眼鏡マニアは眼鏡キャラのこんなところを見る。「パーカー×眼鏡」イラコン受賞作品を眼鏡大好きデザイナーが熱くコメント

GENSEKI主催で「パーカー×眼鏡」がお題のゲンセキ開拓イラストコンテストを開催しました。
今回はGENSEKIスタッフに加えて、株式会社viviON内のデザイナーで無類の眼鏡好き・メガネ氏も参加し、作品感想会を開きました。 お題の「パーカー×眼鏡」について、受賞作品を熱く語ってもらいます!
参加メンバー

メガネ(X:@design_hayato_x/note)
株式会社viviONのインハウスデザイナー/AD。趣味は猫と眼鏡収集。アメコミが好物。

コンドウ(メンバーブログ)
GENSEKIの運営スタッフ。イラストコンテストの企画運営、SNS運用、バナー制作なども担当。商業イラストレーターとしても活動。

ハラサワ(メンバーブログ)
GENSEKIの運営サポートスタッフ。趣味は相撲観戦。漫画やイラスト、文字を書くことも好き。

今回はお題がアパレル関係ということで、viviONのデザイナーで眼鏡をこよなく愛するメガネさんに来てもらいました。

メガネです。家に眼鏡を飾って眺めながら酒を飲むほど、眼鏡が好きです。所有している眼鏡は100本以上。眼鏡関連のイベントには可能な限り行くようにしています。
眼鏡好き&デザイナーの目線で、「パーカー×眼鏡」の作品を拝見したいと思います。よろしくお願いします。


眼鏡好きの方は、眼鏡キャラのイラストのどんなところに注目するのでしょうか?

眼鏡キャラが描かれたイラストは、ざっと以下のような点を見ています。
- オリジナリティのある眼鏡のフレーム
- 欲しくなるような眼鏡のデザイン
- レンズの度が入っている厚みの表現
- レンズ越しに顔の輪郭がズレる表現
- イラスト自体が斜め構図だとなお良い(眼鏡の描写力が問われる)
今回のお題だと、パーカーとの相性もおもしろいですよね。
- 服飾デザインのオリジナリティ
- 眼鏡の真面目な印象に対して、パーカーでラフさを演出
- フードのエアリー感の表現
- パーカーのオーバーサイズなシルエット感

既に、素人では気づかないポイントがたくさんありますね……!
もっと詳しく聞かせてください!
【大賞】フレームのオリジナリティに驚愕

【大賞】ガオー!/クマユ

眼鏡のフレームのオリジナリティが際立っています!

フレームのフチを猫に見立てて、尻尾までぶら下げているデザインは、どのブランドでも見たことがありません。作るとなったら眼鏡職人さんが泣きそうですが(笑)、攻めたデザインでいいですね!

パーカーも特徴的ですね。

パーカーもオリジナリティがあっていいですね。下がショートパンツなので、フードのオーバーサイズ感もより目立っています。

眼鏡とパーカー以外にも、少しだけ見えているスニーカーやネイルも同じカラーで構成されていて、まとまりのあるバランスになっていますね。

今回の応募作品は猫系のものが多かったですが、人気なんでしょうか。

受賞作品だけ見ても、猫耳フードは多かったですね。でも人気でキャッチーだからというより、「どれだけアレンジを加えられているか」で選ばれたと感じます。この作品は着ているもののデザインだけでなく、キャラまで獣人化していたのも珍しかったです。
【佳作】眼鏡や服飾の描き込みからこだわりが伝わる

【佳作】neko/kita

眼鏡にオリジナリティがあり、「猫が猫耳パーカーを着ている」というアイデアもすてきです。
丁番(ちょうばん・眼鏡とツルを繋げている金属)からツルの部分にデザインがあり、面一の直線ではなく曲線で描かれているのも、眼鏡をよく観察しているのが伝わってきました。

たしかに、眼鏡を描くとなると最初は丸と直線で描きがちですね。言われてみると、眼鏡屋さんとかでは少しカーブになっているものもよく目にします。

それぞれの猫のフレームが四角だけじゃなくてラウンド(丸)型だったり、バリエーション豊かに描かれているのもいいですね。もしかすると、日頃からちょっと変わった眼鏡を買われている方なのかも?

たくさんの猫キャラが散りばめられているのもかわいいですね。

構図やデザイン的な目線だと、複数のキャラがいることで全体の余白のバランスがとれているのもよかったです。キャンバスサイズが正方形でメガネ拭きっぽさも感じ、すてきです。実際に販売されたら普段用と保存用で2枚欲しいくらいです!

【佳作】泣きべそ悪魔/無川 せん

単行本の表紙を飾れそうなイラストですね! ストレートにキャラがかわいくて、泣き虫なんだ、と想起させられます。この漫画があったら読みたいと思いました。
あと、眼鏡界隈からすると、この涙のフレームは珍しくておもしろかったです。

イラストではときどき見る「涙フレーム」ですが、実際にあるのでしょうか?

アシンメトリーのデザインや、レンズが削られる形で変形するフレームは実際に見たことがあるのですが、レンズから飛び出すタイプのフレームはあまり見ないです。
作っている方はいらっしゃると思いますが、珍しいデザインですね。ブリッジ(中央のつなぎ目)のカーブが逆なのも珍しいです。

カーブと眉毛の形も合っていて、眼鏡もしっかり表情の一部として機能しているように見えます。
よく見ると、眼鏡以外のアクセサリーもしっかり描き込まれていますね。


拡大して見ても、ピアスまでしっかり描き込まれていますね。テーマからすると、パーカーと眼鏡以外は本来ここまで描き込まなくてもいいところなので、本当にアパレルが好きな方なんだな、と感じました。
パーカーは原宿界隈を感じさせるデザインです。輪っかのデザインすら原宿感があって、いいですよね。

【佳作】猫パーカー/よくと

猫デザインが多い中でも、このフレームは見たことがないです! 私のように普段から眼鏡を見ている者からしても「おっ」と思うオリジナリティがありつつ、実際にありそうなところもすてきでした。
だてメガネではなく、ちゃんとレンズが入って反射しているのも推しポイントです!

たしかに、横に広がるデザインのフレームって珍しいですね。

そうなんですよ。フレームの上側に猫耳が飛び出ている眼鏡はあるんですが、猫ひげをフィーチャーしたデザインは見たことがなくて、よかったです!
パーカーも、猫耳部分にこんなにリボンがついているデザインはあまり見たことがありません。ここまでデザインにこだわると、私ならキャプションにいっぱい説明を書いてしまうんですが(笑)、書いていないのが潔い!
要所要所に細かく猫を感じるデザインが入っていたり、つり目&瞳孔も猫を想起させます。「好き」と感じるところがたくさん詰まった作品ですね。

【佳作】ひみつ/3るkey

先ほども見た涙フレームですが、フレームの形が四角くて珍しい。しかも、左と右で涙の位置が違っていて、ペアセットになっています。対なる存在というか、「二人で一つの作品」というのがとてもよかったですね。そもそも二人の人物を描くのって、時間がかかって大変ですよね。

キャプションに書かれたコンセプトもおもしろいです。
赤ずきんちゃんとオオカミを、パーカーを着用することで表現しました。
ここでの二人は、種族が違うけれど実は仲良しなので、お揃いのものを身につけています。パーカーは顔を隠す表現が多いことから、友達だという秘密を隠そうとしている様子も描いています。
眼鏡のフレームを片方涙のように溶けている形にすることで、内緒で会うことしかできないことに気疲れして、心の中で泣いていることを表現しています。

そうなんですよね。キャプションを読んでから見てみると、左のキャラは猫耳フードが隠れているのかと思ったら、赤ずきんで耳がないんだと気がつきました。
メガネと同様に、口元のピアス位置がアシンメトリーになっているのもすてきですね。右のキャラは狼だから牙があって、片方はピアス。赤ずきんは牙がないから、ピアスを牙のように見せています。

イラストのぱっと見の印象だけでも物語性を感じられるのに、キャプションを読むと「なるほど!」と二度おいしい。まるで美術館で作品を見たかのように楽しめてよかったです。
パーカーのドローコード(紐部分)がリボンになっている点もすてきです! フリルもすごい。

まんべんなく描き込まれていますね。

服を描き込める人って、本当に服が好きだから描けると思うんです。眼鏡と服が好きなんだな、と伝わってきましたね。

【佳作】キャンデー・タイガー/AraKanKan

何度も同じことを言ってしまいますが(笑)、こんなフレームは見たことがないです。似たようなものは持っているんですが珍しすぎて、品番も覚えてるぐらい。実際にあったら欲しいです。
また、ここまでテンプル(メガネのつる)が太いと、ヘッドホンが干渉して耳が痛いはず。ヘッドホンと相性いいデザインにしているのか、実は一体化しているんじゃないか……? と、見えない部分の想像をかき立てさせるところも、ガジェット好きの心をくすぐります。

眼鏡のツルの部分が、上に変形していますね。

この構図ならではで、目のラインに沿って上がっていっているのがおしゃれです。
アンダーリム(下のみのフレーム)の眼鏡とアニメ風のキャラクターは、相性がいいそうです。上のフレームがないので目を隠さないから、ということらしいのですが、あえてそれをしない構図もいいですね。
パーカーもトライバル(民族模様風)っぽいデザインは珍しい。あと、猫を飼っている人にはわかると思うのですが、耳の穴の中のモフモフを猫耳で再現しているところに「おっ」と思いました。

確かに! 形状のユニークさを表現しながら、瞳の存在感がしっかりと保たれていますね。受賞作品の中では唯一、フレームの外に目が描かれているので、より目元に視線が引きつけられる印象を受けました。
僕も猫を飼っているのですが、耳の穴の中のモフモフまで再現しているのは珍しいですよね。

獣人の耳で描く人は多いですが、パーカーの猫耳にまで再現する人は少ないですよね。
あと、肌のチラ見せがかっこよさもあり、セクシーです。パーカーは長袖が多いこともあり、基本的に前を閉めてインナーも見えないことが多いのですが、この絵はお腹のラインまで見えるデザインで魅力的でした。

【佳作】ふくろうパーカー/opti

印象的なフクロウの大きな目と、それにあわせた大きくシンプルな丸眼鏡でパーカーのオリジナリティを際立たせています。ラウンドシェイプのメガネとキャラクターの目の輪郭がマッチしているのが良いですね!

今回のテーマでファンタジックなデザインは珍しいですね。

パーカーはフード部分に目が行きがちですが、立体的な袖のデザインのおかげで、よりフクロウのように見えて印象的です。裏地のギャラクシープリントも幻想的で、全体の雰囲気をいっそう引き立てています。
すばらしい着眼点と表現力で、感銘を受けました。

魅力的なデザインはもちろんですが、今回のパーカー×眼鏡というテーマをうまく使って、「フクロウらしさ」に繋げているところがすごく上手だなと感じました。
応募作品全体を振り返って



今回は271作品ものご応募をいただき、ありがとうございました!

イラスト描きの目線とはちょっと違うお話が、たくさん出てきて驚きました。今までにあまりない視点でイラストを見ることができました。

私自身も好きだからこそ、こだわりを持って眼鏡やパーカーを描いている作品は、熱意が伝わってきました。

眼鏡やデザインが好きな方から見て、眼鏡が描かれているイラストの中で「こだわりがあるな」と感じるのはどういうところでしょうか?

眼鏡は丸と棒だけではなく、フレームとツルの繋がっている部分の構造や、レンズの厚みなど実際の眼鏡をよく観察している描写があると、グッときますね。ツルがきれいに耳に沿っているかもポイントです。
パーカーも同様に、縫い目や服の構造、パーツの細かい描写があると「ファッションにこだわりがあるな」と感じます。

詳しい方に見ていただくと、描かれたアイテムが現実としてどうなのか・珍しいのか? というところまでわかりますね。

たくさんのブランドを見てきた自分でも見たことがないデザインが見れておもしろかったです。
イラストなので、現実にできないデザインでどんどん攻めていっていいと思います!



楽しいアイデアのご応募、誠にありがとうございました。ぜひ次回もお待ちしてます!
▼コンテストページ
メガネさんよりおしらせ

この度は、審査員という貴重な機会をいただきありがとうございました!
私が所属するデザインチームの活動はnoteでご覧いただけます。チームの日常や、過去のプロジェクト事例、会社のカルチャーなどを紹介しています。(GENSEKIのロゴデザインの記事もあります!)
一緒に働くデザイナーも募集しておりますので、興味がありましたらぜひチェックしてください!
【定期開催】GENSEKIイラストコンテスト


執筆
kao(X:@kaosketch/Web/GENSEKI)
この記事を読んだ人におすすめの記事
-
2022.3.9
-
2023.4.13
-
2023.11.6
-
2024.7.2
【GALLERIA×GENSEKI】夢ノ内先生のイラスト講座~最新デバイスのお試しまで盛りだくさん! イベント開催レポート
-
2023.11.24
-
2023.7.5