こんにちは! GENSEKIマガジン編集部です。ご好評いただいているgreen322先生の添削シリーズの第6回をお送りします。
『green322先生に イラストの添削をしてほしい人募集!』でご応募いただいた作品を、実際に先生に添削していただきました。
green322(X:@green322green)
Xで14万人以上のフォロワーを持つ人気イラストレーター。美術系大学卒業後中学校の美術教諭として勤務、退職後イラスト制作会社でアートディレクターとして作品の品質管理を担当。その後ゲーム開発会社でのイラストレーター勤務を経て、現在フリーのイラストレーターとして活動中。
添削イラスト応募者
みなせあおい(X:@minase_0904)
みなせあおいさんのお悩み
今回の添削対象は、みなせあおいさんのこちらのイラストです。
ー今回のイラストで自分が思い通りにいかなかった点や、特に気になっていてフィードバックが欲しい点を教えてください。
パッとしない、目が滑るようなイラストになってしまいました。人物と背景で明暗差をつけ、背景の描き込みを少なくすることでキャラクターを目立たせようとしたのですが、あまりうまくいっていません。キャラクターも固い印象になってしまっています。
ー普段、イラストを作成する上で困っていることや、悩んでいることはありますか?
着色が苦手です。色選びがうまくいかなかったり、明暗差があまりつけられないことに悩んでいます。特に髪の塗りに苦手意識があります。
それから、ポーズや髪などの動きの少なさのせいなのか、キャラクターが固くなってしまうことにも毎回悩んでいます。
ー目指している絵柄や作家さんはいますか?
ひさぎ先生(Twitter @hisagi_02)、みわべさくら先生(Twitter @sakurapion)、さとうぽて先生(Twitter @mrcosmoov)のような透明感があってかわいいイラストを描きたいです。
【添削ポイント】見せたい部分に目が行く工夫を考えよう
みなせあおいさん、この度はご応募いただき誠にありがとうございます!
今回のイラストは、まずお顔のかわいさに目が行きました。やはりかわいいお顔を描けるのは大きな強みですね……! また、キャラクター全体に手が入っていて、画面が充実していて素敵です。
添削では上記の長所を活かしつつ、お悩みの「目が滑るような印象」を解決することを目指しました。
目が滑ってしまう、というのは言い換えれば焦点が定まらないということです。つまり「見せたい部分に目が行かない」という問題を解決できれば良いわけです。
そのためには、みなせさんがおっしゃるように「明暗差・描き込み量」と、もう一つ「形の正確さ」を考える必要があります。
形を整えることで、見せ場をさらに目立たせよう
具体的な方法をひとつずつ見ていきましょう。
1.明暗差
もともと積極的に影を置いていて、この点での目的はかなり達成できています。
ただ、胸まわりや裾から落ちる影など、欲しいところに影がない、または少ないため、
メリハリがやや物足りなくなっています。
ここを解決するために影を塗り、メリハリを出してキャラクターにより目が行くように調整しました。
2.描き込み量
描き込みは、キャラクターに目を行かせるためには確かに必要です。
ですが、描き込みを強めるところを決めずに全体を描き込んでしまうと、かえって焦点が定まらなくなってしまいます。そこで、描き込みを増やすのは見せたい部分のみに絞ります。見ている人がどこを見たらいいのかわかるように誘導しましょう。
今回のイラストで魅力的に映る部分は「顔・胸・太もも」です。ここを重点的に描き込んで密度を上げ、真っ先に目が行くようにしました。
3.形の正確さ
このイラストは全体の要素がとても充実していて完成度が高いのですが、各パーツの形が少しずつずれていて、その連続が違和感を生んでしまっています。
その違和感が見せ場の訴求力を妨げてしまい、目が滑る原因の一つになります。非常にもったいないので、ラフの時点で可能な限り形にはこだわりましょう。
調整では頭の長さを短くし、鼻の位置を少し下げてお顔のかわいさを強めました。胸と太ももは大きく立体的に形を整え、パッと目に飛び込んでくるようにします。手も人体の見せ場にできますので、少しだけ大きくして形を丁寧に描きます。体全体はかわいく華奢(きゃしゃ)に見えるように、胴を短く、肩幅を狭くしました。
こうしてひとつひとつ形の追及していけば、お悩みの一つである「動きの固さ」も同時に解決できると思います。
また、形の理解は陰影をつける際の大きな補助になり、明暗差をきちんとつけることにもつながります。
クロッキーなどをたくさん行って、ぜひ人体構造の理解を深めてみてください。
上記を添削したものがこちら!
【さらにひと手間】整理した視線誘導を、描き込みと色調整でもっと強める
さらに、ここまでで整理した「見せ場」をもっと強調するため、髪の落ち影をフリルに描き込みました。お顔まわりの情報量を増やすことで視線誘導を強め、フリルの透明感も表現できます。
服のシワも増やして画面全体の情報量を上げ、フリルの形を整えて立体感も加えます。
また、背景や体が回り込む部分など、印象を弱めたいところは、スクリーンモードの複製レイヤーを重ねて、逆光のように明るく飛ばします。
細かい調整ですが、見せたい部分をもっと演出することで、イラスト全体のクオリティも底上げできます。
トーンカーブで全体の色を引き締めたら、にぎやかしのエフェクトを加えて完成です。
添削完了!
添削を加えたイラスト
元のイラスト → 添削経過 → 添削完了の変化
【総評】成長が楽しみな段階。どんどん描いて上手くなろう!
みなせあおいさんの描き方を見ると、イラスト制作の基本的な考え方が身についていることがわかります。すばらしいですね。
作画のクオリティがぐんぐん上がっていく過程にいらっしゃると思うので、自信を持ってどんどん描いていってください! このまま続けられれば成長速度はかなり速いと思います。
添削ご応募ありがとうございました。これからもお互いがんばりましょう!
添削イラスト募集中!
この連載では、green322先生にイラストの添削をしてほしい人をまだまだ募集しています!
元のイラストの良さはそのまま活かして、さらにクオリティを上げるポイントが満載の、学びの多い添削です!
皆さまからのご応募お待ちしております✨
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執筆
kao(X:@kaosketch/Web/GENSEKI)
編集