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PALOW.・米山舞・有馬トモユキが対談 イラストレーターの未来、そして今後、求められる価値とは【Re\arise 誕生前夜】

2022年6月11日~6月19日で開催された、SSS Re\arise #1 TOKYO
国内屈指のイラストレーターが集うクリエイティブ集団「SSS by applibot」(高木正文氏、米山 舞氏、PALOW.氏、タイキ氏、BUNBUN氏、セブンゼル氏、NAJI柳田氏、一才氏 [ 順不同 ] )が主催した、展示会である。

今回は、Re\arise #1 TOKYOのプロデューサーのPALOW.氏、アートディレクターの米山 舞氏、そしてRe\ariseのデザインを作成したメインデザイナーの有馬トモユキ氏にRe\arise誕生にまつわる裏話、そしてこの展示会の向こうにあるイラストレーターの未来について語ったトークショーの内容を完全レポートとして紹介する。

登壇者

米山舞

SSS by applibot 所属。2007年に株式会社ガイナックスに入社し、アニメーターとして活動。2017年からイラストレーターとしても活動の幅を広げる。代表作は、アニメ「キズナイーバー」キャラクターデザイン、アニメ「キルラキル KILL la KILL」作画監督、アニメ「ダーリン・イン・ザ・フランキス」ED演出、作画監督や、ファミ通文庫「海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと」装画など。

PALOW.

SSS by applibot 所属。福岡県出身のイラストレーター・キャラクターデザイナー。
2011年よりPALOW.として活動を開始。2013年に発表した「虫メカ少女」シリーズが話題を集め、2016年にはHALのTVCMに起用され注目される。花譜/理芽のキャラクターデザインを担当。複雑な幾何学的モチーフを用い独自の世界観を作り上げる。

有馬トモユキ

1985年生まれ。コンピューティングとタイポグラフィ、物語をキーワードに複数の領域を横断するデザインを行う。武蔵野美術大学・基礎デザイン学科非常勤講師。著書に「いいデザイナーは、見ためのよさから考えない」(星海社)がある。2021年に日本デザインセンター内にポリローグ研究室を設立。Re\ariseにおいてデザインを担当。

米山舞氏(左)・有馬トモユキ氏(真ん中)・PALOW.氏(右)

米山舞氏(左)・有馬トモユキ氏(真ん中)・PALOW.氏(右)

PALOW.:本日は雨の中お越しいただきありがとうございます。今日はRe\arise誕生前夜ということでなぜ僕らがこの展示会を始めたか、深掘ります。

米山:皆様、お集まり頂きありがとうございます。Re\ariseのクリエイティブディレクターを担当しました、米山舞です。今日はお越し頂き、ありがとうございます。それでは、本日の主役をお呼びします。Re\ariseのメインデザイナーを務めてくださった有馬トモユキさんです。

有馬:よろしくお願いします。

米山:早速やっていきましょう。今日はこの3人でRe\arise誕生前夜を話していきましょう。では早速、有馬さんのご紹介をさせてください。

有馬氏プロフィール

有馬氏プロフィール

有馬:僕は今、会社員デザイナーをやりつつ、今回のようなプロジェクトへの総合的なデザイナーとして参画もしています。
基本は、グラフィック屋・Web屋その他の領域のデザインをよくやっていて、画集とかイラストレーション・アニメーションが仕事として多くそれにまつわるグラフィックデザインををやっています。

PALOW.:僕から補足すると、有馬さんはトータルでデザインできるデザイナーです。デザインをするためのデザインができる。今回この会場にあるデザインも、有馬さんに手掛けていただきましたが、ここに行き着くまでの道筋を作れるのが本当にすごい。

有馬:そう言っていただけて嬉しいです。
デザインで解決することなのか、という問題あるじゃないですか。「ロゴ」を作れば解決するのか、という。ぼんやり抽象化して考えてほしいんですけど、「ロゴ」なのか、「模様」なのか、「絵」なのか、そういった判断を含めてデザインと呼びたくてですね。だから今回Re\ariseを開催するにあたっても、コトの起こりから、お話してましたよね。

米山:そうですよね。

有馬:いつごろでしたっけ?去年?

PALOW.:本当に最初の頃、「SSS」が2年目くらいの時でしたっけ?

有馬:はい

PALOW.:二人で「SSS今後、どうするんや」みたいな話を、ご飯食べながら話しましたよね。

米山:そう、SSSが企画として形になることが、あんまりないみたいな。

有馬:今日のトークショー、やばいですね

米山:ぶっちゃけトーク (笑)

有馬:今日は、正直言って会場の皆さんのリアクションが頼りなのでお願いします!

米山:笑い話なんですけど (笑) で、どうする?って有馬さんに愚痴を聞いてもらって。

職業「イラストレーター」をなんとかしたい

米山舞氏(左)・PALOW.氏(右)

米山舞氏(左)・PALOW.氏(右)

 

PALOW.:僕らは、絵描きが7人集まりました!すごい強い絵描きです!以上!え!ちょっとまった!みたいな。何が起こるんだ、いや起こりません、なぜかというと私達は何もしていないので。それはそうなんですよ。だって絵だけ描いても実際、何かができるわけではないので。
米山さんを始めとしたすごい才能の人が集まったところで、それだけで何かが成せているわけじゃないので、何をどういうふうに始めれば良いのかを、有馬さんにご相談しました。

米山:そうそう。メンター的な立ち位置で相談させてもらって。
そのタイミングで、去年私の同人誌のデザインを有馬さんにやってもらったのをきっかけに今回、自分たちが展示企画をやってみたいからデザインをお願いできないか、企画を元に何をしたらいいか軽い相談をさせてもらって話し合ったら、有馬さんがバンバンこれ作り始めて。

話し合いをまとめたオンラインホワイトボード

話し合いをまとめたオンラインホワイトボード

PALOW.:これが、本当に1〜2時間の話し合いで見えてきた。

有馬:この時点で、なんとなく「Re\arise」みたいなものが見えてきて、

米山:「職業イラストレーターをそろそろなんとかしたい」とか

PALOW.:それ、多分僕が書きました。
僕たちは、「イラストレーター」って呼ばれますけど、でも僕がやっていることはキャラクターデザインだし、何ならキャラクターデザインが活きるための企画づくりとかSSSにおいても僕ってある種プロデューサー色が元々強かった。でも、僕自身もプロデュース業がやりたかったのではなく、絵を描くためにやっているんですよ。じゃあそれって、そもそもイラストレーターという名前でいいの?とか考えていて、そういうことをたくさん有馬さんに聞いていただいて、何を作るべきかとか、ポコポコ生まれていって。

有馬:そうですね。何を作ってどういう風に、それを世の中というか皆さんに伝えていくときに、どうしたらちょうどいい具合に受け取ってもらえるのか。
皆様も想像してほしいんですけど、セルフプロデュース力の高い超絵のうまい7人が集まって「どうしようかね」は起き得る悩みなんですよね。だって、SSSのメンバーは実力があるから、各々で大体のことができちゃう。じゃあ、その凄い7人が集まったその先にどんな新しい価値が生まれるんだろうなと思ったときに、「Re\arise」が出てきたという話ですね。なので展示会やるなら、グッズの価格にレンジを設けて1000円のものもあれば、もっと高いものもあって。

米山:アートとかサブカルの間の、グラデーションを作らないと駄目だよね、という話とか。

「人を描けば世界が変わる」

「人を描けば世界が変わる」

PALOW.:このへんとか、いいですよね。今回のRe\ariseの根幹が、もうこの時点にあって。

米山:「人を描けば世界が生まれる」

PALOW.:「何を最初の価値にしておく?」から始まって、「あえて量産品であること」「でも作家優先であるべき」とか。

有馬:ここはあえて、「量産品であること」と書いたんですよね。

PALOW.:「中間媒質を探す」とか、これはまさしく今回、僕らがやったことなんですが、これ最初の時点でヒアリングして頂いていて、これを見れば「自分ってこんなことやりたかったんだ」というのが、すごいわかる。

有馬:僕もイラストレーターさんと仲良くさせて頂いているうちに、なんとなく気づいていていたことなんですが、イラストレーターもなり方は、たくさんあるけど評価のされ方は、画一的じゃないですよね。今、僕は死ぬほど社会性フィルターかけて言葉選んでいます (笑) 例えば、どこかのランキングで1位だったらプロってわけじゃないですし。

米山:フォロワーとか、「いいね」の数とかね。

PALOW.:それは一つのルールの中での1番であって、例えばボクシングの世界チャンピオンが、世界一強い男じゃないのと似ていると思う。スポーツは競技がたくさんあってマラソン、格闘技、水泳、そういう様々なジャンルをイラストレーターの世界においてもたくさん作っていくことが大事ですよね。

ファンとSSSの間で作られていく「無意識な約束」

有馬:米山さんの展示会、EGOのときですかね。

米山:そうですね、EGOのときですね。去年、自分の中では規模の大きい個展をやったときに、有馬さんが来てくださって場所はもっと天井の高いところがいいねと言ってくれたり。

有馬:意訳すると、米山さんのもっと大きい絵が見たいってことです。

PALOW.:その通り!

有馬:それを1年で実現する人もどうかと思うんですが (笑) そうした話がベースにあったので 実はRe\ariseは、突然発生したわけではないんです。

米山:そう。お互いが思っていたことを実現するために、加わってくださったんですよね。

理想の状態

理想の状態

 

米山:こういうのも有馬さんが作ってくださったりしました。

有馬:これ何が言いたいかというと、皆様とのお約束が重要だと思っていて、ファッションブランドって年に2回、下手すると4回くらい新作がでるじゃないですか。定期的な約束があるじゃないですか。言わないでもわかること「無言の約束」「1巻がでたら2巻がでる」「先週の土曜日もやってたら今週の土曜日もやる」みたいな、そういう「無意識な約束」みたいなものを、見てくださる皆さんとSSSの間で作れるといいんだろうなと。

米山:「シーズン性」これは、相当初期に言っていたやつですね。でもこれでPALOW.さんも、だいぶ考えが固まって、こういう企画でいこうと会社に話を通しましたよね。

PALOW.:そうですね。大きな目標の中で出来ることや、どこから始めるのかを、みんなで相談しました。今回のRe\arise展を始めるにあたって僕らは、商業作家である、みんなにエンターテイメントとして絵を描く作家である、でも最大効率ではなく価値をたくさんの形で見せたい、だから量産品であり作品である、というコンセプトに繋がって固まっていきました。

オタク文化のデザインに「幅」を持たせて、多くの人を魅了する文化に

有馬氏が手掛けたデザイン

有馬氏が手掛けたデザイン


米山
:そしていざ展示会を始めるなら、デザイナーさんとして加わっていただくのは絶対有馬さんがよかった。
何故ならば、有馬さんは近年のアニメ・ゲーム・コミックのデザインをかっこよくした人なんですよ。

PALOW.:そうなんですよ。草野さん( 草野 剛 氏)・有馬さんはデザインの力でアニメの印象を変えた人なんですよ。ある時期からアニメのデザインっておしゃれになりましたよね。

米山:DVDのパッケージとかね。昔はそんなにスタイリッシュじゃなかったんですよ。

PALOW.:そう。オタク界隈の様式。もちろん、その良さもあります。昔のデザインを否定するわけではないんですけど、デザインに幅がなかったんです。その中でデザインの幅を作ったのが有馬さん達です。

クラシカルと新しいが融合した”機械が微妙にやらない”ロゴデザイン

輪郭

輪郭

有馬:幅広過ぎでしょってちょっと思ったかもしれないですが、もはやRe\ariseのロゴとかどこいっちゃったんだよって言う。
言い訳すると、Re\ariseは最初にロゴを作って安心したくなかったんです。スタンプを押して看板に貼って、これが「SSS Re\arise」だよねというよりは、作家がちゃんと印象をコントロールできるものにしたかった。デザイナーが作ったものを無意識に貼るのではなく、作家さんやデザイナーが好きに制御できるちょうどいい絵筆、道具になるものないかなと思ってアクリルキーホルダーの型抜きを意識して作ったんですけど、そういう図面から意識できるなにかを考えてました。

米山:うん、このシェイプでグッズにできるね、とか。

PALOW.:そうですね、これを経て、僕は今回の展示会では、新しいことと古いことを繋ぎたいと考えていて、印象としてクラシカルな印象と新しい印象を同時に表現したいという、めちゃくちゃ難しいことを言いました。じゃあ具体的に言うとなんやねん、ということなんですけど古くも新しくも見えるデザインにしてほしいと言って、さっきのアクキーじゃないやつを作ってくださいと言ってしまって。

ロゴ作成過程

ロゴ作成過程

 

有馬:そうですね。そこで機械が微妙にやんなそうなことをやってみようと思って、いわゆる、半自動生成って実はできるんだけど、そういうのじゃないカーブってこの辺になんか作れないかな、ということをやってるんですね。どうにか人間が気持ちよく感じられるカーブが作れないか、というのを追っていって今のロゴができています。

PALOW.:そうですね。やっぱりこの外側の安定性と内側の不安定性が。

有馬:外カリカリ、中トロトロみたいな、

米山:それで出来上がったのがこれですね。

Re\arise ロゴデザイン最終盤

Re\arise ロゴデザイン最終盤

有馬:やっぱり「S」を特徴的にしたいよねというのがありつつ、なんか思考を一貫させないという事を、あえてやったんですよね。ちょっとマナーが違うじゃないですか「S」とそれ以外は。それが人間ぽいかな、という感じも出つつ「S」が3つ連なっているので、まさに皆さんがグッズ買ったときの袋にもそのロゴがついていると思うんですが。

米山:そう、あらゆるところで。

有馬:3本線の斜めになっているものを見たら、SSSを思い出すみたいなことにならないかな、と。

PALOW.:これを見た時「最高か!」って思いましたね。

有馬:動くやつも作りました。

PALOW.:皆さん、共感していただけると思うんですけど、割とクラシックな部分もあってカッコつけすぎてもいない、でも新しさもある。これが表したかったことだなって。

米山:私もお気に入り。めちゃくちゃいいですよね。

有馬:お二人が横にいてそういう話をしてくれると、正直やりやすい

米山:関係性が近いですしね。

実力ある若いイラストレーターが増えたのに、”出口”が足りないイラストレーター業界

「現状と時流」について語るPALOW.氏

「現状と時流」について語るPALOW.氏

米山:で、次は「現状と時流」

有馬:これは逆に二人に話してほしい

PALOW.:皆さんわかると思うんですけど、コロナという状況になって、いい意味でインターネットが盛り上がった。

米山:特にTwitterですね、イラストだと。

PALOW.:そう、イラスト投稿がものすごく増えたし、すごく絵がうまい方も増えた。若い方たちも絵を描くようになった。で、それ自体は、ものすごくいいことで、誰もがツールを使ってプロ・アマ関係なく作品を発表できる。これによって色んな人が救われたと思うし自分たちも、そこで力を得た。その一方で僕たちはインターネットがない時代に色んなところで、いろんな絵の使い方があるって知ってる世代なんですよね。アナログネイティブの最終世代だと思います。

米山:イラストレーターが自転車作っていたりソファー作っていたり、村田蓮爾さんという方です。

PALOW.:壁画みたいな絵を描く人もいたし、雑誌に美術の話が載っているのは当然だった。僕は今35歳なんですが、可能性のある若い世代がたくさん増えたのに、昔より出口が減っている気がしています。

米山:そう、入り口や人口が増えたのに出口が足りていない。

有馬:広げる手段が増えたじゃないですか、90年代よりは。その威力も昔と比べて、うん千倍・うん億倍。それは素敵なことだと思うんですけど、みんなが同じ方向を向いている社会じゃなくてもいいなと思いますね。

PALOW.:そうですね。だから、このたくさん生まれた可能性を僕ら最前線にいる世代が広げていかないと全体的にしぼむなという実感があります。だから、ちょっと無茶して出口を作ってみよう、飛び石を置くだけでも、おもしろいんじゃないかという気持ちもRe\ariseにはある。

米山:そうですね。私の個人的な話なんですけど、思い出とか体験が好きで、だから個展やってるんですけど。こうやって皆さんが足を運んでくださって、好きな角度で見て・その奥行きや質感を感じ取って、それぞれの体験が生まれる。それが展示会を催す楽しみなんです。自分も見に行くのも好きだし、見に来てくれて交流してくれるのも大好きで続けているという話をしたら、PALOW.さんも参考にしてくれて。
だから、展示会。あえて「展示会」という言い方をしているんですけど、今回も展示会をやろうとなったんです。

PALOW.:そうですね。やっぱり僕らは今回、新しいことをやりたいわけじゃないんですよ。それ結構大事で、めちゃめちゃ大事で。本当に新しい先端のことは、また別にあるんですよ。僕らがやりたいのはそうじゃなくて、過去にあったものを、今もう一度確かめて、受け継いで別の形で伝えていきたい。知っているのにないことにされるのってもったいないじゃないですか。

米山:うん。もったいないよね。

有馬:すごいなと思っていたものが受け継がれず、次の時代にいっちゃうみたいなね。米山さん・PALOW.さんは、ある程度見てきた年代だからね。

米山:そう。これすごい良いのに、なかなか伝わらなくてもう自分たちで「これいいよ」って言うしかないっていう。

PALOW.:そうなんです。別に新しいものとか価値観の境とかじゃないんです。あったものを紹介しているにしか過ぎないんです。でもそれがすごく大事。

米山:そうだね。それで今の技術や違う角度の考え方でアップデートしたらいい感じになるよね、という話から始まりましたね。

絵師みんなに得してほしい、だから新しい情報・技術はみんなに共有したい

米山舞氏が手掛けた作品

米山舞氏が手掛けた作品

 

米山:じゃあ次のトピックに行きますか。「実験」について

PALOW.:これは米山さんですね。

米山:そうですね。さっきも話した通り私は、アニメーターからキャリアが始まっているのですが、アニメーター時代は全然稼げなくて何をして稼ぐかというと、まさかの同人誌なんです。同人でちょっとグレーなんですけど、スケッチ集や原画集を作るとアニメを見たお客さんが、交流しに来てくれて、本も手にとってもらえてすごい色んな人に関われるなと言う経験があって、自分がここにいるのもその延長線上にあるんです。そういう実験を繰り返してきたという意味の「実験」なんです。

PALOW.:僕も、同人文化を知っていますし、僕自身もリアルの作品が好きなので展示会もよく行くんですけど、僕は商業作家としてキャリアを積んできた中で、同人をやってこなかった。一方で美術の世界はよく知っている方だと思います。
米山さんは、そこの間のことを現代のイラストレーターの中で一番やっている人だと思っていて、これを面にしないといけないと思ったんです。

有馬:形にして見せたいですよね。

PALOW.:そう。こっちがむしろ僕らの思う正しい道だと思った。クライアントワークも、やっていてすごく楽しいし、ものすごい嬉しさもあるんですけど、一方で絵描きとして、もっと表現をしたいとなったときに米山さんがやってることが一番楽しそうに見えたんですよね。

米山:うん。ほんと楽しいですよ。なんかずーっと文化祭やってるみたいな感じだから。お客さんも文化祭に来てくれる人みたいな。今日もグッズのTシャツとか着てくださる方もいて嬉しいです。

有馬:米山さんの場合、特にそうですけど実験をちゃんと皆さんに開いた形で見せて反応を見てあってる・相違がないかを毎回次に活かしている。

米山:そうですね。精度はさておき、1回やってフィードバックがあったら、今度はもっとこうしようというアップデートをしているんですよね。最初はキャンバスに刷っていただけだけど、他のところにも声かけてみて…とかスケールしていくのが楽しくて。
でもこれ、PALOW.さんにも言われたんですけど、一人でやっていてもしょうがないなって思ったんですよ。これ全絵描きが、やらないとだめだって。

PALOW.:僕が思う米山さんの良いところなんですけど、米山さんは「尽くす人」なんですよ。これ、どういう意味かというと、自分だけのものにしないんです。

米山:言い方はさておき、(笑)みんなに得してほしいです。

PALOW.:こういうものを見つけてきたよ、こういう業者をみつけてきたよ、こういう技術を見つけてきたよ、これを自分だけのものにしたら自分だけが最強でいられると思う人は多いと思うんですよ。でも米山さんはそうしない。なんならみんな使ってよって広げる。それは正しい。僕もそうします。なぜなら、やっぱり広がらないと山のてっぺんだけ高くても倒れるんです。富士山みたいにないといけなくて。僕もそう思っているんです。だから今回見て頂いて自分もやりたいと思ったら、全然聞いていただいたら何でも教えます。

米山:そう、業者さんや印刷方式など。。

PALOW.:本当にそう思っています。

米山:実際に会期中に聞いてくれる方もいました。

有馬:図録には、実はどこの会社が何をやったか全部書いてありますよね。

米山:あえて書きました。

有馬:僕、技術畑出身なのですが今の話って証明されているなと思っています。Google Chromeってあるじゃないですか。あれって開発に関わっている人が世界で一番多いそうです。だからバグが少ない。そういうのってやっぱり開いているから起こり得る安定性なんだなと。良いものを共有して関わる人を増やすということは、業界にとってすごく有効ですよね。

PALOW.:じゃあ次いきますか。

先人が教えてくれた大事な「価値」をを大事にしてもらうために、次の世代にも大事に届けたい

PALOW.氏と学生で手掛けた作品

PALOW.氏と学生で手掛けた作品

 

米山:「大事にしたい価値」

PALOW.:元々知っているからこそ、受け継がなくてはいけないと思っていることが、実はたくさんあります。やっぱり、先人がいるわけですよ。たとえば、「季刊エス」って知っていますか?イラストレーターの雑誌なんですけど。その前身的存在に「コミッカーズ(COMICKERS)」っていう雑誌があるんですよ。僕、実家に2000年頃のアーカイブがあるんですけど、それを見ると当然のように技法とか古典絵画の人はこうやっていた、とかイラストと歴史をつなぐ解説が当たり前にあるんです。

有馬:しかもイラストレータさんの対談とかでも、今どういう活躍をしているかではなく、この足はどうやって描くのかとかを話している。

PALOW.:そうなんですよね。本当に何をどう作るか、どういう意味を込めているかの説明を手加減なくしていて、僕らはそれを読んで育ったからそれを大事にできる。
今、どうしても一枚を見る時間が、減っていたり裏側を想像する時間が減っている気がして、それだと、たくさんの意味を絵に込めることが非効率になってしまう。それは嫌だなと。
あと、僕と有馬さんは元々、音楽同人つながりで若いときからお互いの存在を知っていました。

有馬:多分、10代の頃からお互い知っていましたよね。

PALOW.:こちらからすると、当時から有馬さんは一番デザインがすごい人で憧れていました。
音楽同人の世界もそうですよね。自分たちで場所や文化を作っていった。今もDiverse Systemさんの音楽サークルがあるんです。
元々はbeatmaniaを始めとした、音ゲーの同人から始まって、そこが場所になって、本当にたくさんの有名な音楽クリエイターがそこから生まれて、それに関するデザイナーさんや映像作家さんが生まれて、今はオリジナル音楽を出すレーベルになっています。
村田蓮爾さんみたいに自分で自転車・ソファ・ヘッドホン・革バッグの設計した人がいて、僕らの展示会よりもさらに上のことをした人がいて、それが2000年代前半とか90年代後半。それを知っている僕らが受け継がないと、これってなかったことになるの?って思っちゃいますよね。

有馬:もったいないなって。文化的もったいない。

米山:まぁ、塗替えって結構流行るじゃないですか文化って。個が強い時代があったとして、そこで次はまたマスの力が大きくなって、スマホゲームとか。絵が活躍する場が増えてきたけど、また「個の力」が薄れてきたときに、私達が揺り戻さなきゃという使命感がある。なんかそういう話をいつもしてるよね。

PALOW.:してます。3人共、いつもそういう話をしていたので、これ大事にしないと。しかも僕ら、やっとそういうことを大事にしようと言える年代になってきて。

米山:そうそう。自分たちで「コト」を起こさないと当事者意識もないままだし、やっぱり前に立たないと価値って提示できないからちゃんとやろうって。

有馬:ちゃんとやってる様子を、皆様に分かってもらえると結構良いこと起こると思っていて、例えばiPhoneってあるじゃないですか。実はiPhoneのこの角丸って四分の一の円じゃないんですよ。

米山:正の半円じゃないんですね。

有馬:若干膨らんでいる円なんです。これテストしたんですって。結果半円じゃだめだった。これ、めっちゃいい話じゃないですか。

米山:めっちゃいい…!

有馬:みんなこっちのほうがいいなって無意識にも意識的にも思うものがあるんですよ。きっとそういうものが大事で若い人に伝えないといけない。ちょっとした損失の果てに2020年代ができているなみたいな、一応全部引き継いできているんだなって。

米山:そうなんですよ。私達って記憶・体感で物を作っているから、私達も先人たちからもらったなら、私達も次の世代にあげないといけないという気持ちになるよね。

PALOW.:自分が体感したものを次に伝えないと、それを大事にしてもらえない。だから自分が大事にしているものを、大事にしてもらうために、それを大事だと伝える。それがたくさん続いていくと自分たちも、将来生かされますよね。

米山:これだけは言っておきたいというのは、展示会に込めましたので、あとで解説とともに楽しんでもらえると、めちゃくちゃ嬉しいです。

この展示会を見たら、元の自分として帰宅することはできないくらいの衝撃を”絵”が成立させた

セブンゼル氏の作品

セブンゼル氏の作品

 

PALOW.:次は「気づいたこと」

米山:有馬さんにはめちゃくちゃ迷惑かけておいて、言うのもあれなんですけどどうですか?Re\arise。

有馬:とても良かったですよ。このエネルギーの集合みたいなものは。なんか割りと、これを見たら全く同じ自分として帰宅できない感じがしました。

米山:あてられるみたいな。

PALOW.:嬉しいですね。

有馬:ここにいらっしゃる皆さんはご覧になりました?セブンゼルさんの。

米山:まだこれからの勢もいるんじゃないんですか。

有馬:僕、ちょっと笑っちゃいましたもん (笑)

米山:笑っちゃう (笑)

有馬:そういうことがね、起きてるわけですよ。それってすごい良いなっていうのと。やっぱりこれって実は絵がないと成立しない話なんですよ。個人的にそれは、やったなって思っていて、あくまでも絵が主役の展示会でみんなが割りと衝撃を受けているのをTwitterのTLで見ながらよかったなと。

米山:ありがとうございます。「絵が主役」と言われてすごい嬉しかったんですけど、なんか絵ってIPとかコンテンツがないと成立しないとかいう考え方もあるんですが、私はそんあことないと思っていて絵そのもので人の心を動かせることはできると思ってるし、飾って嬉しいし楽しいし、その環で産業を盛り上げられるはずだ!という思いがあったのでそれがやれて嬉しいと思っています。

PALOW.:そうですね。本当に気づきは小さいことから、大きなことまであるんですけど、開催してやっと、やってよかったなって思えたし、僕は今回プロデューサーという立場で動いていて、どのように物事を価値化するか設計図を書いて説明したり、事業として続けていくためにたくさんのことを考えて、こういうことは始めてだったんですけど、それはそれは開催するまでは恐怖でしかない…。

有馬:恐怖だし、大変だし、決めることはいっぱいあるし…。

PALOW.:何かを判断するのは得意な方だと思っていましたが、実際やってみると夜も眠れないみたいなこともありました。でも、やっぱりやってみて価値になったなって感じるし、それは見てくれている方が、ちゃんと見てくださったということもありますし、有馬さんも含めた作家それぞれが必要なことをやって、それでやっぱり最後は絵が価値になったっていうそこをちゃんと貫き通せたのは皆様のおかげだし、よかったなと思っています。

米山:来てくれる方がいて、やっと成立して、投稿してくださった画像とか見るとちゃんと私達が伝えたかったことが伝わっていて、わーうれしい!みたいな。

PALOW.:そう。ある若い方が「展示会って普通こうじゃないですよね、でもこれはアトラクションみたいで楽しかった」って言ってくださったのを見て、「わかる」って思って嬉しくなりました。

有馬:別に音楽とかが鳴っているわけでもないのにアトラクション感があるんですよね。

PALOW.:そうそう。

絵の価値を最大化するために、「絵の外」の世界を大切にするイラストレーターを増やしたい

飾るオタT2.0 DEVIL+CALIBUR

飾るオタT2.0 DEVIL+CALIBUR

有馬:みなさん、無意識に気づいていると思うんですけど、集中して見たほうが良いっていう強制力じゃない何かがこの展示会にはあるんですよ。それって実は作品のディティールにあると思っていて、実は重機を吊っているフックの色とか。実はこれも全部選んでいるんですよね。

米山:そう、これはプロの知見で選んでいる。

有馬:実はそういう細かいところまで積んでいくと、そういう無意識な集中力って生まれてくるんだろうなって思いますね。

PALOW.:いろんな気づいたことがあったら、どんどん聞いてほしいです。そういう色んな人が大事にしたい価値が集まって、色んな人の力でこの展示会はできているので。

米山:そうですね。スタッフさんもそうだし、細かい所作とかデザインの細かいところも全部私達の体感で成り立っているので。それ以外の部分が逆にないです。

PALOW.:イラストレーターがそういうのを大事にできるんだっていうことを知っていただけたら一番いいですね。ただ絵を書いて発表している人たちじゃなくて、もっと絵の外のことも含めて大事にできるような人に僕らもなりたいと思っているし、そうなりたいと思っている人が増えたら、僕はそれが未来のイラストレーターなのかなって思ったりしますね。

米山:それはいいですよね。

有馬:それでいうと今回の展示会は成功していると思っていて話題性もそうですが、みなさんが真剣に聞いてくれている時点で一つ成功したなという感じに思っています。

米山PALOW.:ありがとうございます。

PALOW.:それでは、質疑応答コーナーにいきましょうか。

イラストレーターの「やっていい領域」を増やしていく

質問:今回開催して「職業イラストレーターをどうにかしたい」に対して手応えはありましたか?

PALOW.:さっき、最後に話したようにイラストレーターっていう絵を書いてインターネットで活躍するという存在が、やるべきこと・やっていいことが少し増えたと思います。一人やったら自分もできるんじゃね?って思う人が増えると思います。

米山:実際、FLAT LABOさんを使っている方も最近多いし、私しかできないんじゃなくて、こういうこともできるんだ、という方向が生まれたらみんなができる、というのがすごい嬉しいことだと私は思っています。

有馬:これも一つのきっかけだと思うのですけど、やがて数ヶ月か数年後に「イラストレーターです」という人に対して、どこからどこまでのイラストレーターなんですか?質問が返ってきたら、いい感じになると思います。デザイナーもそうじゃないですか。

米山:本当に今は、そっちのほうが強みになるから、色々できるほうが。

PALOW.:なので今、着々と進めているような段階です。

「大量消費」「倍速視聴」が加速するなら、その文化にあったコンテンツを作っていく

質問:イラストのこととかわからない一般人なんですけど、アニメも倍速でみる等、エンタメの消費速度が加速している気がします。良いイラストもTwitterに当たり前に流れてきたりして、こういったことに問題意識はありますか?

PALOW.:それはそれで止めようがないと思っていて、1日の時間は限りがあってインスタントに楽しめるものが、そこにあるってなったらそれは享受しますし、僕もザッピングしないで見る動画なんてないです。
でも、今日の展示会を見て1日で全部咀嚼して消化できるかと言ったら、消化できないと思っています。食っても食いきれないみたいな。そういう消化できないものを、できない形で提示したいと思ってこの展示会をやっています。
NFTとか情報としての楽しみ方が一つの発展としてあるとするならば、その真逆をいってやろうって思っています。物質主義というか。

有馬:僕は量が多くなってから活動を始めた人間なので、量は可能性を担保するんですね。ただ、量が増えて発生することは、量が多い・食べきれない・選びきれないという問題ですよね。そこらへんはレコメンド等、機械の力も使いつつ。
それでも人間の心に刺さるのは稲妻みたいな一撃じゃないですか。墓まで持っていかなきゃいけない5枚の絵みたいな。そういったところに関係できるといいなって思います。なので量が増えるのは、基本いいことだと思います。

PALOW.:ほんとに総パワー数みたいなもんだと思っていて1万パワーあってそれを1×1万回うつのか、1回1万パワーでうつのかみたいな。世界の総パワー数があがっているんでそれ自体は良いかなと思っています。

米山:消費速度が早いなって思う時はあります。私もすごく若いわけじゃないので、アニメとか飛ばして見ないんですけど、なんだろうな多いものに対して迎合するというか対応しようとすると自分は疲れちゃうから、この時代の自分に変換して、その時代にあった動きを自分で考えていけばいいかなと。この流れを利用する方が私は好きです。

PALOW.:立ち位置としては両方もあっていいよね。

米山:そうそう。早いほうがいいなら、じゃあ縦画面で短い3秒動画を作ってやろうか、みたいな。そういう考え方のほうが好き。

有馬:100回見ちゃう3秒みたいな

米山:そうそう。そのほうが今を生きている人間っぽいじゃないですか。
エンタメとか必要性に応じて文化とか物はできてくる。塗料とか色々進化してきて文化になって、見たことないものが生まれるっていうのが人間の面白いところだから、そういうのを時代の流れと一緒にみんながこう考えているというのを聞けるのが面白いなって思います。

PALOW.:絶対なにかに特化していれば、逆張りの人が現れて僕は常に逆張り側で生きているから。

米山:そうそう、そして対抗勢力が現れて運動が始まってみたいな。

PALOW.:Twitterのイラストレーター界隈だと、みんなイラストの顔がどんどんアップになっていて、それが伸びるみたいになっているのに僕はどんどんキャラ小さくなっている。

米山:変な感じで目立とうとしている (笑)

内訳を知り、自分が実現したいことに対してコツコツ積み上げていくことが大事

質問:物理的な、フィジカルなことに意味のある作品を作るには、お金がかかると思うのですが、実際今回の展示会のようなことを真似しようと思ってもお金が足りず再現性なさそうだと思いました。どう解決したらよいでしょうか?

有馬:はっきり言えるのは、小さいところからということ。やっぱりSSSの強みは大金持ちではないのですが、ちょっとずつやってきたことが積み重なってきた方々ではあるんですよね。小さいところから始めて、だんだんわらしべをやっていくモデルが正しいのではないかと思います。僕の友達で液タブを買うために同人誌を作った人を見ているので、そういうことなのだろうなと。

PALOW.:今回の展示会でいうと、僕ら以外に再現性はないと思います。僕は、みんなの持っている数字や実績を考慮して、それでも多少背伸びしてこの場所でこの規模でやっているものあって、これを成り立たせるのが、一番重要なことでした。それは、なされるだろうと思っています。ただ、どの程度の速度でスケールアップしていくのかとか何を洗練させていくのかっていうのは今後の課題として残ってくることだと思うので、洗練や進化・妥協の果てに僕らのできる幅が決まって、それが現実としての歴史になると思っています。なので続けられる算段がたつうちは続けていこうと思っています。

米山:めっちゃディレクター目線の話をしてもいいですか?内訳を知ると始めやすいと思います。コミケに出るのにいくらかかるのか、何を借りるのにいくらかかるのか、モノ作りの裏側を知っとけば小さいところからでも始められます。

有馬:それでいうと、案外収支をずっと集計しながらやっています。それがなんでできるかというと各々がフリーランスで生きてきた人たち、同人で何万冊も売ってきた人がいるからですね。

米山:たまにバグるけどね。

PALOW.:それでも危ない橋でしたけど。

有馬:急に、ダンッと一足飛びにいったわけではないです。

Re\ariseを一緒に作ったのは心理学から集客を学ぶ展示会のプロ

会場レイアウトCG

会場レイアウトCG

質問:会場選びや会場のレイアウトに選ぶ基準、こだわりはありますか?

米山:ありますよね。私とPALOW.さんで旅して、いろんな会場見に行って。
最初、新木場にある倉庫しかない立地の場所にある倉庫を改造した会場を写真でみて「イケてる!」と思って見学に行きました。私はFLAT LABOさんもそうですが、ネットの写真見ていい感じのところに行くんです。で、PALOW.さんと行ったら、「ここは使いづらい、絵をそのまま飾っていい感じにならない」となり。

PALOW.:そうですね。その頃は空間演出に対する知見も今よりなかったので、どのくらい施工やデザインのお金がかかるか想像できませんでした。このSTUMP BASEは、正直高いんですけど箱としての性能が高い。絵をシンプルに飾って映える。当時は、僕と米山さんだけで、それを考えなくてはいけなかったという環境からすると、ここはリスキーだけど置くだけで決まる。完成度重視で決めました。途中で青ざめたこともあったけど…。

米山:そうね、値段が…!みたいな (笑)

PALOW.:でも、正解だと思うし。

米山:あとは文化の中心地だから人が来やすいとかもある。

PALOW.:その後、施工を担当してくださった、スーパーペンギンさんっていう。

米山:そう、ここの壁も元は何もなくて全部作ってもらってます。

PALOW.:下げるところも全部設計していただいているんですけど、この会社さんが展示会専門のデザイン施工会社さんで。

米山:展示会は何かというと展覧会じゃなくて、プロダクトや商品を売るために、ビッグサイドとかいろんなブースを出してる、あのデザインは商品を確実に売る、リーチするのに必要なんですよね。それでスーパーペンギンさんのサイトに行ってブログを読んだら熱い思いがすごくて。

PALOW.:社長さんが心理学まで学んでいて、そういう会社さんに入っていただいてレイアウトも決めました。

米山:それも図録のインタビューに載っているので、是非読んでみてください。作った思いも伝わると思います。

PALOW.・米山:それでは、本日はありがとうございました。


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日本最高峰のイラストレーター7人が集まり何をすべきか考え、悩んだ軌跡から現在、そして未来に伝えたいことまで、多岐にわたり語ってくれたトークショー。

このトークショーを聞いて「イラストレーター」という職業の概念が変わった人も多いだろう。今後、1枚の絵という世界を創るイラストレーターの真価は、絵の外側から作り込まれていく、その世界観になっていくのかもしれない。

また、今回トークショーの中では紹介しきれなかったグッズも、時間と想いを込められて作られている。特に、米山氏がパッケージデザインから香りまでを調香師と一緒に1年かけて作ったというアロマディフューザーは、デジタルイラストに詳しくない人でも思わず部屋に置きたくなるようなインテリアに溶け込むデザイン、そして安らぐ香りだ。

この事例から見ても、イラストレーションはインテリアのように生活の一部となって溶け込んでいくのだろうと思わざるを得なかった。

SSS Re\arise #1 TOKYOは、すでに終了しているが、グッズ通販は下記にて購入可能(受注生産)となっている。

▼ SSS Re\ariseオンラインショップ

 

展示会に赴くことができなかった人、展示会に行ったもののグッズを買い忘れた人は、上記からチェックを。

また、今回のレポート記事を読んで、やはり現地に赴きたいと考えている人に朗報だ。
今回のタイトル「#Tokyo」でピンと来ている人もいるかもしれないが、SSS Re\ariseが2023年より、巡回することが決定した。
次回開催地は京都。
さらに2022年8月5日より、ホテル アンテルーム 京都にて米山舞氏による期間限定コンセプトルームも展開される。

最新情報は、SSS by applibotの公式Twitterアカウントでご確認を。

▼  SSS by applibot 公式Twitterアカウント

米山舞氏デザインのアロマディフューザー(編集部にて撮影)

米山舞氏デザインのアロマディフューザー(編集部にて撮影)

美しい箔押しでイラストが描かれている(編集部にて撮影)

美しい箔押しでイラストが描かれている(編集部にて撮影)