GENSEKIマガジン

モノづくりを広げる・支えるメディア

明るく彩られたファンシーな世界を描く ー イラストレーター・ちょん*

瑞々しくポップな色彩を得意とし、細部までこだわられたファンシーなイラストで一般ユーザーから同業のイラストレーターまでをも魅了する、ちょん*氏
 
『ILLUSTRATION2021(翔泳社)』にも掲載され、Vtuberのキャラクターデザインや書籍挿絵など、広告イラストから商業デザイン、自作グッズまで幅広い仕事をこなす注目のイラストレーターだ。
 
今回はそんなちょん*氏の代表作品から、イラストレーターとしての仕事ぶり、自身が描き続けたいイラストへの想いについて詳しくお話を伺った。

人との繋がりを生んだ作品​​

『和服×パーカー』

『和服×パーカー』

 ーー早速ですが、ご自身の一番気に入っている作品を教えてください。
 
ちょん*:前に描いた作品ですが、和服×パーカーを組み合わせた女の子のイラストです。この年以降、お正月にはほぼ毎年「ストリートファッション×和服」の組み合わせのイラストをアップしています。
イラスト自体は2019年のお正月イラストとして描いた作品ですが、今仲良くしているイラストレーター友達の中には、このイラストをきっかけに声をかけてくれた方も多いので、繋がりを産んでくれた作品として、印象の強い作品ですね。
 
ーー人脈や人との関わりを作ってくれた作品なんですね。いいね数や共有数では測れない財産ですね。

ちょん*:そうですね。周りからも反響が多かったことと、自分自身でも全体の色味が気に入っている作品なので、表情差分を変えながらいろんなメディアやSNSで自身のアイコンとして使用しています。お仕事でVtuberのイラストを担当しているのですが、自分が紹介される際にはこのイラストを立ち絵にして自分の分身として使ってもいます。

「#ずっと、もっと、繋ぐぞ。au」では普段と違う作品テーマにチャレンジ

(C)KDDI  『KDDI「#ずっと、もっと、つなぐぞ。au」東京駅イラスト』

(C)KDDI 『KDDI「#ずっと、もっと、つなぐぞ。au」東京駅イラスト』

ーー今までで一番思い出に残っているお仕事はなんですか?
 
ちょん*:山手線駅とKDDIのコラボ企画で参加した「#ずっと、もっと、つなぐぞ。au」が印象的ですね。山手線の30駅ごとに30人のアーティストがそれぞれの駅を「未来の山手線駅」をテーマにイラストを描きました。ラッピング電車として山手線や各駅ホームドアなどにイラストが飾られるイベントで、私は東京駅を担当させていただきました。
 
ーーかなり大きな案件ですね!プレッシャーなどを感じることはありましたか?
 
ちょん*:東京駅という主要駅を任せていただいたので、自分には荷が重いと感じて担当の方に相談させていただいたこともありました。でも「いつもと違うちょん*さんのイラストを見てみたいので、東京駅にチャレンジしませんか?」とおっしゃっていただきました。
その言葉を聞いて、そんな風に言っていただけるのであれば挑戦してみよう!と勇気が出たんです。関東圏に住んでいないので、実際電車や駅構内に貼られているところは見られていないのですが、いろんな方がTwitterを通して写真を送ってくださったのを見た時は感動しました。
 
ーー他に参加されたアーティストさんとお話しする機会などはありましたか?
 
ちょん*:KDDIの方と広告代理店の方を交えてインタビューをして頂いた際に、さくしゃ2さんとオンラインで対談させていただきました。さくしゃ2さんは、平面的なデザイン構成が上手で私自身画集も持ってるくらいファンだったので、お話しできて嬉しかったです。
あとはイラストレーターさんが集まるディスコードのサーバー内でも、企画に参加されていたイラストレーターさんとお話しする機会があり、「あの納期を乗り切った同志ですね…!!」と声をかけていただいたこともありました(笑)
 
ーー納期が短かったんですね!(笑)
 
ちょん*:普段お受けしているご依頼と比べると短めでした。それに加えて、確認用のイラスト提出後に自分が納得できなくなってしまって、背景をまるっと描き直しているんです。背景自体は1日で描き直しましたが、それもあるので他の方に比べてカツカツだったと思います。でもそのお時間をいただけたおかげで、限られた時間の中でも納得できる作品を納品することができたと思っているので、担当スタッフの皆さんにはとても感謝しています。
参加されてたアーティストさんたちは納期と戦った戦友です!(笑)

絵を描くこと=楽しい+経験値アップ

『Water suface』

『Water suface』

ーー普段はどういったタイムスケジュールでイラストを描いていますか?
 
ちょん*:私、寝るのが好きで…(笑)なので朝は10時くらいにゆっくり起きてから夕飯まではずっと絵を描いています。夕飯とお風呂を済ませてからまた絵を描いて、深夜2時くらいに寝る。一日中描いている日が多いですね。
 
ーー食事以外は寝るまで1日中イラストを描く。他のイラストレーターさんもそういう方が多い印象です。
 
ちょん*:他にしたいこともないし、楽しいし、経験値も上がってお仕事にもなって、時間を有意義に使っている気持ちです。ゲームも好きなのでやることもあるんですが、突然「今の時間ってもっと有意義に使えたんじゃないかな…」と虚しく感じてしまうことがあります。
息抜きになるので、無駄にはならないとは思うのですが、最近はゲーム実況をBGMにして作業するのが一番効率的なのでは?!と思って描きながらよく動画を観ています。好きな動画があって、同じ動画を繰り返し観てることも多いです(笑)癒されたり笑ったりしながらリラックスして描くのが楽しいです。
 
ーー描き続けてきたことが今に繋がっているのですね。いつ頃から描いていたのですか?
 
ちょん*:子どもの頃から絵を描くことが好きでした。もちろん子どものころはアナログで。1人で描く落書きから始まって、中学生の時には友人と絵の交換日記をしていて、そのころはみんなで絵を描くことが楽しかった思い出がありますね。
高校進学後も描き続けていて、高校三年生でペンタブを買ってデジタルイラストを覚えました。ただその後、一度アナログに戻っているんです。
 
ーー珍しいパターンですね。やっぱりアナログに慣れているから描きやすさがありますか?
 
ちょん*:そのころは今のように本格的に絵を描いていたわけではなかったので!
専門学校に通っている時にハマったオンラインゲームが自分のキャラクターを自由にカスタムできたので、その自分のキャラクターをシャーペンで落書きしたものをTwitterに公開していました。
当時から私をフォローしてくださってる方からしたら、アナログ絵描きという認識が残ってると思います。
 
ーー今は完全デジタルで描かれているのでしょうか?
 
ちょん*:そうですね。出かけた時にたまにノートに描いていることはありますが、それは息抜きという感覚です。

ツールを使い分けて生まれる、鮮やかで透明感のあるイラスト

『ももソーダ』

『ももソーダ』

ーー現在、デジタルイラストはどんなツールを使用して描いていますか?
 
ちょん*:以前案件で頂いたX-PENさんの液晶タブレットの13.3 proを使用しています。
PR依頼で頂いたのですが、使い心地が良くってずっと使っています。アプリはペイントツールSAIを使用して、描いたものをAdobeのPhotoshopで色調整や加工しています。
 
ーーPhotoshopではどんな加工をして仕上げていますか?
 
ちょん*:SAIだけだと色が薄いような、くすんでいるような印象があって、Photoshopで彩度を変えたり色収差を加えたり、ぼかしの作業をしたり、最後の調整をしています。でも液晶タブレットとPCの液晶でも色の出方が全然違うので、混乱してます(笑)
 
ーーイラストを描いていく中で、参考にしているアーティストさんや尊敬されている絵師さんはいらっしゃいますか?
 
ちょん*:アナログを描いてる時期から、デジタルをまた始めて本格的に描こうと思ったきっかけが上倉エクさんのイラストでした。すごく好きで、コミティアというイベントでいつもイラスト本を買うのが楽しみでした。
 
ーー上倉さんのイラストと出会ったことが今のちょん*さんのイラストを生んだのですね。
 
ちょん*:そうですね!優しい色づかいやモチーフの使い方がとっても素敵な方なので、「わたしもこんな【自分だけの創作イラスト】を描いてみたい。」と思うようになりました。SNSを通してお話しさせていただけるようになり、本年のお正月には憧れのエクさんとのコラボイラストを描かせていただけてとても幸せでした!

「生活に溶け込む絵」を描いていたい

『上倉エクさんとのコラボイラスト』

『上倉エクさんとのコラボイラスト』

ーー今まで沢山のお仕事をされてきたと思うのですが、今後やってみたいお仕事などはありますか?
 
ちょん*:私は広告や書籍など、自分の絵が街に出て、いろんな人がみてくれるような、生活に溶け込んだ絵を描いていたいと思っています。街に貼られたり、広告に使われたり、商業イラストが一番やっていて喜びが大きいので、これからもたくさん携われたらいいですね。
いつかやってみたいなーと思っているのは、ライトノベルの挿絵と表紙です。イラストレーターの友人からはめちゃくちゃ大変だよ!とは釘を刺されていますが(笑)
 
ーー大変というと?
 
ちょん*:まずお話の内容を理解しないとキャラクターデザインができないですし、表紙以外にもイラストが何枚も必要になるのでなかなか労力がかかるみたいで...。それでもやりがいがあると思いますし、本屋さんに自分のイラストの描かれた書籍が並ぶのはとても憧れます!
 
ーー最後になりますが、GENSEKIを実際使ってみてサービスの印象はいかがですか?
 
ちょん*:沢山のイラストレーターさんがいる中で、自分を見つけてもらったり仕事相手として選んだりしていただけるのは運の要素も多いと感じています。でもその分選んで頂けた時の「幸福感」や「やる気」が心から湧いてきます。GENSEKIさんが開催されているコンテストも、多くの方にその運が回ってくるチャンスを与えられていますよね。その機会を多くの方に作って、応援している環境づくりがとても素敵だと思います!

 

ちょん*(TwitterInstagram

■フリーランスイラストレーター ■キービジュアル・Vtuberキャラクターデザイン・MVイラスト 等 ■ ILLUSTRATION 2021掲載 ■Instagramフォロワー数27万人突破

genseki.me