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【出水ぽすかインタビュー】今だから分かる「自分の適正価格を知ること」の重要性【vol.2】

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今だから分かる「自分の適正価格を知ること」の重要性


ーちなみに出水先生が一番テンションの上がるご依頼は何ですか?

出水先生 最初の方はモンスター系の仕事が来ると嬉しかったのですが、最近はキャラデザの依頼が来るとすごい嬉しいです。

でもこれは正直イラストに従事している方だったら誰でも嬉しいんじゃないかなと思います。

プレッシャーは大きいですが、やはり嬉しいです。

あと最近では、荒木飛呂彦「魔少年ビーティー」を題材にした、西尾維新先生との読み切りのコラボが嬉しかったです。

このような有名な方とのコラボはテンションが上がります。

 

ー西尾維新さんとはどのようなご関係ですか?

出水先生 実際にお会いしたことは少ないのですが、二十歳くらいのときに憧れていました。

自分も西尾維新さんの小説を友達と一緒に読んでいたのでコラボできることになった時は、きっとかつての仲間もみんなが喜んでくれるだろうなと思い嬉しかったです!

 

ーその他にはどのようなご依頼がきますか?

出水先生 風景・背景から楽曲にイラストをつける仕事まで様々です。

本当におかげさまで様々な仕事のご依頼を頂けているので大変ありがたいです。

 

ー出水先生にご依頼する時の制作料金はどのくらいなのでしょうか。

出水先生 恐れながらこの場ではっきりとは申し上げにくいので、正規の依頼時にご相談いただくか、もしくはジャンプ編集部にお問い合わせしていただきたいです。

どのくらいの規模で使用されるのか、どこでどんな人が絵を見るのか、どのような事柄に絵が使用されるのか、など考えています。

ある程度基準はありますが、「いくらもらえたとしても描きたいと思えないものは描かない」ということもあり得ますので、金額は相談の上で決めています。

 

ーGENSEKIはあらゆる企画で簡単に企業と繋がれるサービスですが、当時GENSEKIに出会っていたら使っていましたか?

出水先生 使っていたと思います。とにかく当時からいろんなサービスに登録していたので。

それぞれでみてくれる閲覧者の属性が異なると思うので、より多くの人に刺さるよういろんなところに作品を載せるのは良いと思います。

 

ー出水先生から見て今の現役イラストレーターがGENSEKIを使うことでどんなメリットがあると思いますか?

出水先生 発注者が依頼しやすい形式になっているし、これからももっと依頼しやすくなっていくと思うので、きちんとした仕事に繋がるというところだと思います。

やはり仕事の経験が浅い方であればあるほど、価格交渉は難しいと思いますし、発注者に足元を見られて、破格の値段をつけられることもあるようなので、そこらへんがしっかり整備されていけば良いなと思っています。

 

私も15年前のネット上では、たくさんの発注者さんから「1000円2000円でお願いします」と依頼がきていたのでそれが普通なんだなと思っていました。

しかしそれでは生活できないので、周囲と協力して適正価格を知ることが本当に重要だったと思います。

私の場合は手探りでしたが、そのあと、20,000の依頼がきて、50,000の依頼をもらって、10年前くらいから10万、20万、30万と仕事をもらえるようになって、最近はとくに海外の企画など100万をゆうに超える案件も多く出てきています。これは自分に限らず新人さんでも同じです。

 

ここ10年でイラストの価値は次第に上がっていると言われており、日本国内でのイラストの価値ももっと上げていけると思います。相場観の移り変わりなどはGENSEKIなどで知れると理想です。

適正価格は普段話しにくいこともあって今だと仲間内で比較するくらいしか知りようがないですよね。

 

ーその通りですね。ちなみにGENSEKIに載せているような既存の絵を買い取りたいといったご依頼も来ることがあるんですか?

出水先生 はい、どきどき依頼があります。そういう時は大体グッズ化などが多いので、成果報酬型(売れた分の取り分をもらう)を発注者さんに提案しています。

ちょうど報酬の割合とか成果報酬型の部分とか、きちんとした規定を作りたいなと思っていました。一律〇〇円など。ただ今はそこに割く時間があまり取れないので作っていません。

 

ーそうですね、その辺お困りのイラストレーターの方はたくさんいるでしょうから、規定のようなものもGENSEKIで作っていきたいと思っています。

出水先生 そうですね。規定があれば、絵を使いたい時に安心して交渉できるのでありがたいです。

『なんかこう、城みたいな~家に住みたい』

『なんかこう、城みたいな~家に住みたい』

ー税金周りで困っていることは何かありますか?

出水先生 今は税理士の先生に全てお願いしているのですが、いつから税理士をつければ良いかはかなり迷いました。

まず税理士の探し方がわかりませんでした。私は自分の住んでいるところの近くで検索しました。

 

ーやはりイラストや漫画などそれぞれの属性をわかっている税理士さんの方がスムーズですよね。

出水先生 はい。BOOTHさんやFANBOXさんなど少額から稼げるサービスが増えたので、その辺の文化を理解してくれている税理士さんだと話がスムーズですよね。

 

ーいつ頃から税理士の先生をつけたんですか?

出水先生 コロコロコミックの連載が始まってからです。それまでは白色申告で自分でまとめていました。

 

ー出水先生が契約されている税理士さんは漫画家文化を理解されている方なんですか?

出水先生 全く違います。

でも今のところ問題なくやっていますし、長年お世話になっているので大事なのは相性なのかもしれません。

普段の作業環境も伺いました

ー普段はアナログですか?デジタルですか?

出水先生 下書きをアナログで描いて、デジタルで清書・色塗りをしています。

 

ー創作活動中、愛用している物は何かありますか?

出水先生 こだわりのものはないのですが、しょっちゅう座る椅子を変えています。

一日中同じところで作業しないのがこだわりでしょうか。

 

ーご自宅にたくさん椅子がありそうですが、複数の椅子を変えながら生活しているんですか?

出水先生 それもありますし、よく外に出たりもしています。

すぐ喫茶店にいく癖があります。1日のうちにいろんな椅子に座っていると思います。

どんなに良い椅子でもずっと座り続けているのはあまり良くないんじゃないかなと思っています。

 

ー転々としているんですね。

出水先生 はい。

あと休憩でYoutube見たいなって時は、自分の椅子ではなく、アシスタントさんの椅子に座ることもあります。

机も、アナログ用とデジタル用で分けています。

出水先生のアナログ用作業環境

出水先生のアナログ用作業環境

出水先生のデジタル用作業環境

出水先生のデジタル用作業環境

ー別なんですね。わざわざ移動されてるんですか?

出水先生 はい。

デジタルの方のデスクは常に液タブが乗っているので。

移動といっても、すぐ後ろにあるので、くるっと回るだけです。

 

ーアナログもデジタルも両方されているとおっしゃっていましたが、参考にしているクリエイターや師匠と呼ぶ方はいらっしゃいますか?

出水先生 尊敬する人は過去たくさんいました。中学の時に「お絵描きBBS」というのにはまっていて、その時の先輩作家さんとか、アシスタントをやっていた時の漫画家さんとか、子供の時の図工の先生とか、絵画教室でアルバイトしていた時の先生とか。

クリエイターとして尊敬する人はオレカバトルのキャラクターデザイナーさんです。

そして、私の漫画人生を形成した人は、間違いなく約ネバの原作者である白井先生です。

 

ー1日のタイムスケジュールを教えてください。

出水先生 連載中かそうでないかで大きく変わります。連載中のスケジュールはこの通りです。

1日のスケジュール

朝は一応7時起きを目標としてます。朝一で喫茶店に行って、今日やることをまとめます。

あとはアシスタントさんが来る時は、どんな仕事をふるか、どんな構図で描くかなど考えます。

喫茶店で朝ご飯をそのまま食べて、9時くらいに帰宅。仕事の準備をして10時からアシスタントさんが来ます。

12時まで一緒に作業して、お昼ごはん。15時まで作業して、15時に必ずおやつをとります。

18時まで仕事して、自由に夜ご飯です。その間は仕事場で一人なのでゆったりして、20〜21時くらいまでまた作業して解散っていう感じです。21時〜23時までは、忙しければそこでも仕事をして、2回目の喫茶店にいくこともあります。ただ最近は夜閉まっているんですよ。私もコロナの影響をもろに受けてます。

23時が就業の目安です。その時間帯にTwitterに飛び出します。

 

ーなるほど。Twitterで23時付近に「こんばんワンダホー」がツイートされているのはそのようなスケジュールだからなのですね。

出水先生 そうですそうです。「こんばんワンダホー」をツイートすると、1日の終わりの区切りをつけることができます。

ほぼ毎日23時頃にツイートされる「こんばんワンダホー」

 

ー「こんばんワンダホー」は1日の区切りをつけるために毎日行っているんですか?

出水先生 それもありますが、意外とコメントくれることも多々あって、「今日試験がありましたー」とか、フォロワーの方が色々報告してくれるのが嬉しいというのもあります。

結構連載中とかって、部屋から出れないことが多いんですよ。

たまに「今みんな何してるのかな」と思うことがあるので、それを知れるのは楽しいことです。

 

ー就寝時間は大体どのくらいですか?

出水先生 深夜1時くらいです。

 

ーおやつは必ずなんですね。

 

出水先生 これはこだわりです。欠かせません。

スタッフなど人が来る日は毎日おやつを準備するのがすごく楽しいんです。「今日は〇〇さんが来るからこれ準備しておこう」みたいな。毎日独断で選んでます。

 

▼出水ぽすか先生のインタビュー記事

【出水ぽすか特別インタビューvol.1】約束のネバーランド作画・出水ぽすか先生のイラストレーター・漫画家の原点とは

 

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