この連載では、イラスト作成に関するお悩みを、田中くんがかのと先生と一緒に学んでいきます。今回のテーマは、「自然な身体の動きを知ろう」です。
登場人物
イラストレーターになりたい学生。夢はゲーム会社に就職すること。
この連載の先生。イラスト・ゲーム・キャラクターデザインなどさまざまなデザイン、ディレクション等、多岐にわたって活動するマルチクリエイター。
この記事を読むと学べること
- 人体の自然な体の動き
- 身体の動きを描くときのよくある注意点
腕を動かすときは肩甲骨を意識しよう
動きのある絵を描くとなんだか違和感が……。何がいけないのかな?
どれどれ? うーむ。腕が変に上がってるわね……。
でも僕、デッサン人形とか見て描いたんですよ?
デッサン人形の種類にもよるけど、それをそのまま描いちゃうと変になるわよ?
えーーー?! それじゃ、なんのためのデッサン人形なんですか???
大まかな動きや、バランスは取れるんだけど、こういった簡易的なデッサン人形にはできない動きがあるのよ……。
田中くん、イラストのように腕を上げてみて。
はい。こうですか?
今、上げてる方の肩と、下げてる方の肩、同じ角度になってるかしら?
あ!上げてる方は、腕だけでなく、肩も斜めに上がってますね!
そう。このデッサン人形は肩が固定されてるからこのまま描いてしまうと、ガンダムみたいに腕だけが回転してしまった表現になってしまうのよ。
確かにぃ〜!
そして、腕を動かす時には腕しか意識してない人が多いんだけど、実際は背中にある肩甲骨から動いているの。肩甲骨は体の前にある鎖骨ともつながっているわ。そして鎖骨は胸筋につながっている……。
こうしたことをイメージをすると、肩や、鎖骨に胸筋も一緒に動くことがわかって、自然な動きになるわよ!
腕……肩……肩甲骨……鎖骨に胸筋……。本当ですね! 全然意識してませんでした!
人間の身体は大きなパーツになるほど、他のパーツも影響されて動いていくから、実際に同じポーズを鏡の前でして確認すると良いわね!
ここまでは腕と肩と胸の話をしてきたけど、実際には腕を大きく動かすと、頭や首の角度も変わってくるわ。
ある程度描ける子になると、頭、首、肩までを手癖で描いてから、腕の動きをつけようとする人が多いんだけど、それは最初の段階ですべてを意識しないと、うまくいかないわよ?
わ〜〜〜〜!! 完全にそれ僕ですっ! なんか恥ずかしい〜!//////
膝と足先は同じ方向に揃えよう
あと、よくあるのが脚! 田中くんが描いた内股の脚……。
内股の脚、かわいくないですか?
脚が捻れてるのに気がついてる?
え?
やってみたらわかると思うけど、膝とつま先を別方向に向けるのって、ほとんど無理なの。すねは捻れないし、足首は基本上下の運動しかできない仕組みになっているわ。脚を捻ったり、左右に動かすのは基本的に骨盤骨盤につながっている股関節から来るのよ?
わ! 本当だ、難しい……。いててて。
漫画的演出とかアニメで動きのある表現をするためにわざとデッサン狂わせて勢いをつけたりする場合もあるけど、よっぽど上手くやらないと違和感しか残らないわ。
基本的には膝とつま先は同じ方向を向いてるのがいいわね。
実際に絵と同じポーズをすると、たくさん発見がありますね!
そうね! 自分の身体は一番身近な資料よ!
私も難しい動きを描く時は、同じポーズをして、スマホのカメラをタイマーにして自撮りをして資料にしたりもするの。動きの確認もできて一石二鳥よ!
タイマーで自撮り! いいですね!
鏡だと動いちゃうし。
いろんな写真を見たりデッサンの練習をして、身体の構造が理解できるようになると、ポイントがわかってくるわよ。模写する時も、繋がって一緒に動くパーツを意識してみてね!
なるほど。腕を動かす時は、肩や胸や背中の動きも一緒に考えて、膝とつま先の方向は揃える感じですね!
そうそう!
よし! いいポイントも聞いたし、練習がんばるぞー!
ファイトー!
執筆・イラスト
華乃都(かのと)(X:@rubanribbon)
ゲーム会社、IT 系会社で、イラストレーター&デザイナーとして勤務したのちに独立。現在はフリーランスのイラストレーター&デザイナーとして活動中。専門学校でも現役で講師をしている。
イラスト(ファッション画、水墨画、ゲーム系etc…)
デザイン(グラフィック、パッケージ、UIX、グッズ、etc…)
The Kitten Louis イラストレーター/ エグゼクティブプロデューサー
クリエイティブディレクター、プロデューサーなど活動は多岐にわたる。