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自分の作品をアップロードしよう【藤原麻里菜のホントにゼロから始める動画制作】#5

 

YouTubeチャンネル「無駄づくり」の藤原麻里菜さんが、まったくの初心者に向けて動画作成のやり方を教えてくれる連載です。今回のテーマは「アップロード」。アップロードなんて簡単だと思っていませんか? 実はコツがあるそうです。

執筆・イラスト藤原麻里菜
(X:@muda_zukuri/YouTube:無駄づくり
無駄な工作を作るYouTubeチャンネル「無駄づくり」を運営。Forbesの「世界を変える30歳未満の30歳」にも選出される。著書に『考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71』(ダイヤモンド社)『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(オライリー・ジャパン)など。

アップロードも肝心

今回は、動画をアップロードするときの注意点やもっと多くの人にみられる方法などを講義していきたいと思います。

「ただ動画をアップロードするだけでしょ? そんな方法わかってるわ! あんまり俺を舐めるなよ」と思われる方もいらっしゃると思いますが、アップロードもとても大切な作業です。

私はもう10年近く動画を作ってはアップロードして……を繰り返してきました。これからも続けるつもりです。この10年、私はこの「動画を作ってアップロードをする」ことだけで、「無駄づくり」というコンテンツでお金を得るようになり、それが仕事になりました。たくさんの賞をいただいてきました。無駄なものを作ることが仕事。資本主義のバグのような存在です。とにかく、作ったものを誰かに届けることで、人生が変わることもあるのです。

 

アップロードをしていこう

動画をSNSにアップロードするときに注意したいことがあります。以前もお話しましたが、それは人を傷つけるものではないか? ということをまず、念頭に置きましょう。

法律を遵守することも重要です。例えば、著作権違反になっていないか。パロディだと思っていても、見る人にはマネやパクリだと思われる可能性もあります。そういった微妙なラインをクリアにするべく、最初のうちはアップロードする前に誰かに見てもらうことをお勧めします。

また、投稿時間も大切です。人がSNSを見ていない時間、例えば深夜や働いている時間などに投稿すると、おもしろいくらい反応がありません。

私は作ったらすぐにアップロードしてしまうタイプなので、よく平日お昼の3時とかにアップします。でも、だいたいの人ってその時間忙しく働いているんだよね。予約投稿機能などを使って、退勤して電車に乗っているであろう時間とか、みんながSNSを使っていそうな時間を予想して、アップロードしましょう。

最初のうちは、ハッシュタグの活用も大切です。見つけてもらうためには、検索して見つけてもらうことが一番てっとりばやいです。なので、盛り上がっているハッシュタグなどに便乗するといいでしょう(もちろん、文脈は汲み取りながら)。

投稿するときに添えるテキストもよく考えましょう。Instagramの場合は、タイムラインに表示されるテキスト制限があるので、そこで簡潔に伝えたいところです。Twitterの場合も、なるべく簡潔に伝えることをおすすめします。文字をたくさん読んで、動画を見て、というのはかなり時間を割く動作なので、文字は簡潔にし、動画で伝えられるようにしましょう。

 

自分の中に貯まった気持ちを固めて、人に届ける

ここまで動画アップロードの細かいコツをいろいろと話してきましたが、重要なのは「自分の作品をきちんと見る人に届ける」という意識だと思います。

ちょっと変な話に聞こえるかもしれませんが、自分で作った作品を、自分のうんこだと思ってみてください。自分の中にあるいろいろな気持ちを固めたものは、うんこです。で、それをセンスや技術できれいに磨いて、人様に見せられるきれいなうんこにすることが大切です。

動画のアップロードを始めた当初、「もっといい作品が作れたらなあ」と思っていたのですが、それでも諦めずにコツコツと作り続けることで、技術力があがって、人様に見せられるきれいなうんこを作れるようになったと思います。

自分の作品を「大切な赤ちゃん」だと思うアーティストも多いですが、私は「作品はきれいなうんこである」という気持ちを持って、制作に挑んでいます。

また、作品は副産物にすぎません。うんこの話をしまくって申し訳ないのですが、やっぱり腸の中にあったものをきれいさっぱり出すと気持ちがいいですよね。どんどん自分の中に溜めていくのは体にも悪い。

だから、作品づくりをする上で、作品を全ての結果だと思わず、副産物だと思いましょう。創作のおもしろさはその過程にあります。「これがいいとおもう」「ここをもうちょっと直したい」その言葉にならないような微妙な感覚と向き合って、創作をすることが、楽しい部分です。それに、その微妙な感覚を研ぎ澄ましていくと、自身のセンスにも繋がってくると思います。

 

楽しいという気持ちを大切に

最後になりましたが、私が最初に作った動画を見てください。

www.youtube.com

画質はガビガビだし、何がしたいのかよくわからないです。でも、動画を作ることがすごく楽しかったということだけは覚えています。この楽しさが原動力になって、今も動画を作ることができています。技術はそんなに進歩していないですが、日々、こういう機能があるんだ! カメラワークをこうしたらおもしろく撮れそう! と、成長しています。

みなさんも、たくさん作品を作ってください。ハードルをそんなにあげなくて大丈夫です。プロなみの動画を最初から作ろうとせず、自分のペースで、作品を作ってください。

そして、繰り返しになりますが、作品は副産物です。楽しいとか気持ちがいいみたいなプリミティブな感情を大切にしてください。その感情があれば、動画制作を続けることができ、それが技術を得ることにも繋がってきます。

みなさんの作品を楽しみにしています。


 

執筆・イラスト藤原麻里菜(X:@muda_zukuri/YouTube:無駄づくり

編集斎藤充博(X:@3216WebGENSEKI