GENSEKIマガジン

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Webサービスのロゴリニューアル裏側―GENSEKIの場合


こんにちは。GENSEKIマガジン編集部です。

2024年10月24日、GENSEKIのロゴとサービスカラーがリニューアルされました!

旧ロゴ

新ロゴ

スタイリッシュなデザインから、軽やかさを感じるフレッシュな印象に様変わりしました。サイトの刷新からもしばらく経ち、もうすっかり馴染んでいるかと思っているのですが、ユーザーの皆さまはいかがでしょうか……? 

 

今回は、そんな「GENSEKIロゴリニューアルの裏側」をご紹介します。

  • ブランドロゴはどのように作られているのか? 
  • どんな制作過程を経てこのデザインになったのか?

GENSEKIのPdM(プロダクトマネージャー)とロゴのデザイナーのお二人に、制作時のお話を伺いました。

お話を聞いた人

デザイナー 石川
GENSEKIの運営会社である株式会社viviONのデザイナー。新しいGENSEKIロゴのデザインを手掛けていただいた。

PdM 北川
GENSEKIのPdM(プロダクトマネージャー)。サービスのためになんでもやる係の人。

ロゴリニューアルのキックオフ

――ブランドロゴの刷新ということですが、最初にデザイナーさんにどのような依頼をしたのでしょうか?


PdM 北川

まず、GENSEKIのプロジェクトメンバーとデザインチームの方々でキックオフミーティングを行い、これからのGENSEKIがなりたい方向性から説明させていただきました。

GENSEKIでは新たに、クリエイターさん同士が「ナレッジ」という形で学びをシェアできるシステムを導入しているところです。プロでもアマチュアでも、学びたい気持ちというのは同じくらいあると思っているので、学びたい人、知りたい人、うまくなりたい人、すべての人に開かれているサービスを目指しています。

旧ロゴ

その中で改めてGENSEKIの旧ロゴを見たときに、黒ベースにオレンジ、直線的でシュッとしたスタイルで、プロフェッショナルな印象を受けました。当初、GENSEKIは企業とクリエイターをつなげるサービスとしてスタートしました。そういった意味では、こちらのロゴが信頼感もありかっこよくてすごく良いのですが……。


デザイナー 石川
プロに限定しない、もう少し間口の広いような見た目にしたいというオーダーがありましたね。


PdM 北川

はい。ここまでのお話を踏まえて「プロアマ問わず、いろんな人に開かれた感じ」「サービスの根幹は変わらないので、GENSEKIのカラーであるオレンジは踏襲してほしい」といったところをお伝えしました。


デザイナー 石川

最初に、「こういうことがやりたいんだ!」というコンセプトをしっかり伝えてくださったので、デザインを考える上でもやりやすかったですね。資料もあわせて見せてくださったのも、キーワードが引き抜きやすくてありがたかったです。

これまでデザインの依頼を受けて来た中でも、やっぱり一番困るのは「なんか良い感じに……」なので(笑)。


――依頼を受けたときの印象をお聞かせください。


デザイナー 石川

実は、ブランドのロゴデザインをするのは今回が初めてだったんです。普段は、コミュニケーションデザインチームという部署で、社内コンテンツのグッズを主に制作しています。経験がないこともあって、緊張しながらキックオフに臨んだのを覚えていますね。

でも私自身、クリエイターさんの作品を見るのが大好きなので、GENSEKIのようなサービスに携われるのはすごくうれしいなと思いました。


――依頼する時点で完成イメージはある程度ありましたか?


PdM 北川

具体的なイメージは、むしろあまり思い浮かべないようにしていましたね。


デザイナー 石川

確かに、ビジュアル的な部分での指定はあまりなかった印象です。


PdM 北川

「こんな感じにしてほしい」と言っちゃうと、それに寄っていってしまうだろうなと思って。どう形にするかは、プロのデザイナーさんを全面的に信頼させていただき、お任せしました。


――全体として、どんなスケジュール感で動いていたのでしょうか?


PdM 北川

さきほど説明したキックオフミーティングを行ったのが2024年8月です。


デザイナー 石川

そこから完成まではだいたい2か月かからないくらいでしたね。9月中にはできあがったデザインをお渡ししていたと思います。

 

始めの3案~完成まで

――キックオフの後、どのようにデザインを進められましたか?


デザイナー 石川

まず、コンセプトの中から発想を広げて、サポートで入っていただいたもう一人のデザイナーと一緒に、Pinterestなどから参考画像をいっぱい集めました。
ターゲットを絞らない「多様性」を表すにはどんな方法があるとか、サービス名の由来である「原石」の表現とか、他サービスのロゴとは差別化した方がいいだろう、とかですね。

ロゴとシンボルそれぞれ、集めた画像をベースに話し合った後、初稿として3案のデザインを作成しました。

最初に思いついたのは案1です。アナログ感のあるフォントからデジタル感のあるフォントへ変化させて、スキルの幅を表現しました。

案2は、そのアナログ感とデジタル感の両方をフォントの要素に入れ込んじゃおう、というアイデアです。

そして案3は、多様性というテーマを、原石というモチーフにちなんで「多面で構成されている」感じで表したいと思って制作しました。

それぞれ、シンボルがGENSEKIの「G」をイメージしたデザインになっています。


――3案ともすてきですね。北川さん、最初にこちらの3案を見た感想はいかがでしたか?


PdM 北川

全部かわいくて選べないよ~って思いました(笑)。
パッと見て好きだと思ったのは案1です。ロゴが直線的なのにふにゃふにゃした線も混じっていておもしろいし、シンボルのきらっとしている部分が覗いている感じもすごくかわいくて。


デザイナー 石川

ありがとうございます(笑)。


PdM 北川

ただ、これは私だけのものではなくGENSEKIのロゴなので、チームのみんなが好きだと思うものにしようと思いました。チーム全体に良いと思うデザインを聞いてみると、みんなの意見も結構ばらけていましたね。3つどれもすてきだと、やっぱりそうなります。

最終的にそれらの意見をまとめて、デザイナーさんへ案3をベースに進めていただきたいことを伝え、またバトンタッチしました。


デザイナー 石川

また、別の色味が見たいとのことだったので、カラーパターンも作成しましたね。
初稿から修正し、次にお出ししたのがこちらです。

GENSEKIの方から「ちょっとスタイリッシュすぎるかも?」という意見があったので、全体的に丸みを持たせて柔らかい雰囲気になるよう調整しました。


――かなり完成に近い案が出ていますね。初稿の色はオレンジと水色でしたが、カラーパターンはどのように考えられたのでしょうか?


デザイナー 石川

多面らしく見せるためには、ただ色を追加するのではなく、近しい色で構成する方が良いんじゃないかという話がデザインチーム内で出たんです。そこから、明度に差をつけてキラキラした感じを出したり、類似色を使って多面的に見えるような配色にしていきました。

色の持つ意味ってすごく大きいんですよね。だから、やみくもに色を追加するというよりも、GENSEKIが持っているオレンジを大事にしながらカラーパターンを出させていただきました。

PdM 北川
リニューアルにあたってメインカラーのオレンジ自体も調整をお願いしたのですが、明るくて良いオレンジになったと思います。


デザイナー 石川

オレンジは明るい印象を受ける色ですね。中性的な印象もあるので、ターゲット層を絞らないという意味でもコンセプトにあってます。


PdM 北川

こちらのパターンについては、キックオフに参加したGENSEKIのメンバーで話し合い、一番下の黄緑の入ったカラーでお願いすることに決めました。


デザイナー 石川

ここからは最終調整です。カーニング(文字の間隔調整)やサイズを調整したり、フォントのスリットの幅をそろえたり、すごく細かい部分をブラッシュアップしました。

例えば「S」は、隣の文字とちょっと間隔が開いているように見えるので、1%くらい詰めて……みたいな。デザインチームのリーダーにレクチャーしていただきながら修正していきましたね。


――だいぶ神経を使いそうな作業です。


デザイナー 石川

さくっと終わるような作業ではなかったですね……。ずっと画面を見ているとよくわからなくなってくるし、目も疲れてくるので休憩を挟みながら作業しました。作業中も、引きで見たり角度を変えて見たり、そういう意味でも時間がかかりました。


PdM 北川

イラストもそうですが、ずっと見てるとわからなくなりますよね。プロでもなるんだな……。


デザイナー 石川

そこはデザインもイラストも一緒ですね。
私がよくやるのは、強制的に画面を見ない状態にするために、席を立って、廊下を歩いて戻ってくる(笑)。自宅での作業の際は、コーヒーや紅茶をいれて休んだりもしますね。

 

ロゴ完成後~リリースまで

デザイナー 石川
ロゴができあがった後は、使用している色などのレギュレーションをまとめたガイドラインを作ります。基本的には、viviONの他のサービスを参考にしながら落とし込んでいきました。アイソレーション(ロゴの周りに設ける余白)については独自で、ロゴやシンボルが一番きれいに見えるように決めています。


――ロゴのガイドラインって、どうして決めるんでしょうか?


デザイナー 石川

ブランドのイメージを守るためですね。「このロゴはこう」というルールがないと、使用する人によってイメージがバラバラになってしまう可能性があります。とくにブランドロゴは社外にも広がっていくものなので、誰が使っても一定の規格にしてもらえるように細かい設定をされているのかなと思います。

具体的な禁止例にもありますが、ちょっと斜めにしたり影を付けたりするだけでも、初めて見る人にはもともとそういうデザインだと誤解されちゃうかもしれません。また、アイソレーション部分に図形を配置されると、文字に干渉して別の単語に見えてしまうといったことも考えられます。

ロゴで伝えたいことをちゃんと伝えられるようにするのが、このガイドラインというものになりますね。


PdM 北川

GENSEKIのサイト上で使用するサービスカラーも、ガイドラインをもとに刷新しました。

ただ実は、黄緑色だけ色を若干変えて反映しています。

オレンジと緑は、人によって識別しづらいという問題があるんですよね。GENSEKIのデザイナーさんに送ってもらったサンプルページを見て気になったので、調整をお願いしました。

色を変える以外にも、オレンジと隣り合わないように配置するとか、マークで差別化するといった提案もありました。でも、今後どういうサービス画面を作ることになるかわかりませんし、その頃には忘れてしまっているだろうし……ということで、色味を調整していただいたんです。

サイト内で使われているオレンジと黄緑は、どの色覚型でも見分けやすくなっています。


デザイナー 石川

印象が変わらない、絶妙なラインで調整していただきました。ありがたかったですね。


――デザイナー同士の連携が生まれていたんですね。


デザイナー 石川

こちらの調整をしていただいた方はプロダクトデザインチームで、UI・UXといったサイト全体の見た目や使いやすさを中心にデザインされています。今回のようなアクセシビリティチェックもよく行われていると思いますね。

色覚型ごとの見え方をチェックした記録

PdM 北川
私もサイトを作るときには、色覚多様性に配慮するようにしています。スマホのカメラで写すことで、色覚のシミュレーションができるアプリがあるんです。今回もそれでチェックしました。

いろんな人に使ってほしいという想いでサービスを作るからには、いろんな方に向けた形である方がいいですよね。


――ロゴができあがった後もいろいろ動かれていたんですね。


PdM 北川

そうですね。PdMとしては、できあがったロゴをどんな形でユーザーさんに届けるかを考える方が大変だったかなと思います。すてきなものを作っていただいたので、ぜひ皆さんに知ってほしいなと。

サイトの刷新やその告知のタイミングを決めて準備を進め、10月24日にいよいよリリースしました。

――リニューアルしたロゴを見て、改めてどう思われましたか?


デザイナー 石川

初めに「こういう感じになるんだろうな」と思っていたイメージが、そのままブラッシュアップされて形になった印象です。やっぱりコンセプトがしっかりされていたからでしょうね。


PdM 北川

自分の「こういうサービスであってほしい」という想いをちゃんと表現していただきました。キックオフで暑苦しい話をしたのが功を奏したのであれば、本当に良かったなという気持ちです。


デザイナー 石川

伝わってきましたよ。熱量が。


PdM 北川

あと、私の好きなこだわりポイントがあって……。

シンボルを構成する三角形が、真ん中の2つだけ他と比べて大きいんですよ。


――本当だ! 今言われるまで気づきませんでした。


デザイナー 石川

揃いすぎていてもかっちりしすぎな印象になるので、そこだけサイズを変えたんです。あと「G」の横棒ってアイデンティティのような要素でもあるので、より「G」らしく見えるラインを探りました。


PdM 北川

同じサイズだとちょっと中央が空いて見えてしまうというのを聞いて、なるほど! と思いましたね。


――リニューアルされて期間が経ちましたが、反響はあったでしょうか。


PdM 北川

ユーザーさんから直接の反応はないんですけど、サイト全体の雰囲気も変わっていますし、変化があったこと自体は認知されているかと思います。そこで反応がないということは、嫌だった人は居ないのかなって。GENSEKIのこれからやりたいことが伝わって、ユーザーさんも受け入れてくれたのだろう、と受け取りました。

これはGENSEKIユーザーさんに対する信頼でもありますね……皆さん受け入れてくれてありがとう!


デザイナー 石川

きっと伝わっていると信じて……。


PdM 北川

伝わっているはずです。

個人的にも周囲の人に告知したんですけど、新ロゴに「すてき!」といった反応をいただきました。


デザイナー 石川

うれしいです! 私も社内で発表する場があったんですけど、他のデザイナーさんから「このロゴめっちゃいいですよね」と言っていただけました。


PdM 北川

やった~。GENSEKIのことを褒められるのが一番うれしいです。

 

ロゴのリニューアルを振り返って

――石川さんは今回がブランドロゴデザイン初挑戦とのことでしたが、制作を振り返っていかがでしたか?


デザイナー 石川

私は細かい装飾などにこだわりがちな性格なのですが、ロゴデザインはどれだけシンプルにわかりやすく伝えるかが重要になってくるので、そこの落とし込みに一番苦労しました。

慣れていないという意味でも、初稿がやっぱり大変でしたね。他のデザイナーさんに見ていただきながら、細かすぎたり遠目でわからないような部分を削ぎ落していきました。

案1のシンボルも、最初はもっとスリットを入れてたんですけど、細かすぎて「G」に見えなかったり、引きだとバラバラに見えたりもしました。そういった最小表現の塩梅を探っていくのは、普段やっているグッズデザインなどとはまた違うスキルだと思います。


PdM 北川

ロゴは、白黒で表示しないといけない場面もあったりしますしね。


デザイナー 石川

そうなんです。ロゴデザインって一度決まるとそう簡単に変えられないので、いろんなところにどんどん使われていくこともあり、かなりシビアに見ていく必要がありますね。

モノクロ版

――ロゴ制作で一番やりがいを感じたのはどんなときでしょうか。


デザイナー 石川

伝えたい意図と表現がガチッとはまったときがすごく楽しいです。多様性、GENSEKIの「G」、原石という要素で、シンボルの形をひらめいたときに、頭の中でパズルのピースがはまって達成感があったのはすごく覚えています。
デザインに起こすときは、三角形のマス目を一つずつ塗りながら泥臭く試行錯誤したんですけど、今の形になったときに「良いデザインできたかも……!」と思えてうれしかったですね。


PdM 北川

依頼する側としても具体的なイメージはなく、伝えられるのはこういうサービスにしたいという思いだけだったので、それに対して考えていただいたデザインが出てきたときは、もう全面的に「やったー!」の気持ちでした。
最初の3案でどれがGENSEKIのロゴに決まっても、ガチッとはまっただろうと思います。


デザイナー 石川

考えたかいがありましたね。

ロゴひとつだけでも学べることが本当にたくさんあって、自分に足りないところや、もっと伸ばしていきたい考え方も見えてきました。今後も機会があれば、ぜひまたロゴデザインさせていただきたいです。


――この度はすてきなロゴをありがとうございました! 最後に北川さんから、新しくなったGENSEKIについてコメントをお願いします。


PdM 北川

「クリエイターの自立をサポートする」という部分はこれからも変わらないのですが、GENSEKIを利用することでユーザーさんがいろんな選択をできるようになるといいなと思っています。選択というのは、いろんなことを知っているからこそできるようになります。そのための機能として、いろんな人の知見をシェアできるような開発も進めているところです。

GENSEKIはクリエイターさんへ価値をどんどん提供していきたいと思っているので、ユーザーの皆さま、これからもよろしくお願いいたします。

 

☆石川さんによる解説記事もviviON公式noteで公開中です。ぜひご覧ください!

GENSEKIロゴ・カラーリニューアルのお知らせ - GENSEKI

 

 

GENSEKIマガジン編集部