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ワンランク上のキャラクターイラストのための「ポーズ」のアイデアを解説。くるみつ先生にインタビュー


【こちらの記事はきびだんご株式会社の提供でお送りします】


こんにちは、GENSEKIマガジン編集部です。キャラクターイラストを描くとき、ポーズをどうしようか悩んだことはありませんか?

今回はくるみつ先生審査員、きびだんご株式会社協賛のもと、「ポーズを描こう! ポージングイラストコンテスト」を開催しました。


この記事ではくるみつ先生に、同コンテストで受賞した作品を例に挙げて「ポーズの決め方」「キャラクターイラストの描き方」について伺いました。今回のポーズ写真に使用したアートフィギュア「スティッキーボーンズ」をくるみつ先生が愛用しているお話もあります。記事の最後にはクーポンコードも掲載しています。

目次

お話を聞いた人

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くるみつ(X:@krkrkr32Web

イラストレーター。ソーシャルゲームのキャラクターデザインやポケモンカードイラスト、CDジャケットからグッズイラストまで幅広く活動。ポップでとにかく明るいキャラクターイラストを多く手掛ける。
メイキングやスキル講座などのYouTube「くるみつちゃんねる」を運営中。


インタビューした人

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/g/genseki_msaito/20230919/20230919150037.png
サイトウ
GENSEKIマガジンの運営サポートスタッフ。


キャラデザインをポーズから始めるメリット

サイトウ
今回は、アートフィギュア「Stickybones(以下スティッキーボーンズ)」を使って撮影した3つのポーズから、ひとつ選んでキャライラストを描く課題でした。

くるみつ
ポーズを考えるのが苦手な方こそ、ぜひというお題でしたね。


サイトウ

先生は普段キャラクターイラストを描くとき、ポーズから決めますか? それともデザインからですか?

くるみつ
いろいろなパターンがあるのですが、ポーズから考えることもあります。今回の見本もポーズから考えました。

サイトウ
キャラクターイラストをポーズから考えるメリットはなんでしょうか?


くるみつ

ポーズからデザインを考えるのは一見すると難しく感じられるかもしれません。キャラに衣装を着せようとすると、ポーズを崩さざるをえないこともありますよね。

でも、逆に描きたいポーズさえ先にしっかり固めてしまえば、それにあうデザインを絞って考えていくことができます。ポーズから始めるのは個人的にはアリだと思っています。


ポーズを構図やパースでダイナミックに演出する

サイトウ
キャラクターイラストでポーズを活かすにはどうしたらいいでしょうか?

【大賞:ポーズ2】JUMP!FLY!/あらめ

くるみつ
大賞のあらめさんの作品がまさにポーズを活かしています。キャラが上下逆なのがポイントです。イラストは基本的に、画面上部に目が行くものです。でもこの絵は、真ん中より下の方に見てほしいところを持ってきています。これにより、お題のポーズを活かして、よりダイナミックな表現ができています。

さらに俯瞰(ふかん)のパースで顔は大きく、足元は小さくして、見る人にインパクトを与えています。また、背景の渦巻の中心に顔を配置したり、顔の近くに缶バッジや絵で黒を散りばめて、顔に視線誘導できています。顔を上下に回転するのは僕もなかなか怖くてできません。


サイトウ

メインである顔は、つい画面の上に持ってきたくなるので、逆さにするのは冒険ですね。


くるみつ

それに加えて、全体の粗密のバランスが取れているのもいいですね。顔まわりは密度を高く、逆に足元はパーツを減らして簡素に描いています。


サイトウ

ポーズを活かすための細かい仕掛けが、たくさんあるんですね。

 

【佳作:ポーズ3】💥Full Blast💥/らんか

くるみつ
らんかさんの作品はアオリのパースで、ドーン! と迫ってくるダイナミックさがあります。ライティングと、ズボンと腰部分の描き込み具合もすごくうまい。下から見上げている難しいパースですがしっかり立体が描けていて、チャレンジ精神を感じました。ポーズを使って自分の描きたい表現に落とし込めています。


サイトウ

俯瞰でもアオリでも、パースをつけることでポーズにダイナミックさが出るんですね。


くるみつ

カメラ位置でここまでポーズの印象を変えられるというのは、僕にとっても学びになりました。


指先のポーズでキャラの性格を表現する

くるみつ
また、この作品は指先まで使ってキャラが描けています。画面左側の手は指が全部開いていて、右側は人差し指と中腕がくっついている、このアンバランスさがいいですね。


サイトウ

両方とも同じように開いていたら、ここまでキャラ感が出なかったということでしょうか?


くるみつ

元気なキャラだったらそれもアリですが、この子はちょっとミステリアスな、いたずらっ子のようなよさがありますよね。そういうキャラ要素もあって、この指先になったのかな、と思います。

【佳作:ポーズ1】イリュージョンマジックショー!/マトナカ

くるみつ
マトナカさんの作品も、顔近くの手の、中指と薬指がくっついています。僕もよくやるのですが、かわいいですよね。


サイトウ

ポーズ1の腰にあてた腕が、剣によりかかった設定になっているのもおもしろいです。


くるみつ
そうですね。ポーズの解釈がしっかりキャラに昇華できています。


サイトウ

いけたさんの作品も、ヨッと挨拶しているような手からキャラ性が伝わってきます。同じ課題ポーズを使っていますが、全く違う印象です。

【佳作:ポーズ1】普通の少年🫶/いけた

くるみつ
ヨッとしている手の指は、課題写真では揃っていますが、実際にやってみるとあまり揃わないんですよね。特に小指というのは一番力が入らず、脱力しやすい。この絵はそれが描けているので、自然に見えますね。

サイトウ
どの作品も、指先でキャラの性格まで表現しているのですね。


くるみつ
それに加えて、どの作品も「自分の考えたキャラが、課題のポーズをしたらどうなるか?」まで考えられていたのがよかったですね。

僕も今回のコンテストを通して「こういうところでキャラが出せるんだな」と気づきがたくさんありました。


自然なポーズと、オーバーなポーズの描き分け方

サイトウ
こちらは落ち着いたリアル寄りな表現の作品です。どうやったらポーズ全体を自然に見せられるでしょうか?

【佳作:ポーズ1】「待ち合わせ」/ゆめ

くるみつ
「自然体なポーズ」を伝えるのは難しいですね。ゆめさんの作品のように、細かい表現までしっかり描き込まないといけません。

僕は吹っ切れたようなオーバーな表現が得意で、そのほうが伝わりやすいと思っているタイプです。なので、あまりアドバイスはできませんが……やはり、実際に一度自分でポーズを取ってみるのがいいかと思います。


サイトウ

オーバーなポーズは、オーバーにしすぎてしまって不自然になるときがあります。先生はどうバランスを取っていますか?


くるみつ
バランスを取るのは僕にとっても難しく、毎回試行錯誤しています。例えば、足をかなり広げ、腰をエビ反りにすると元気な感じが出ますよね。そのエビ反りを、どこまで反らせるかが悩みどころなんです。

まずは、スティッキーボーンズのようなデッサン用フィギュアで一度ポーズを作ります。そして、フィギュア以上に反らせて描いてみて、不自然に感じたら修正し、自然なポーズに寄せていく。これぐらいならいい見え方になるかな? というラインを探ります。

最近は経験上なんとなくわかってきましたが、最初のうちはよくわからなくて、とことんやってやりすぎて(笑)、その都度調整していましたね。

【編集部より】くるみつ先生がキャラデザやポーズに試行錯誤して描く様子は、先生のYouTubeチャンネルで多数見ることができます! プロの積み重ねを、ぜひご覧ください。


ポーズをさらに活かすスゴ技アイデア

【ポーズ3:佳作】原石が輝く瞬間/遊凪

くるみつ
遊凪さんの作品は、アイデアと絵作りがすごすぎます。一見あっさりした作風に見えますが、とても難しいことをされています。

スマホのプレイリストを見ている構図です。一般的なアイデアならアプリ画面を描くところ、スマホ自体の枠まで描いて、さらに外から見ているメタ的な構成になっています。

さらに魚眼パースのようにして、画面の中にキャラを収めるにはあまりに窮屈! という、画面から飛び出そうな広がりまで感じさせてくれます。


サイトウ

より迫ってくる雰囲気がありますね。


くるみつ
イラスト全体が、ポーズのお題も含めてしっかり計算されていて、プロ以上の表現力です。言語化が難しいというか、言葉にするのは野暮かもしれません。

【佳作】メタバニフォーゼ/つくもきょー子

くるみつ
つくもきょー子さんの、課題として提示されている全部のポーズを描くアイデアには驚きました!

課題は、複数のポーズを一緒に使う想定はしていなかったのでテーマもバラバラだったのですが、すべてのポーズをひとつにまとめるアイデアがうますぎました。


サイトウ

おしゃれでかわいい変身シーンに落とし込まれていて、テーマにもばっちりですね。


キャラクターイラストにおける構図のガイドの考え方

くるみつ
この絵は構図もとてもきれいで、すごくわかりやすいですね。理論をよく考えられているのは、投稿の2枚目からも伝わってきます。

サイトウ
黄金比のガイドに沿って描かれたそうです。先生は、そういった構図のガイドは使いますか?

くるみつ
僕は感覚で描くタイプですが、構図ガイドや理論が気になって実践してみたことはあります。写真業界でよく使われる「3分割法」などですね。


最終的には自分の感覚に従おう、というところに落ち着きましたが、そういった構図の基礎は今も感覚で使っていると思います。


ポーズの重要性とキャラクターイラストを描く楽しさ

サイトウ
イラストを描く上で、ポーズの重要性はどういったところにあるでしょうか?

くるみつ
自分の表現したいモノ(絵)を伝えるうえで、絶対に必要な要素だと思っています。

具体的に言えば、キャラの「性格」や「所作」を伝える要素でもありますし、それこそ指先の細かい動き一つで絵の魅力やキャラの解像度も大きく変わってきますよね。

挙げたらキリがないのでこの辺にしておきますが、それほどまでにポーズはイラストを描く上で超大事な要素だと思っています!


サイトウ

先生はたくさんキャラクターイラストを描いてきていると思いますが、描く楽しさやコツはあるでしょうか? 「これ!」と感じるものがもしあれば、教えて下さい。

くるみつ
皆さん、ゲームや漫画などのコンテンツに触れてきて、絵を見ただけで心が揺れ動かされるキャラに出会ったことはありませんか?

一度はあると思いますが、あの感覚を自分で生み出すことができるのが、キャラクターイラストを描く上での楽しさの一つなのかな〜と思っています。

絵を描いていて、「めちゃくちゃいいキャラが描けているな~」と思ったとき、自分が描いたものなのに心が動かされて、すごくドキドキしちゃうんですよね……。
あの感覚は、本当に楽しくてしょうがないですね。

結果発表と講評コメントはこちら

「キャラクター」のデザイン&描き方 カラフルポップで魅せるイラスト技巧

 

スティッキーボーンズは仕事でも大活躍! 使い心地をレビュー

サイトウ
コンテストのお題で使用したアートフィギュア「スティッキーボーンズ」は、くるみつ先生にも実際に使っていただきました。使い心地はいかがでしたか?

くるみつ
今までいろいろなフィギュアを触ってきましたが、一番いいのではないかと思えるぐらいよかったです!
「あと一歩可動域が欲しい」「宙に浮かしたい」など、僕のやりたい動きをつけたポーズが取れました。

実は、あまりによかったので、コンテスト用にご提供いただいた1体とは別に、個人で1体購入したんです(笑)!


サイトウ

なんと!  スタッフ一同驚きです。2体持ちで日頃の制作に活用されているんですね。2体使ったサンプルは公式サイトにたくさん掲載されていて、バトル要素の強いポーズ見本もあります。

くるみつ
僕はキャラを2体描く機会が多いので、拡張性やポーズの選択肢の多さがうれしいです。手足の先に磁石がついていて、手を繋ぐときや、地面に立たせるときも安定します。

普段のお仕事でも、描くものに迷ったときになんとなく触ってアイデア出ししたり、とても助かっています。今回のコンテストで関わったという以上に、素直な気持ちで感謝してます!

▼ここでお知らせです▼


今回使用したアートフィギュア「スティッキーボーンズ」 1,000円OFFクーポンを配布いたします!  手のコレクションや2体セットまで、さまざまなニーズにあわせて用意されていますので、この機会にぜひお得に手に入れてご活用ください!

1,000円OFFクーポンコード:VIVIONSBCP
期間:〜2024/9/30 23:59まで

対象商品:Stickybones商品ページで購入可能なSKU(バリエーション)全商品
利用方法:購入手続き時にクーポンコードを入力

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執筆

kao(X:@kaosketchWebGENSEKI

編集

斎藤充博(X:@3216WebGENSEKI