イラストや漫画を制作していると「ファンから直接お金を支援してもらいたい」と思うことはありませんか。こうしたことを可能にするクリエイター支援サービスには、さまざまなものがあります。GENSEKIの関連企業が運営する「Ci-en」(シエン)も、そんなクリエイター支援サービスの一つです。
「他のクリエイター支援サービスとどう違うの?」
「どんなメリットがあるの?」
今回はCi-enを使うメリットについて、Ci-enの担当者に忖度なしの質問をぶつけてみました。「クラウドファンディング」や「クリエイターのコミュニティ作り」など、珍しい仕組みがあるようです!
- 自分の作品を収益にしたい
- 作家を応援する仕組みのクラウドファンディングに興味がある
- 自分のコミュニティの構築を行いたい
ちなみに、今回はCi-enとのコラボ企画です。Ci-enでもGENSEKIを紹介してくれています!
Ci-enについて教えてくれた人中畑諒
システムエンジニア、Webディレクターを経て、2018年 株式会社エイシスに入社。
以降現在までクリエイター支援サイトCi-enを担当。機能開発の企画提案、クリエイター営業、プロモーション企画など、サービス運営全般を担当している。
インタビューした人坂本彬
GENSEKIマガジンや企画を担当。最近、優良な情報は有料で手に入れるようになってきた。
「すべてのクリエイターさんが実現させたい世界を作る」を応援したい
坂本
まずお伺いしたいのですが、Ci-enってどんなサービスなのでしょうか?
中畑
Ci-enは、クリエイター支援サービスです。クリエイターさんが作品や情報を発信して、発信に対してコメントやお金で支援をしていただくことができます。
2023年12月現在、約2万人のクリエイターさんに登録いただいていて、約200万人の方が支援者として登録いただいています。
坂本
どうしても気になるのですが、Ci-enのページを見ると「成人向け」の色が強いですよね。GENSEKIマガジンの挿絵を担当してくれているGENSEKIユーザーのクリエイターさんにも何人か見てもらったのですが、やはり同じ印象を持った人が多かったようです。
そういう意味では他のクリエイター支援サービスと比べて利用者を選ぶのかな、と思ってしまったのですが……どうでしょう?
中畑
GENSEKIのユーザーさんだとやっぱりそこが一番気になりますよね(笑)。
Ci-enは2018年に立ち上がったサービスなのですが、当時の立ち位置としてはDLsiteのサブサービス的な立ち位置でした。なので成人向けの色が初期からついていたんです。
ただ、Ci-enとして今後どういう未来を描くべきなのか、本来のあるべき姿を考えたときに「クリエイターさんが実現したい世界を、Ci-enで叶えられる場所にすること」だと考えました。
坂本
今までは、DLsiteのサブサービスとして成長してきたけど、今後は全クリエイターさんが使えるサービスを目指すということですか?
中畑
はい。だからこそ、全年齢に使われているGENSEKIのユーザーさんにも知ってもらいたくて、この場に至ったんです。今後は、全年齢向けのクリエイターさん向けにも、サイト内でさまざまな企画を行ったり、サービス全体の改修を進めていく予定です。
無料プランからクラウドファンディングまで! Ci-enができること
坂本
クリエイター支援といっても、投げ銭だったりサブスクだったり……いろいろな形がありますよね。Ci-enではどういった方法でクリエイター支援ができるのでしょうか?
中畑
Ci-enでは下記のようなことができます。
- 月額制で定期的に支援してもらう
- 特定のコンテンツのみに支援してもらう
- 金銭的な支援ではなくコメントで応援してもらう
- クラウドファンディングで、一定の金額まで支援してもらう
坂本
支援してもらう方法がたくさんあるんですね!
中畑
はい。「1.月額制で定期的に支援してもらう」は、毎月一定の金額を支援してもらう代わりに、クリエイターさんがコンテンツを提供するというものになります。他のクリエイター支援サービスにあるものと同様ですね。一番安いプランでも500円くらいを設定する方が多いです。
坂本
「2.特定のコンテンツのみに支援してもらう」は、どういうサービスなのでしょうか?
中畑
無料で公開されている記事だけど、自分にとって非常に役立つ内容だった!と感じたときにチップのように任意の金額を支援できるサービスとなります。
坂本
支援する側もハードルが低くなって良いコンテンツと出会えるきっかけになりますね! 「3.金銭的な支援ではなくコメントで応援してもらう」というのもあるんですね。
中畑
金銭だけではなくて、応援コメントもクリエイターさんの原動力になるので、積極的に推奨させてもらっています。また、Ci-enでは、金銭的な支援をしなくても「フォロー」してくれたユーザーにだけコンテンツ配信ができる機能があります。
坂本
「4.クラウドファンディングで、一定の金額まで支援してもらう」について、これはクリエイター支援サービスとしては珍しいですね。
中畑
そうですね。クリエイター支援サービスでクラウドファンディングができるのはCi-enの特徴かもしれません。
(※現在、集まった支援額に関係なく売上金の振り込みと特典の提供義務が発生する方式(「All-In方式」)のみ実施できます)
展開されているプロジェクトもさまざまです。イベント開催や、作品のクオリティアップのための機材購入や、画集の制作などがあります。
坂本
具体的にはどんな例がありますか?
中畑
個人経営のゲームセンターさんが緊急事態宣言の際に店舗存続のためのクラウドファンディングを募ったり、チャンネル登録者数10万人くらいのVTuberさんが、100万円ほどする音声機材を買うためのプロジェクトを立ち上げたりしています。いずれも目標金額に達していますね。
坂本
一般的なクラウドファンディングでは、新製品の開発のためにお金を払って、誰よりも先に製品を受け取れる、というものがよくありますよね。Ci-enは、具体的な見返りを求めるというよりも、「クリエイターさんを応援する」という動機で使う方が多そうですね。
中畑
おっしゃる通り、そこは一般的なクラウドファウンディングとは違うところですね。
例にあげた個人経営のゲームセンターさんも、VTuberさんも、元々のファンが多かった点が成功の大きな要因の一つだと思います。そうした人達が「応援しよう」と思ってくれたのでしょう。
ただ、Ci-en自体も「クリエイターさんを応援するプラットフォーム」なので、元々ゲーム・マンガ・アニメ・イラストといったカルチャーが好きな人が集まっており、そうした点も成功の後押しになっているのではないかと思います。
なお、Ci-enとしても、ユーザーさんには新しい作品・作家さんとの出会いを後押ししたいと考えています。今後は好きな傾向の作品・作家さんをレコメンドする機能の開発も検討しています。
坂本
それは、クリエイターさんたちからすると新しいファンを発掘できる場所になりますね。
無料プランを活用すれば、自分のファンづくりからコミュニティ構築まで可能
中畑
「金銭的な支援ではなくコメントで応援してもらう」は、無料プランではありますが、さまざまなクリエイターさんをサポートできる方法の一つだと考えています。
坂本
「コメントで応援してもらう」……。ちょっと気になったのですが、それならX(旧Twitter)などの既存のSNSでも可能ではないでしょうか?
中畑
Xでよく聞く事例ですが、SNSに投稿したコンテンツがきっかけでアカウントを凍結されてしまうことがありますよね。ASMRなどは成人向けでなくても凍結されてしまうことがあると聞きます。
また、今どのSNSもこぞって独自の表示アルゴリズムを組んでいます。その結果「自分の投稿がシャドウバンされているのでは?」と不安になっている方の声も聞きます。
坂本
なるほど。既存SNSだと利用者は多い一方で、自分が投稿した作品がプラットフォームの都合で見てもらえなくなることが起きかねませんね。
中畑
Ci-enの無料プランを使ってもらうと、そうしたリスクを回避できます。課金してもらうのではなく、まずは自分の作品を知ってもらったり好きになってもらう土壌を作れるのは大きなメリットだと思うんです。
坂本
無料プランで自分の作品を好きになってもらい、クリエイターさんを応援したいと思ったファンが支援できる仕組みなんですね。最終的にはコミュニティのようになりそうです。
中畑
実際にコミュニティとして使っていただいている方もいます。またCi-enでは最近Discordへの連携も行えるようになりました。この機能により、クリエイターさんは有料で支援してくれた人にだけ自分のDiscordサーバーを案内することができるんです。
坂本
ということは、下記のように駆け出しから中堅・大御所まで広く使えそうですね。
- 駆け出しの頃:
ファンと出会う場所【無料プランを活用】 - 本格的に活動開始:
支援してもらう場所【月額プラン・特定コンテンツを買ってもらう】 - 中堅・大御所:
自分のコミュニティを作る場所【クラウドファンディング・Discord機能活用】
中畑
そうですね、広く使っていただけると思います。そのためにも、今後はさまざまなクリエイターさんに使ってもらえるサービスを目指すべく、企画やサービスの改善を続けていこうと思っています!
坂本
今なら「こんな企画をやってほしい」という要望を出すと、運営側が拾ってくれたりするのでしょうか?
中畑
すぐにできるとは断言できないですが、運営側としては目を通して検討すると思います! これを機会にGENSEKIに登録しているイラストレーターさんもぜひ、Ci-enを知っていただけたらうれしいです。
執筆坂本彬
イラスト鈴木とろ(X:@ToloSuzuki/GENSEKI)