縛りイラコン史上最大数590点の作品が集まった「ちびキャラ縛り」イラコン!
可愛らしい世界観、キャラの個性が際立つビネットイラストなど多数の作品を応募頂き、ありがとうございました。
今回もさいとう先生にイラストディレクター中村がインタビューしました。
大賞は…果たして…!?
審査員
さいとうなおき(Twitter・YouTube)
イラストレーター・ユーチューバー。
1982年生まれ。山形県出身。多摩美術大学卒業後、ゲーム会社を経て現在フリーランス。『ポケモンカードイラストレーター』。
YouTubeチャンネル登録者100万人以上を記録。『お絵描き上達テクニック』などの情報も発信中。
インタビューした人
中村紘子
GENSEKIのイラスト案件の進行管理・品質管理を行うイラストディレクター。
「かわいい」が定石のちびキャラを使って楽しみながら重厚なホラーに挑戦している印象的な作品
中村
今回の大賞はどの作品でしょうか?
さいとうなおき先生
大賞は、ねこいたさんの「ねないこ」です!
中村
ねこいたさん!おめでとうございます!!
大賞に選ばれたポイントはどこでしょうか?
さいとうなおき先生
今回、投稿作品数が多かった点を見てもわかるように、ちびキャラは軽めに作品やテーマを付き詰めずに作ることができるので、言ってしまうとお手軽に描けるジャンルだと思います。
中村
確かに、ちびキャラというと、グッズなどによく利用されるので立ち絵・ビネット絵が多い印象ですね。
さいとうなおき先生
そうなんです!そのお手軽なちびキャラというジャンルであるにも関わらず、ねこいたさんは、定番の「かわいい」からは遠い「ホラー」という世界観でかつ、重厚な画面づくりをするという挑戦力が印象に残りました。一言で表すと「見ていて楽しい絵」だと思います!
中村
「リトルナイトメア」シリーズの雰囲気を感じます!
さいとうなおき先生
そうなんですよ!
デフォルメされているにもかかわらずリアリティある目や髪は、3D・クレイアニメのような質感で面白いです!また、世界観の作り込みがしっかりできているので、「このゲームがあったらやりたい!」「アニメがあるならみたい!」と思ってしまいます。
中村
このイラストを見ていると色々な物語が生まれてきそうですよね。
実は、ねこいたさんは昨年GENSEKIイラコンで最も賞をとっていた方でもあるんです。
さいとうなおき先生
え!そうなんですか!?
中村
そうなんです。なのでGENSEKI展覧会の推薦枠にも入って頂き、イラストを展示いただく予定です!
さいとうなおき先生
展覧会が楽しみですね!
中村
良い展覧会になるよう、運営も頑張ります!
\受賞したねこいたさんとさいとうなおき先生も出展/
この度は大賞にご選出頂き、大変光栄です。
ちびキャラ縛りという今回のコンテストのテーマを目にしまして、普段からちびキャラを描いている身としてこれは参加せねばと思い、この度応募させて頂きました。
私のこだわった部分をしっかり見て頂き評価して頂けたこと大変嬉しく思います。
また、ホラーの要素を評価頂けたことは私にとって大きな発見でした。
今回の評価をもとに、ホラーのジャンルにも積極的にチャレンジしていこうと思います。
いつも素晴らしい機会を与えてくださるGENSEKI運営の皆様、さいとうなおき先生ありがとうございました。
これからもより一層、自分の可能性を探して精進して行きたく思います。
かわいいと意外性がたくさん詰まったちびキャライラコン佳作の発表!
過去最多の作品が集まった激戦のちびキャラにイラコン!佳作に選ばれたのはこの作品だ!
ちびキャラを用いた画作り・世界観すべてを通して仕事を依頼するならこの人!というほどのクオリティ
さいとうなおき先生
非常に可愛いし、画作りが上手いなと思った作品です。足でトレイをおさえているところもでタイトル通り「忙しすぎる!」をうまく表現できていると思います。
この方は、ちびキャラを用いた画作り・世界観すべてを通して仕事を依頼するならこの人!というほどのクオリティに達していると思います!
中村
私もこちらの作品を見たときから、すごく可愛いなぁと思っていました。
さいとうなおき先生
実は尾中すくよさんの作品は大賞候補でした。
中村
そうだったんですね。どこで差がついたのでしょうか?
さいとうなおき先生
「熱量」ですね。一般的にお仕事として依頼されるちびキャラとしては尾中すくよさんのようなテイストのイラストになると思います。そういう意味では、定番のちびキャラ制作依頼をするなら尾中すくよさんのほうが依頼しやすいと思います!
ただ、ねこいたさんは見る側に世界観・ストーリーを感じさせ、思わず絵を見てしまうほどの「熱量」を感じました。なので、本当に僅差なのですが、今回はねこいたさんを大賞に選ばせてもらいました。
中村
なるほど…!
個人的には女の子の口に、尾中すくよさんのこだわりが感じられて好きです。
さいとうなおき先生
舌の質感までこだわっていますよね!
中村
そうなんです…!後ろのパンダちゃんも可愛いです!
独特なデフォルメ感が素敵、色をまとめる工夫もしていて非常に見やすい。
さいとうなおき先生
独特なデフォルメ感がすごくいいです!
中村
ジャンルとしては以前からあるアメリカンというか、カートゥーンというか…そういう絵柄ですよね。
さいとうなおき先生
そうなんですよね。このジャンルについて言語化できないのですが、どの時代にも普遍的にあるジャンルだと思っています。今回ちびキャラ縛りのサムネイルとして並んだときに一際目立って気になってしまいました。
中村
原色なのにすごく見やすいですよね。
さいとうなおき先生
そうなんです!色をまとめる工夫もしていて非常に見やすいんです。
昔からあるジャンルですが、このジャンルの人達を探したときにはなかなか出会えないんですよね。どこで作品を発表しているんでしょう?
中村
うーん…たしかにそう言われると、わからないですねぇ…。
さいとうなおき先生
そうなんですよ。だからこそ、今後も流行りを追わずに逆にどんどん時代を逆行して突き進んでほしいなと思いますね。きっと和姫さんはそんなことを言わずとも自分の世界観を貫くと思うんですが。
中村
己の道を信じて突き進む…!大事ですね!
非常に攻めた色使いの作品
さいとう先生
AMANUさんは、毒々しい色使いをしているのですが、その色をしっかりまとめているところが素敵だと思いました!
中村
主線の色を変えることで、もったり感がなくなっていますね!
さいとう先生
色使いが非常に攻めている作品ですよね!
バランスとセンスが良くて可愛い!色トレスも思い切っているが…背景に課題あり
さいとうなおき先生
バランスとセンスが良くて可愛いです。線の色トレスも思い切っていますね。
中村
実は女の子の口が緑になっていたりしますよね。こういう表現もちびキャラならではですね。
さいとうなおき先生
そうなんです。キャラの完成度が高いからこそ残念ポイントもあって、それが「どっちつかずになっている背景」なんです。モチーフの配置・色・もやのエフェクトがアイディアとしてはどれもすごく良いんですけど、最終的な着地に納得感がないんですよね。ぬぬぬさんもすごく迷われたのではないでしょうか?
中村
例えばどのあたりでしょう?
さいとうなおき先生
例えば右上の緑と白のカプセル薬も、じっくりみて初めて理解できました。
こういうところですね。
中村
なるほど…!
キャラクターの完成度は高いので、次の作品も期待しています!
コンセプトが面白く、ちびキャラなのに、気持ち悪いところまでいく!
中村
これは…新しい…!
さいとうなおき先生
ちびキャラなのに、気持ち悪いところまでいく!というはっきりとしたコンセプトが面白い! 今回、ここまで振り切っているのはこの人だけだと思います。
中村
本当に、いい意味で目立っていると思いました。
さいとうなおき先生
完全に作戦勝ちです!
普通に売っていそうなクオリティがある!
さいとうなおき先生
この作品は普通に売っていそうですよね。自分の個性を打ち出すというよりは、商品としてのクオリティを追求できそうな人だと思いました。
中村
パッケージやステーショナリーにしたら絶対可愛いですよね!
さいとうなおき先生
絵に安心感もあるので、お仕事の依頼がしやすそうです!
少ない手数でエモさと独特な雰囲気を出せている
さいとうなおき先生
この方は複数点、応募してくれていましたよね。どれも全部かわいくて迷ったのですが、佳作には「犬の居ぬ間に」を選ばせていただきました。
一見、シンプルに見えますが少ない手数でエモさと独特な雰囲気を出せていますよね。
中村
MVとかにも向いてそうだと思いました!とっても可愛いです!
ケモノ愛を感じる
さいとうなおき先生
今回、意外にもケモノが少ない印象だったのですが、この方は忠実に自分の好きをぶつけてきてくれて思わず佳作に選んでしまいました。
ケモナー(※ケモノを愛好する人)の人たちは意外とその嗜好をあまり出さないところがある気がします。
中村
そうなんですか!? 私はケモノ大好きです!
さいとうなおき先生
そうなんですよ。そして、ケモナーの人たちは絵を描くことが人一倍好きだったりするんですよね。
中村
なるほど…!だからこそ好きを前面に出したはるかさんを選ばれたんですね。
ちなみにはるかさんも複数点応募してくれていましたが、こちらの作品にした理由はありますか?
さいとうなおき先生
一言でいうと「この子が一番本命」に見えたんですよね。
はるかさんには、これからもケモナーを極めてほしいです!
ただの好きから義務感に変わる「絵を描く」という行為のハードルを下げられるのがちびキャラの魅力
中村
今回、過去最多の作品が集まりましたが、いかがでしたか?
さいとうなおき先生
まず、こんなにたくさん投稿してくれたことが嬉しかったです。
絵って描いているうちに義務感になってしまうところありませんか?
中村
わかります…。描き続けていると、「描きたい」から「描かなきゃ」になる瞬間があるんですよね。
さいとうなおき先生
その点、ちびキャラってハードルが低いんです。「ちょっと描いてみるか」から始められるんですよね。そうして気軽な気持ちで始めたのに、気づくと結構頑張って描いてしまうという。
今回賞に選んだ作品がそうだったのかはもちろん分からないのですが、ハードルの低さで描く!という気持ちのきっかけになれたなら嬉しいです!
中村
なるほど…!さいとう先生、ありがとうございました!
さいとうなおき先生の「縛りイラコン」開催中!
編集・執筆
坂本彬
GENSEKIマガジンの編集 / ライティング・マーケティングを担当。