こんにちは! GENSEKIマガジン編集部です。今回は、ご好評いただいているgreen322先生の添削連載企画、第4弾です!
『green322先生に イラストの添削をしてほしい人募集!』でご応募いただいた作品を、実際に先生に添削していただきました!
green322(X:@green322green)
Xで14万人以上のフォロワーを持つ人気イラストレーター。美術系大学卒業後中学校の美術教諭として勤務、退職後イラスト制作会社でアートディレクターとして作品の品質管理を担当。その後ゲーム開発会社でのイラストレーター勤務を経て、現在フリーのイラストレーターとして活動中。
添削イラスト応募者
めろ。(X:@mero_25KAMIEMA/GENSEKI)
めろ。さんのお悩み
今回の添削対象は、めろ。さんのこちらのイラストです。
ー今回のイラストで自分が思い通りにいかなかった点、特に気になっていてフィードバックがほしい点を教えてください。
自然な影の付け方と、背景の描き方です。
ー普段、イラストを作成する上で困っていること、悩んでいることはありますか?
キャラを可愛く見せる構図を考えることです。
ー目指している絵柄や作家さんはいますか?
おむたつ様(Twitter @omrice4869)です。
【添削ポイント】2種類の「影」で見やすさを加えよう!
めろ。さん、この度はご応募いただき、ありがとうございます!
今回添削に出していただいたイラストはキャラクターの全身デザインですが、全体的にかわいいデザインで、好印象を受けました。
ただ、画像サイズがかなり小さかったので、添削の最初に解像度を72dpiから144dpiに変更しました。解像度やサイズが小さいと画像が若干ぼやけたり粗くなってしまってもったいないです。後で小さくするのは簡単なので、最初は解像度を高めにしておきましょう。
機材環境によってはお絵描きソフトが動かしにくくなることがあります。web用なら印刷用(350dpi)ほどは必要ありませんので、動作に問題のない範囲で設定すると良いでしょう。
また、このイラストは全体の描写を詰めるともっと良くなると思いましたので、全体的に思いきって調整させていただきました。ただしお顔はそもそも可愛いので、ほぼ手を入れておりません!
自然な影の付け方でお悩みとのことですが、影は2種類に分類して考えると整理しやすくなります。「落ち影=影」と「物そのものの影=陰」について、添削しながら見ていきましょう!
陰とポーズを意識して、全体のクオリティを引き上げる
2種類の影の分類についてですが、美術的に
・「影」=モノが光をさえぎったときに落ちる影、くっきり見える場合が多い
・「陰」=モノそのものの影、形にそってぼかすことが多い
と呼びます。
「影」は光が当たった時にできる影、いわゆる落ち影で、イラストを描く際はぼかさずはっきりと入れてあげるとメリハリが出ます。
「陰」はモノの形自体を表す影を指します。形の変化に合わせてだんだん光が当たらなくなる場合が多いので、ぼかすことが多いです。
少しむずかしいかもしれませんが、「影」はぼかさないが、「陰」はぼかす場合もある、と考えれば大丈夫。
このことに気をつけて意識を徹底するだけで、かなり見やすいイラストになると思います。
また、キャラを可愛く見せる構図についてですが、現状のポーズだとすこし棒立ち気味に見えてしまっています。せっかくの可愛いキャラクターやデザインの魅力を伝えきれずもったいないため、立ち絵なりに動きをつけました。
背骨を意識しながら、少し胸を張らせて腰が前に出るポーズにし、首の傾き具合とも合うようにしています。足にも前後の動きを出しました。
上記を添削したものがこちら!
【さらにひと手間】人物外側と目立たせたい部分の輪郭を強調する
さらに、このイラストは全身のキャラクターデザインですので、引いて見たときや他のものと一緒に配置しても目立つように、もうひと手間加えましょう。
絵の主線を色トレスしてなじませるのは基本のテクニックですが、あまり色を入れすぎたり、細い線のときは、遠目で見るとぼやけすぎてしまいます。
それを防ぐためにはまず、全体の外側の輪郭を濃く太い線で強めます。
こうすると、ゲームやyoutube配信のような背景に配置しても、キャラクターが埋もれにくくなります。
さらに、顎のラインや耳の輪郭、前髪の境目など、お顔まわりの輪郭をいくつか濃く太く強弱をつけました。顔・髪・耳の位置関係がはっきりし、印象が強まります。
こうしてお顔まわりを重点的に強調することで、全体で見たときも顔に目が行きやすくなります。
添削完了!
添削を加えたイラスト
【総評】可愛いキャラクターデザインができる長所を伸ばす、テクニックを身につけよう!
今回はお悩みのなかから「2種類の影」と、全身キャラクターイラストという用途を考えた添削をさせていただきました。
影については、最初はむずかしいかもしれませんが、「影」と「陰」でレイヤーを分けて塗ってみるなどすると、慣れてくると思います。
また、動きのあるポーズについては、全身立ち絵のポーズ例はモデルさんの立ち方などを参考にするとよいと思います。動きを出したうえでそこに意図を感じられると、クオリティが一気に上がります!
キャラクターデザインができるのは大きな長所なので、それをもっとよく見せる工夫をいろいろ試してみて下さい。お互い頑張りましょう!
添削イラスト募集中!
この連載では、green322先生にイラストの添削をしてほしい人をまだまだ募集しています!
元のイラストの良さはそのまま活かして、さらにクオリティを上げるポイントが満載の、学びの多い添削です!
皆さまからのご応募お待ちしております✨
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執筆
kao(X:@kaosketch/Web/GENSEKI)