GENSEKIマガジン

モノづくりを広げる・支えるメディア

憧れのチャラン・ポ・ランタンとコラボ!次々と作品を生み出す創作力の根源とは ―イラストレーター/漫画家・付子子

現在デザイン系の学校に通う学生でありながら、イラストはもちろん、キャラクターデザインや漫画、YouTubeまで幅広く活動している付子子(つきねこ)氏。

新しい絵柄とどこか懐かしい色彩やモチーフが合わさった、絶妙にレトロなイラストが魅力的だ。

今回、音楽ユニット「チャラン・ポ・ランタン」×酒蔵「明利酒類」×GENSEKIコラボ企画「夏酒ラベルイラストコンテスト」の受賞作品への思いを中心に、イラストや漫画制作における精力的な活動の背景を伺った。

ファンならではのアイデアと思い出を詰め込んで

夏酒ラベルイラストコンテスト特賞『Fresh Summer!』

 

ーー早速ですが、夏酒ラベルイラストコンテスト特賞を受賞した感想をお伺いできますか。

付子子:はい、受賞した時は本当に信じられないと思って、いただいたお知らせのメールを何回も読み直しました。うれしくて、友達や先生に受賞のことを報告して回りました(笑)

 

ーーチャラン・ポ・ランタンさんも結果発表の動画でイラストの解説をされていましたが、ご覧になりましたか?

付子子:はい。見ていただけただけでも嬉しいのに、細かいところまでよく見て下さってて、本当に嬉しいなと思いました。

 

ーー今回の作品への思いやこだわりをお聞かせください。

付子子元々チャラン・ポ・ランタンさんが好きだったので、「これは参加しなきゃ!」と思いました。「夏酒」や「夏」というテーマを見た時に、チャラン・ポ・ランタンさんと関係なく夏っぽい絵を描くのか、それともせっかくのコラボだからチャラン・ポ・ランタンさんを描いていいのかと、すごく悩みました。

結果、テーマの要素を取り入れつつも、ファンアートでもある感じに描きたいなと思って、今回の作品のような仕上がりになりました。

小春さんが以前、公式YouTubeで鬼の恰好をされていたのを夏っぽさに変換して、鬼のお面をかぶせたのですが、チャラン・ポ・ランタンさんが結果発表動画でそれに気づいてくださっていて嬉しかったです。

 

ーーチャラン・ポ・ランタンさんの他の動画やコンサートを見て、その要素を盛り込んだということですね。

付子子:はい。ももさんの方は、普段タッセルが付いてるアクセサリーをされてるのを見て取り入れたり、以前アクセサリーのコラボをされた際の商品イメージも参考にしました。

 

ーーお二人の特徴や過去の作品から要素をピックアップされたりと、ファンならではの目線が素晴らしいですね。

付子子:元々知っていることが多かったので、ファンだったことは少し強みだったかなと思います。

 

明利酒類株式会社 夏の日本酒「原石」

ーー結果発表動画の中で、イラストの衣装について片方が浴衣で片方が水着ですが、「一度両方とも水着で描いて、後から片方を浴衣に変えたのかな?」という話がありました。実際はどうだったんでしょうか?

付子子:夏っぽい服装と言ったら、水着と浴衣だなというのが最初にあって、折角なら二つとも入れたいと思っていたので、はじめからこの形でした。小春さんがアーティスト写真で着物を着ていることもあったので、それなら浴衣を着せようかなと思い、ももさんは水着に、という感じで決まりました。

 

ーーやはり元々お好きだからこそイメージがスムーズに決まったんですね。チャラン・ポ・ランタンさんのファンの方も見て嬉しいイラストだと思います。

付子子:ありがとうございます。今回のコンテストは、今後も絶対忘れないと思います。お酒のラベルという実際のものになったので、形ある思い出としてもずっと残せるかなと思っています。

 

人に見られる意識が、魅力的な絵に成長させる

『Gardener of Life -いのちのはな-』

ーー絵を本格的に描き始めたきっかけから、現在に至るまでをお伺いできますでしょうか。

付子子:自分で意識してたくさん描くようになったのは中学校1年生~2年生あたりぐらいですね。好きなゲームのキャラクターを描き始めるようになりました。ニンテンドー3DSの中に、『Miiverse(ミーバース)』というSNSのような機能があり、そこでちょっとした簡単なお絵かきを投稿できたので、よくそれを利用していました。Twitterみたいな感じでしたね。

 

ーー絵もニンテンドー3DS上で描かれていたんですか?

付子子:はい、白黒ではあるんですけども、それでずっとお絵描きしていました。

 

ーーその時からネット上に投稿されてきたということなんですね。Miiverseはずっと続けてらっしゃったんですか?

付子子: 高校生になってからスマホを買ってもらい、Twitterで絵の投稿を始めるようになってからは使わなくなりました。(現在、Miiverseはサービス終了)Twitterを始めてからは、お絵かきソフトを使って、カラーの絵を描くようになりました。そこから高校3年生で画塾に通って、デッサンなどを勉強し、現在のデザインの大学に進学しました。

 

ーーそのまま現在まで絵を描いていらっしゃるんですね。画材や機器はどういったものを使用されていますか?

付子子:今はiPad Airで、ソフトはCLIP STUDIO PAINT EXです。イラストも漫画もこちらを使っています。 

 

ーーパソコンは使われていないんですね。

付子子:そうですね。漫画を作画する時はちょっと画面が小さいなと思いますが、やっぱり持ち運びができるのが大きいと思います。

 

ーー絵が上達したタイミングや転機はありますか?

付子子:一番大きな転機は、大学に入ってiPadを手に入れてからですね。それまではスマートフォンの無料アプリを使って指で描いていました。

 

ーー環境が整ったというのが大きな要因なんですね。

付子子:あとは、Twitterを始めたのがお絵描きソフトを使ってカラーで描き始めた時期でもあるので、そこでもかなり変わったかなと思います。投稿すると人から色々反応をもらうので、「人に見られる」という意識がつき始めてから、絵をより考えるようになりました。どの様に描いたら人からより反応をもらえるのかということを強く意識することで、いろんなことに挑戦するようにもなりました

 

ーー作風ではどういったことを意識されていますか?

付子子魅力的な絵やキャラクターを描くときに、若干の色っぽさは大事なのかなと思っています。色っぽい感じだけど、いやらしくは見えないように、センシティブに感じさせないよう心がけています。

 

ーー性的な魅力を保ちつつ、不快感を与えないように意識されているということですね。

付子子:はい、例えば今回のコンテストの絵は、描いているモチーフが実在する人物というのもあって、水着ではありますが夏らしさや爽やかさ全開のイメージが伝わるよう意識しました。

 

作品作りには、あやふやな情報もあえて選択する

『Ma Seule Amie』

ーーコンテスト作品の他に、思い入れの深い作品はあるでしょうか?

付子子:初めて漫画のコンテストで受賞した作品があって、その作品のおかげで人生が変わったと感じました。漫画を読むのはずっと好きだったのですが、話を作るのが苦手だったので、描いたことはほとんどなくて。でも、授業の課題で漫画描いてみようというのがあり、丁度デザインの勉強をしている時だったので、そういう視点で漫画を見たら漫画ってすごく「デザイン」されてるんだなと気づきました。ストーリーも全部デザインされたものであるし、漫画の構図や話の構成も全部デザインされているからこそ成り立つものなんだ、という意識持ってみたら、描くのが楽しくなりました。

 

ーー素晴らしい気づきですね。漫画を読むのはずっと好きだったとのことですが、尊敬する作家さんや作品はありますか?

付子子:一番絵柄や作風で影響されているのは、『宝石の国』の市川春子先生です。『ぬらりひょんの孫』(椎橋寛先生)は初めて読んだ漫画なので印象的です。

先程「センシティブな部分を意識している」とお話ししましたが、それは伊藤潤二先生の漫画を参考にしています。母が読んでいた影響で私も小さい時から好きだったのですが、基本ホラーなので結構グロテスクな表現が多いんです。でも、グロテスクではあるけれど、不快感はあまりないと言うか、綺麗さも感じる表現だなと思っていて、私もそういった感覚で作品が描けたらいいな、というのがあります。

母が漫画好きな影響で、小さい頃から他にもたくさん読んでいたのですが、その時にいろんな情報をインプットできたのが、かなり力になっているのではないかと思います。

 

ーーインプットされたものがきちんと作品としてアウトプットされているのが素晴らしいですね。それ以外にも、作品を作る上でのインプットや情報収集されていることはありますか?

付子子:基本はインターネットで情報を集めています。漫画やゲーム、音楽で興味のある事柄から芋づる方式で次々に調べて、新しいものを見つけたらまたそこから調べて…と広げていますね。

インターネットなので誤った情報もあるのですが、そういったインターネット上で広まったあやふやな情報も含めて作品に取り込むのも面白いかなと思います。間違って広がった事柄が逆に一般的になっているものも、それはそれで面白くて。その時に作る作品に合わせて、あえて間違ってる方を採用するのもいいなとか。逆にこっちはちゃんとしたほうを採用しようなど考えています。

 

ーー両方知って、あえてどっちを取るか選択するんですね。 

付子子:あとは、高校の時は国語辞典を見るのも好きでした。ある事柄を調べようとして、同じ名前の別なものが出てきて、それで初めて知ったものをさらに深掘りしていく、ということもあり、楽しいなと思います。

 

『雪女』

 

ーー面白いネタ探しの引き出しを沢山お持ちなので、アイデアに詰まることはないかもしれませんが、そんな時のリフレッシュ方法や解決策はあるでしょうか?

付子子:しょっちゅう詰まってます(笑)そういう時は考えるのをやめて、最近だとYouTubeを見たり、漫画や小説を読んだりゲームをしたり、音楽を聞きます。アイデアが出ないときは、インプットが足りないとよく聞くので、意識しています。

 

ーー悩んでいる要素のものを探すのではなく、その時の気分で見たいものを見て遊び、リフレッシュとインプットを兼ねるという感じなのですね。

付子子:はい。YouTubeは主にゲーム実況やお絵かき系、心理学の先生の動画も見ます。音楽はやっぱりチャラン・ポ・ランタンさんの曲を聞きますね。ああいった雰囲気の曲が本当に好きなので、ちょっと懐かしい感じのサウンドや昭和歌謡もよく聞きます。あとは海外のスイング系の音楽を聞いてますね。

 

ーーなるほど。 絵の雰囲気とお好きな曲の雰囲気がマッチしている感じがしますね。

付子子:イラストを描くときに好きな音楽をイメージすることもよくあるので、絵の作風は音楽からの影響を受けていることも多いかなと思います。

 

様々な分野の可能性から、更なる飛躍へ

『Vtuber明智』キャラクターデザイン

ーーイラストレーターとして、いちばん幸せを感じる瞬間と、逆につらかった経験についてお伺いできますでしょうか。

付子子:幸せを感じる瞬間はやっぱり人からすごいねと言ってもらえた時が嬉しいですね。言ってくれた人が尊敬する人だと、自信にも繋がります。

逆に辛かった時ですが、基本的に制作期間は結構しんどいことが多いです。最初にネタを出すときに躓いたり、作画する時も上手くいかないときは辛かったり…だから作ってる時が辛い時ですね。(笑)

 

ーー作品が出来上がり、発表して反応を貰ったら、辛いところから一気に幸せな瞬間になりますね。SNSも反応の一つだと思いますが、SNSはどういうことを意識して使われていますか?

付子子:SNSに作品を載せていて、将来やりたい仕事に繋がるといいなという所や、単純にいろんな人に見てほしいなという気持ちも大きくなり、始めた感じです。

 

ーーTwitterとInstagram、YouTubeもやってらっしゃるんですね。

付子子:YouTubeは本当に最近です。これは友達と合同でやっていて、基本的に編集は友達で、私はキャラクターのデザインをして、世界観も考えたり、ビジュアルを描いています。YouTubeから見てくれる人も増えたらいいなと思っています。

 

ーー今後やりたいと考えているお仕事をお聞かせください。

付子子キャラクターデザインの仕事をしたいという目標があって、特にゲーム関係のキャラクターデザインができたらいいなと思ってます。企業に所属するデザイナーも目指しているところです。あとは漫画も楽しいので、続けて描いていけたらと思います。

 

ーー漫画も、『第24回コミックゼノン漫画大賞』に応募された作品が選考に残り、ネット投票を経て審査中ですね。(2022/7/27現在 作品公開は終了)

付子子:はい。以前応募したコンテストがきっかけでコミックゼノンの編集の方がついてくださっているので、より頑張ろうと思っています。

 

ーーどこから芽が出てもおかしくない、どんな分野でも活躍できる道がたくさんおありになりますね。

付子子:まだまだこれからだと思いますが、気を抜かず頑張りたいと思います!

 

 

様々な分野で作品を作り続ける、活動量の多さに驚くとともに、インプットや勉強を怠らず、次々と自分の作品へと昇華していくことを繰り返してきた付子子氏の努力が伺えた。

今後の作品展開にも、ぜひ注目していきたい。

インタビューに答えてくれた人

ロゴ制作:Vtuber明智(@AKC_words

付子子(Twitter:@pietra_di_rosa/Instagram:@pietra.di.grigia

新しい絵柄とどこか懐かしい色彩やモチーフが合わさった、絶妙にレトロなイラストが魅力。現在デザイン系の学校に通う学生でありながら、イラストはもちろん、キャラクターデザインや漫画、YouTubeまで、幅広く活動している。

執筆者

アイコン

白いとうふ (twitter:@shiroitooofu

京都在住のイラストレーター。日常の風景+女の子のイラストが得意です。

編集者

アイコン
kao(twitter:@kaosketch

イラストレーター・GENSEKIインタビューライター。空気感や表情が伝わる表現を目指す。ファンタジーとSFが好き。名古屋在住。