雰囲気のある画面作り、懐かしさを感じさせる色合い。
統一感のある独特の空気感を描き、小説の挿画、広告やYouTubeなど多くの媒体で活躍中のイラストレーター・Ney氏。
表現豊かな目線で、Instagramでは10万人以上のフォロワーの心を掴み、YouTubeチャンネル『Ney Y』や『class101』の活動では、イラストが出来上がるまでのメイキングも惜しげなく披露する。
吸い込まれる魅力的な人物と、心に波紋を残すイラストがどうやって生まれるのか、様々な角度からお答えいただいた。
「懐かしさ」や「不安」も表現のエッセンス
ーーまず、ご自身の代表作品をご紹介頂ければと思います。
Ney:こちらは2020年6月ごろに描いた絵です。普段からタイトルをつけるのが苦手なので、この絵も無いのですが、テーマからつけるとしたら『思い出、記憶』という感じです。私はこういう、夢の中で見るような霞んだ昔の思い出とか、古い記憶の中の人物をよく描きます。
ーーとても雰囲気がありますね。
Ney:どことなく懐かしさを感じるけど不安になる…みたいな絵を描きたくなって、この絵を描きました。
ーーこの作品はどのくらいのお時間で描かれたのでしょうか?
Ney:制作期間は1週間くらいだと思います。1日の間で少しづつ描き進めていくことが多いです。昨年、この絵で小説家の遠野遥さんの「教育」(河出書房新社)装画を担当させていただきました。
ーー1作品にかける制作時間も、大体同じくらいで描かれるのですか?
Ney:そうですね、だいたい3時間〜5時間程度です。その時の集中力で結構変わります。
周囲からの刺激を、力に変えて
ーーいつ頃から絵を描き始めたのでしょうか。きっかけはありますか?
Ney:きっかけは覚えていないのですが…。思い出せる記憶では、5歳くらいの時には、もうよく絵を描いていたと思います。小さい頃は自然のスケッチをしていました。小中学校では美術に関わりはなかったんですが、好きな漫画やゲームのキャラクターを友達と描きあっていました。
ーー楽しく描かれていたんですね。非常に技術力の高さを感じる絵柄ですが、絵の勉強はどのようにされたのでしょうか?
Ney:高校はデザイン科に入ったので、美術の歴史やデッサン、油画、日本画、彫刻など、絵に関するあらゆることを学びました。
ーー絵がとても上達したなというタイミングや、転機になったな、と思う事はありますか?
Ney:その高校に入ってからだと思います。クラスみんなが、絵が好きで上手い子たちばっかりだったので。「卒業するまでに一番上手くなってやる!」と勝手にやる気を出していました(笑)
ーーすごい!(笑)そこでやる気が出るというのが素晴らしいです。
尊敬するイラストレーターや、師匠と言えるような方はいらっしゃいますか?
Ney:画家の方だと、エドワード・ホッパー(Edward Hopper)さんとオディロン・ルドン(Odilon Redon)さんが好きです。漫画家では冨樫義博さん、それからジブリの宮崎駿さんです。冨樫さんは、よく幽遊白書の絵を真似しながら描いていたので勝手に絵の師匠にしてます(笑)
ーー憂いや雰囲気のある方たちで、Neyさんの作風と共通するものを感じました。
作風について、意識している事や、こだわりがあれば教えてください。
Ney:落ち着いた色味が好きなので、それを出せるように意識しています。
絵と向き合ってこその成長
ーー絵を描くことが趣味から仕事に変わった時、イラストレーターとして活動し始めたのはいつだったのでしょうか?
Ney:描いた絵をSNSに投稿し続けていたら、ありがたいことに段々と沢山の人にみてもらえるようになりました。それでお仕事の依頼が来るようになったので、それまで考えていた本関係の進路は一度置いておいて、イラストレーターになろうと思いました。
ーーSNSから新しい道が開けていったのですね。フォロワーが増えたきっかけはありますか?
Ney:イラストを投稿し続けているうちに段々と、という感じです。時々いつもより多くの人に見てもらえる時もあって、そこでぐっと増える時もあります。
ーーGENSEKIにもご登録いただいていますが、サービスの印象はいかがでしょうか?
Ney:絵を描きたい人、描く人を探す人が出会えて、凄く良いサービスだと思います。
ーーありがとうございます。今後も更に、絵やお仕事が広がるお手伝いをしていきたいと思います。
ーー現在受けていらっしゃるお仕事や、代表的なお仕事はどういったものでしょうか?
Ney:サッカーチームとのコラボ商品の制作と、展示用のイラスト制作などをしています。
ーー今まで手がけた作品の中で、一番思い出に残っている仕事や、印象的なものは。
Ney:小説の装画のお仕事です。凄く光栄なことだと張り切って取り掛かったものの、中々思うようにはいかなくて。経験不足、技術不足を痛感しました。でも反面、凄く楽しくて、成長を感じられるお仕事でした。
良いと思える幸せ、世界を巡る夢
ーー普段の画材や機器、ソフトは何をお使いですか?
Ney:機器はipad proを使っています。ソフトは主にCLIPSTUDIOPAINTと、procreateです。
ーーアイデアに詰まった時は、どうされているでしょうか?また、絵を描く事以外で、ご趣味はおありですか?
Ney:行き詰った時は、好きな画家の絵を見たり、読書、映画・ドラマを見たりします。ゲームや、体を動かす、出かけることなどもしています。趣味も大体同じで、あとは歌とダンスも好きですね。
ーーイラストレーターをやっていて、一番幸せを感じる瞬間はどんな時でしょうか?
Ney:何もかもが良い、好きと思える絵を描けた時です。ふとした瞬間にその絵を見返して、心から「良い」と思えた瞬間が幸せです。更に、その絵を見てくださった方々からのコメントを見るのも、幸せですね。
ーーでは逆に、今までイラストレーターとして活動をしている中で、辛かった時は.あるでしょうか?
Ney:辛かった時…納期と、気分が絵に向かない時です。それが段々プレッシャーになってきて辛いので、一旦絵から離れて辛さを忘れます。絵から離れると言いましたが、納期は守ります(笑)
ーー大事な所ですね!(笑)最後に、イラストレーターとして、今後やってみたいお仕事や抱負をお聞かせください。
Ney:装画、挿絵、YouTubeのイラストなどです。アーティストさんとのコラボも楽しそうなのでできたら良いなと思います。あと、世界中を周りながら絵を描く仕事がしたいです。もう少し成長できたら、画集や個展などもやってみたいです。
Ney(Twitter)
イラストレーター 好きなものを描きます