凄腕の漫画家・イラストレーターを目指すための「GENSEKI塾」が開塾!
初回は、絵描きの大半がぶつかる壁「右向きの顔が描けない問題」に取り組みます。
■ 登場人物
原石巌(げんせき いわお)
「GENSEKI塾」の塾長。メチャクチャ漫画を読んで研究をしている理屈バカだが、絵は描けない。
真賀角男(まが かくお)
唯一の塾生。漫画で一発当ててドリーミングな生活を送るため「漫画王」を目指しているが、できるだけ努力はしたくないと思っている。
漫画王になって一生楽して暮らしたい「真賀角男」
……すがすがしいまでにクソな願望だな。そんなモチベーションで漫画王になれるとは思えないが……。
で、どんな絵を描いてるんだ?
うーん、そこそこ描けているけど……。どーして左向きの顔ばっかりなんだよ!
ドキーン!
あー、絵描きあるあるの一つ「フレミングの右顔の法則」だな。
そりゃ右手の法則だろ。
とにかく、一定の方向の顔は描けるのに、逆向きになると描けなくなってしまう絵描きはメチャクチャ多いのだ!
どーして? 同じ顔なのに……!?
いくつか理由が考えられる。
・そもそも左向きの顔は描きづらい
・単に描き慣れていない
・目の錯覚
まず、右利きの人間は左向きの顔が描きづらいというのは、関節の構造上、仕方ない部分もあるのだ。
関節!?
人間の関節の可動と絵の描きやすさ
それはわかったけど……じゃあどうやったら描けるようになるのさ!?
そりゃ、練習するしかないわな。
そんな話、聞きたくない! もっと簡単に左向きの顔をマスターしたいのに……。
あっ、そうだ。今どき絵を描くのもデジタルなんだから……。
デジタル絵なら”反転”で解決・・・・?
左向きの状態では普通に見えてたのに、反転させたらメチャクチャ歪んで見える!
目の錯覚なのか何なのか、描いている最中は整って見えていた絵が、反転させたらデッサンが崩れまくっていた……というのもあるあるだな。
有名漫画家の絵でも、反転させてみたらヤバイというケースが結構あるから、単純に反転させれば逆向きの顔が描けると考えるのは大間違いだ!
いいアイデアだと思ったのに。
これも関節の構造上の問題なのか、たいてい、どちらか斜めに歪んでいるケースが多いから。
歪みをツールで調整する
とはいえ、デジタルで加工した絵はやっぱり違和感アリアリだから、自力で描いた方がいいと思うぞ。地道に練習を繰り返して……。
イヤだーッ! 地道なんてクソ食らえだッ!
じゃ、じゃあ、描き上げた顔自体を単純に反転するのではなく、左向きに描いた顔の目、鼻、口などの位置を描き込んだ〝アタリ〟を反転させて、それを下地にして描くという手もあるぞ。
右向きのアタリを反転させる
これだと、自力で描くよりは簡単に描けて、デジタルで反転させるよりは自然な顔を描くことができるのだ。
コレ、右向きの顔を描くためには、まず左向きの顔を描いて、アタリを反転させて、それを下地に右向きの顔を描くってこと!? 二度手間じゃん。面倒くせえ!
だから、どっち向きの顔も自在に描けるように練習するのが、結局一番手っ取り早い……。
イヤだイヤだーッ!
それでは……苦手な右向きの顔を描かずに漫画を完成させることができる、究極奥義を教えてやろう。
えっ、そんな奥義が!?(ワクワク)
右向きを描かずに漫画が描ける究極奥義
右向きの顔を描くのが苦手な人は、普段の落書きでも一枚イラストでも、左向きの顔ばかりを描きがち。だからいつまで経っても右向きの顔を描き慣れないという問題もあります。やっぱり、苦手でもムリヤリ練習するしかないんでしょうね……。
執筆者
著・漫画
北村ヂン (twitter @punxjk)
漫画家やイラストレーターの絵柄を研究するライター&イラストレーター。気になる絵は定規片手に比率を分析しながら鑑賞しています。