っていると、どんどん描くスピードが速くなっていって。たくさん描いた後に、いくつかピックアップして応募しました。

 

たくさんの作風を使い分ける

―にのまえさんはたくさんの作風をお持ちですよね。

光の対
(劇場版『Re:STARS 〜未来へ繋ぐ2つのきらぼし〜』ファンアートイラストコンテストにて佳作)

シンプルでかわいらしいタッチのイラスト。

 

君の名は
仕事・バイトあるある2コマ漫画コンテストにて佳作)

かわいい絵柄を生かしたエッセイ漫画。

 

ポップでキュートな彼女にイチコロ⭐︎

VTuber「波浪ヒカリ」衣装デザインコンテストにて佳作)

伸びやかな線が気持ちいい、衣装デザインイラスト。

 

今日から辰年だよ
(第一回カラクリコンテストにて佳作)

年賀状を題材としたグラフィックデザイン。

 

色の案内人

ABTをイメージしたオリジナル擬人化キャラクターコンテスト佳作)

なんと、アナログ作品も応募いただいています!

 

忘れちゃった

ゾンビ縛り応募)

油彩と、色鉛筆と、ペンを組み合わせた複雑なコラージュ作品まで……!

 

―絵のスキルはどのようにして身につけていったのでしょうか?

 

にのまえ
絵本作家を目指していて、イラスト系専門学校のコミックイラスト科で絵を学びました。在学中は透明水彩やアクリルガッシュなどを使った絵を描いていました。当時はデジタルではあまり描いたことがなくて、ほとんどアナログでしたね。現在ではアイビスペイントで描くことが多いです。

―イラストも漫画も描ける理由がわかりました。ところで、グラフィックデザインのコンテストにも出品いただいていますよね。デザインのスキルはどのようにして身につけていったのでしょうか?

 

にのまえ
いままでグラフィックデザインはやったことがなかったのですが、コンテストに応募したくて、グラフィックデザインのことを一生懸命調べて制作しました。できないからやらない、なんて思わずに、まずはやってみたんです。

 

―初めての挑戦で、賞を取られているのはすごいですね!

 

にのまえ
作っている最中も「私はグラフィックデザインには向かないのでは……?」なんて思っていたのですが、応募して本当によかったと思っています。

 

いろいろな視点を持つことを心掛ける

―にのまえさんの中で、テイストの使い分けのポイントなどはあるのでしょうか?

 

にのまえ
募集要項をしっかり読み込んで、コンテストの主催者や、審査員の意図をしっかりと考えた上でテイストを決めています。相手のニーズを汲んで、それに合わせているという感じです。ただ、ニーズにあわせすぎているかもしれないと思うときもあります。もっと自分自身を打ち出してもいいのかもしれません。これは悩みですね。

 

―にのまえはじめさんが絵を描くときに大切にしていることはなんでしょうか?

 

にのまえ
絵を描くときにまず考えるのは自分の描きたいものです。でもそれと同時に、見た人がどう思うかも考えます。いろいろな視点から見るということを自分の中で大切にしています。

それから、私の絵は他の人とくらべたときに特別に上手というわけではないと思うんです。それでも見た人に「おもしろい」って思ってもらえるように、何か一つずば抜けたところを入れられたらと思っています。

 

―にのまえさんの今後やってみたいことや、展望などを教えてください。

 

にのまえ
引き続き、GENSEKIのイラストコンテストには出品したいと思っています。自分の可能性をどんどん広げていきたいんです。

今後はSNSを活用して知名度を上げていくと共に、似顔絵やデザインフェスタなどの外部イベントにも参加をしてみたいと思います。また、雑誌の挿絵などのお仕事に興味があります。次なる目標に向けて日々精進してまいります!

 


 

GENSEKIイラコン年間大賞に輝いたにのまえはじめさんでした。忙しい中でも自分の可能性を広げていくという姿勢に、襟(えり)を正される思いがしました。

 

GENSEKIイラコン年間大賞は2023年度のみの開催となり、2024年度のGENSEKIイラコン年間大賞は予定しておりません。しかし、これからもGENSEKIはさまざまなイラストコンテストを開催していきます。ぜひ皆様もチャレンジしていただけたらうれしいです!

お話を聞いた人

にのまえはじめ

GENSEKI:にのまえ はじめ @hanamura
X:@ninomae__hazime

執筆斎藤充博(X:@3216WebGENSEKI