パスファインダーの機能をわかりやすく解説【盛れる! グラフィックデザイン部】

グラフィックデザインってなんだか難しそう。誰か親切な人が教えてくれないだろうか。できれば優しいギャルだといいんだけど……。そんなことを考えていた初郎(ういろう)君のもとに、どこからともなくグラフィックデザインに詳しいギャルが現れました! グラフィックデザインの初歩を学ぶ連載です。

この記事でわかること
  • オープンパスの繋げ方
  • パスファインダーの機能解説
  • Illustratorを用いた似顔絵の仕上げ方

登場人物


ぎゃるの
グラフィックデザインに詳しい謎のギャル。その時の気分で優しくしたり詰めたりする。


初郎(ういろう)
グラフィックデザインについては右も左もわからない。できれば優しいギャルに教えてもらいたい。

超極論⭐︎グラフィックは図形の組み合わせ


前回に引き続き、イラレを使った似顔絵(イラスト)制作の仕方を教えて行くよーん。ベジェ曲線はもうバッチリ?


は……はい! ハートを100,000,000回なぞったんで、ハンドルさばきだいぶ慣れてきました! 腕はガクガクです!!


もはや修行超えて罰なのウケる。そこまでやれとは言ってないけどベジェ曲線はやればやるほど感覚を掴めるものだからね〜。
逆に、今日教えるパスファインダーは頭使うから。脳トレ的に。


の、脳トレ…… 苦手だなあ〜。
パスファインダーってアレですよね、なんか四角や丸をくっつけたり切り離したり……よくわからないからほとんど使ってないです。


そうそう。いろんなオブジェクトを組み合わせてシェイプを作成するのがパスファインダーね。
ベジェと一緒で最初はとっつきにくいけど、普段絵描いてる人ならヨユーヨユー。だって全てのグラフィックは単純な図形の組み合わせでしかないしー。それをフリーハンドで描くかデジタルで描くかの違いだけっしょ。


なんかすっごい極論ですが、それもそうですね。
絵もデザインも……僕もぎゃるのさんも……そしてこの世界も全ては図形の組み合わせ……。まる、さんかく、しかく……。


おーい変な世界行くなし。
前にも言った通り、イラレとかのドローソフトを使って作ったベクターデータは微調整がしやすい上にサイズも自由自在。一度マスターしちゃえば似顔絵オリキャラ制作ストックイラストなんかも作って販売できちゃうからまじお得〜。


おお! ストックイラスト! やってみたいと思ってたんですよ〜〜〜! 有名なイラストレーターさんでやってる方いるんですよね〜!


わかりやすくやる気出すじゃん。んじゃー今回もやっていこー。


お願いしまっす! 免許皆伝目指して頑張りますっ!

オープンパスに気をつけなはれや!


さーそんなわけで、パスファインダーの前に「オープンパス」の概念から頭入れてこー。これ、イラレでイラスト描く時に外せないんだわ。


お、おーぷんきゃんぱす……?


大学行ってどーすんのっての。
前回教えた、パスの「始点」と「終点」が繋がっていない状態を言うよ。例として、ぅちが5秒で作ったういろう似顔絵を使うね。


こ、これは味わい深い…


今の「プレビュー」状態だと閉じてるのか開いてるのかわからないから「command+Y」(Windowsの場合「Ctrl+Y」)か「表示>アウトライン」にして、ポン。


わ! グレーの線画だけに!


イラレで絵描く時、アウトラインモード結構使うから覚えてて〜。んで、ココ、線途切れてるのわかりやすくなったっしょ。


ほ、ほんまや!! 途切れとる!!


繋げる方法は2つ。大きくパッカーって開いてる方は「オブジェクト>パス>連結」、ちょっとだけ開いてたり交差してるのは「連結ツール」かな。使いやすい方でいいんだけど、連結することで余計なアンカーポイントが増えたりするから使い分けできるといーかも。


なるほどー。ところで、パスが閉じてないと何か不具合あるんですか〜?


あるあるめっちゃある〜。特に印刷の面では思いがけないトラブルの原因になるし、ういろう憧れのストックイラストも、オープンパスや孤立点(意図せず打ってしまったアンカーポイント)があるデータは受け付けてくれないところもあるよー。


なんと! それは気をつけなくてはですねー。

これがパスファインダー10手!


ではでは今回の本題。パスファインダーについて。


よっ! 待ってました!


パスファインダーってさっきも言った通り、オブジェクトを組み合わせてシェイプを作るんだけど……組み合わせ方の数……10手!!


多い! それ全部使うんですか??


うーん、まーやっぱりよく使うのは決まってくるけど、ふとしたときに「あー! あれ使えんじゃん!!」ってなるんだよねー。


以前に教えてもらったタイポグラフィでもかなり使えそうですね。


そうそう〜。そして、今から仕上げていく似顔絵にも!
なるべくシンプルに、まん丸な目だったり逆三角形の輪郭だったり、ちょっと大袈裟なくらいわかりやすい方が似てる〜〜! ってなるしね。


なるほど〜。だから似顔絵をイラレで描けしって言ってくれたんですね! 流石です! ぎゃるのさん!


でしょ? ウェーイ(ほぼ思いつきだけど)

塗りレイヤー、整えればうまくいく⭐︎


んじゃー前回線画まで仕上げた似顔絵に色入れていこーかー!
つってもイラレはペイントソフトみたいにバケツでぴょいぴょいーんとは塗れないから、線画をコピーして、ベタ塗りレイヤーとして整えていくよーん。


線画レイヤーを上に、塗りレイヤーを下にってのはイラスト描く時と同じですね。
具体的にどう整えるんですか??


まずパスオブジェクト化する上で邪魔な線を消しま〜す。こういうクイッと食い込んでる系の線ね。あと指の線とか。
んで、オープンパスになってるところは閉じて、髪、顔、手、首、服(パーカー)、パンツ、靴とパーツごとにパスオブジェクト化するダンドリでーす。

最初に教えた連結ツールだったり、パスファインダーを駆使してやってみろし〜。
ういろうみたいにお絵描きソフト使ってるなら、線画レイヤーと塗りレイヤーを分ける感覚でおけ。


え〜っと、指はパスファインダーの合体でいけそうだな、髪の毛は連結ツールで丁寧に、あとは耳と顔を連結して……あれえええ??
線を塗りに変えたら、顔面に虚無が!!!??


あーね。そんな時はパスファインダーの出番!


おおお〜〜! そうか、追加パーツが必要ならその都度こさえたらいいのか……。


そーそー。焦らず冷静に考えたら、きっと解決の糸口が見えるはず!

楽しいアピアランスタイム


つーわけで。ここまでが下準備。
こっからが一番楽しいアピアランスタイムだよー。


やったあ〜〜! ……って、アピアランスってどういう意味なんですか?


「見た目」。つまりビジュアル〜。イラレ的には線や塗りの色、効果とか、オブジェクトの見た目に関わること全般を指すよ。
そのうち「ビジュ良(い)」ならぬ「アピ良(い)」とか流行るかもねー。


なるほどなるほど、確かにイラスト描くとき特に楽しいとこですねえ!
イラレの操作はまだまだ慣れないけど、がんばっちゃうぞー!


ちょっとお〜!? 良いじゃん! すごいじゃーん!


は……はい! なんか……ペイントソフトで描くときとはまた違った良さがありますね…… 仕上がりきれいでうれしいです!


うんうん、ペイントソフトやアナログのイラストには良さがあるし、イラレのイラストにはイラレでしか出せない良さがある。みーんな違ってみんな良いよねー。

ちょっと上級⭐︎時短ツール


さっき、イラレはバケツ塗りみたいにパッパカ塗れないって言ったんだけど、実はあるんだよね。それに近いものが。


あるんか〜〜〜〜い!!!!!


ああ! これはまさしく僕が普段使っているペイントソフトの感覚でいけますねー! オープンパスでも良いなら、なおさらこっちでやった方が断然楽なんですが、ダメなんですか?


確かにそーなんだけどー。パスを自在に操って、図形の組み合わせでグラフィックを作ってこそオリジナルデザインの幅が広がるってのはあるから、先にパスの理解をしてからの方がいいかなーと。陰影付けずベタ塗りだけでもいい時とかは時短できて良いかも。
まじ100件くらい似顔絵頼まれてて時間との勝負! って時とか。


いやーおかげさまで似顔絵とイラレで描くイラストにだいぶ自信が持てましたが、流石に100件はねー……ハハハ!

(プルルルプルル……)

はい、もしもし……。あ! 似顔絵、もう見てくれたんですね! え? 最高!!!? わあーうれしいです!

え? めちゃくちゃ気に入ったから社員全員分描いてほしい? ひゃ……ひゃく……いち…に……ん……???


すご。大企業じゃーん。


えっと……その……がんばります!! 納期はまた相談させてください!

(通話終了)

ぎゃ、ぎゃるのさん……! お願いです! 手伝ってくださ……居ねえ!!!


(置き手紙)
「丸と三角と四角を合体して前面オブジェクトで型抜きしたみたいなピアス欲しくなったから探す旅にでま〜す。Bye!」


あああああああ!!! 相変わらず自由すぎる!!!! ベクターデータぐらい自由! 

こうなったらやるしかない……。俺のベクター(腕)、持ってくれぇ!!!!


執筆・イラスト

きびのあやとら(GENSEKI/X:@kibinoayatra
元ギャル。グラフィックデザイナー歴16年の漫画家。書籍『今すぐ痩せ見え!!-5kgコーデ』(はちみつコミックエッセイ)発売中。デザインはあらゆるクリエイティブの根底にあるズッ友のような存在。基本的なことやコツさえ抑えたらデザインはとても自由で楽しいからマジでみんなやろ〜?ということをギャルのノリで伝えていきたいと思っています。

編集

斎藤充博GENSEKI/X:@3216Web

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