お仕事につながるかも? 大規模クリエイター交流会イベント「THE CREATORS」体験レポ

はじめまして。漫画家のきびのあやとらと申します。

約18年グラフィックデザインをやっていた経験を活かしGENSEKIマガジンで「盛れる!グラフィックデザイン部」を連載させてもらっています。

昨年は念願の初書籍『いますぐ痩せ見え!! -5㎏コーデ』を出版し、大手出版社や企業のメディアで連載をさせていただき多忙な日々を過ごしているのですが、できればあと2~3本は自分の連載が欲しい! そしてもっといろんなジャンルの本を出したい! もっともっと稼ぎたい!! というのが正直なところです。

実は私、自分から積極的に営業したことは皆無。
お仕事はほぼすべてがSNSを通じてオファーいただいており、ポートフォリオもコンペ応募のために作っただけで営業には利用していません。

そもそも日々のクライアントワークをこなしながら営業ツールをこさえてメールや電話したりアポ取ったりするのはかなり大変なのでは? noteとか見ると売れっ子ほど営業かけたり交流イベントに積極的に参加しているけど、どうやって時間を捻出しているの? と常々疑問でした。

そんな感じで営業の解像度が低めな私なのですが、このたびGENSEKIマガジンから大規模クリエイター交流会「THE CREATORS」体験レポのお話をいただきまして。

THE CREATORS
「クリエイターと企業が繋がれる場」をコンセプトとしたクリエイターのためのコミュニティイベント。企業出展ブースや出張編集部などの様々な催しと、昼の部と夜の部(懇親会)があるのが特徴。※参加条件あり
https://creators.twxd.jp/

GENSEKIマガジン編集部から「取材だけど基本的に自由にやっていいから、うまいこといけば依頼をゲットできるかも」と言われてやらないはずはなく、喜んでお引き受けすることに。

仕事が欲しいクリエイターとして参加して
「そもそも交流会ってなんなのか?」
「どんな準備をすればいいのか?」
「 本当に仕事が来るのか?」

などの疑問を検証していきます!

主催者に「どんなイベントなのか」を事前に聞いてみた

こういった交流イベントはまったくの初めてです。誰ともお話できずポツンとしちゃったらどうしよう……と不安は募るばかり。主催者の方に事前にお話を伺い「コウリュウカイ、コワクナイ」状態にしてから参加させていただくことに。

お話を伺ったのは、THE CREATORSを運営している株式会社トライデントワークスの代表である土橋知仁さんです。

きびの
そもそも、THE CREATORSってなんなのでしょうか?

土橋
10年ほど前に、私の知りあいのクリエイターやクライアントになりそうな人を集めて30人くらいのホームパーティーをしていたのが始まりです。

それが口コミなどで回を追うごとに参加者が増えていき、前回(2024年11月)はのべ2,400人もの方にご参加いただきました。いまでは業界最大級のクリエイター交流会として知られています。

きびの
2,400人……! すごいですね! 当日、これだけは持って行った方がいいものってありますか?

土橋
ポートフォリオ(作品集)は最低でも2冊あると良いですね。名刺は100枚では足りないかもしれないので、200枚くらいあると安心です。2日間参加するなら300枚くらい必要かもしれません。

きびの
300枚……??? やっぱり名刺は配れるだけ配った方が良いものなんですか?

土橋
はい! 名刺は多く配るほど良いです! 交換した数だけ、仕事につながるチャンスがあるってことなので。
ただ一点気をつけたいのが、名刺のデザイン。名前やアドレスだけですと印象に残りづらいので、イラストを入れたり実績を入れたりする方が覚えてもらいやすいと思います。

きびの
た、確かに……。初対面の方にグイグイ行けるか不安ですが……がんばってみます!

土橋
大丈夫です! きびのさん以外にも、初参加の方はたくさんいますので。これは THE CREATORSが初心者におすすめな理由のひとつでもあります。

会場の真ん中にある交流ラウンジに入ると、不思議と知らない人同士で交流できて、
勝手に周りの人が話しかけてくれるので、このイベントにおいてぼっちになることはないでしょう!

きびの
自分だけじゃないと思うと安心できますね!まだ時間あるので、しっかり準備して挑みます!
ちなみに、ひと目で漫画家とわかるようにイラストや書影をプリントしたTシャツを着ていこうと思っているんですがどうでしょう?

土橋
Tシャツはすごく良いアイデアですね(笑)! ただ、クリエイターとクライアントがスムーズに交流できる工夫の一つとして「業種と目的(お仕事をしたい人なのか/発注したいのか)」を記載したカードを用意しています。そちらを名刺と一緒に首から下げてもらうので、誰に声をかければいいのか迷うことはないと思います。

きびの
おお! それならTシャツはなくてもよさそうですね!よかった〜。

「スポーツ新聞の号外風ポートフォリオ」を用意してアピール

そして迎えた当日。今年の参加者はのべ2,442人という事前情報にドキドキしながら、会場の秋葉原に向かいました。10時の開始直後に着いたにもかかわらず入り口には数十人の行列ができており、イベントの人気を物語っていました。

会場に入ってまず思ったのが「広!!!!!」というのと、交流ラウンジに開放感があって居心地良い! ということ。窮屈な場所が苦手なため、出入り自由とはいえ何時間もいられるのか不安だったので、ひと安心です。

入り口でもらったホルダーに名刺と業種カードをセットして、今日のために仕込んできた「スポーツ新聞の号外風ポートフォリオ」をいそいそと準備。

「名刺だけではなく、何か印象に残るものを一緒に渡せないものか」と考え、閃いたのがこれ。私の代表作をスポーツ新聞っぽく紹介して、ご興味あればその場で読み込んでいただけるよう各リンクも添えて。さらにインパクトをプラスできるよう、四つ折りにして駅弁販売スタイルで手配りすると決めていました。

早速(ナニアレ……)という周囲の視線を集め、なんかイケるかも!という気持ちに。
その勢いのままブース名刺ボックス(出展企業に名刺やメッセージを直接送れるボックス)の週刊少年サンデー編集部にガチなレターを送り、上の階のポートフォリオコーナー(参加者のポートフォリオが一覧で見られる場所)に号外と名刺を設置完了。

ゲームメーカーに出版社。普段は話をできない人と交流できた

さあいよいよ本番。
ここまで準備したのに誰ともお話できないのは残念すぎる! 勇気を出して声をかけるぞ! と、めちゃくちゃ意気込んでいたのですが、全然普通にできました。

最初に話しかけた方は、お渡しした号外にしっかり目を通してくださり、私のまとまりない話をすごく真剣に聞いてくださり感激。しかもお名刺いただいてびっくり! 誰もが知ってる超大手ゲームメーカーの広報の方でした。

「こんな方と普通に出会えてしまうんだ……これは、とにかくいろんな方に話しかけなきゃもったいないわ!」 と、そこから一気に攻めの姿勢に。

実用書や技術書を数多く出している出版社の書籍担当の方ともお話しすることができました。なんでも「書籍の内容をやわらかいイラストで図解できるような方を探している」とのこと。こんなところでイラストレーターを探しているものなんですね。

その後も、ちらりとでも「号外」に視線を感じたら、すかさず声をかけ自己紹介。本来私のトークスキルは雑魚なのですが、名刺以外の配布物があることで話がしやすく、相手の反応を見ながら臨機応変に対応することができたので助かりました。

あちらから「気になるんで一枚ください!」とお声がけいただけることもけっこうあり、仕込んでおいて良かった〜!と心から思いました。

次から次へとお声かけたりかけられたりで喋り続け、あっという間に2時間が経過。
誰にも話しかけられずぼっちになったらどうしよう……という心配はなんだったのか。

クリエイター同士で仲良くなれる

クリエイターの方からもたくさんお声がけいただいたのですが、その中の仲良し女子グループが今日出会った同士だと聞いてびっくり!

「仲間募集中!」「お気軽に話しかけてください!」というシールでアピールすることで、自然と会話が生まれて親しくなれたのだとか。特別な空間だからこそ成立する、特別なコミュニケーションだなーと思いました。

リピーターに学ぶ成功例

THE CREATORSには2度目の参加という方のお話を聞くことができました。イラストレーターの「やかん」さんです。

WEB:@YAKAN8のホームページ
X:@_YAKAN8

やかんさんのポートフォリオより「メタフェス2025」のキーキャラクターデザインおよびメインビジュアル。

ポートフォリオを見せていただくと、タッチや世界観がストレートに伝わってきて、クライアントも依頼しやすいだろうなーと、とても納得。

やかんさんは、2024年11月に行われたTHE CREATORSに初参加。会場で名刺交換した方で、メールアドレスが記載されていた方にはオリジナルキャラクターのイラストを添付したお礼のメールを送ったそうです。名刺交換したあとはお声がかかるのを待つのみ、と思っていたので、そういう対応は見習いたいと思いました。

そして、THE CREATORSに参加した3か月後の2025年1月に企業からお仕事の依頼があったそうです。企業側で選定をしていたのであれば妥当な期間と思うので、交流会後すぐにリアクションがなくても焦ったり落ち込んだりはしなくてよさそうです。

今回はまた新たな縁を求めての参加、とのことでした。

それにしても、やかんさんにはスキルも独自の世界観もあって、コミュ力もある。実際に依頼がもらえるかどうかの差はこういうところなのかも……! と思いました。

変化する状況に合わせて臨機応変に!

イベントはどんどん人が増えて、盛り上がってきたのですが、一時的にクライアントが見つけられない状況もありました。

あちらもこちらもイラストレーター、Vtuber、シナリオライターといったクリエイターばかり。 どこだっ……! メーカーと出版関係……どこにいるんだ? 探せっ……!

こちらもだんだん遠慮がなくなって人様のカードをジロジロ見るようになり、さながら某ギャンブル漫画の船上バトルのような空気に。

しばらく経って、この状況でひたすら「待ち」に徹するのは時間がもったいない! と気付き、作戦変更することに。その名も「連載の読者増やしちゃおう作戦」! 同業者や出展ブースの方々にも号外を配って回ることにしてみました。

皆、快く受け取ってくださり「この絵見たことある〜!」「毎回読むたび元気をもらってます!」といううれしいお声もたくさんいただきました。圧倒的感謝……!
依頼には繋がらなくても間違いなく仕事のモチベには繋がるので、作戦変更して良かった! と思いました。

それからお昼ご飯のために中抜けして、また会場に戻ると上の階に置いておいたポートフォリオを見たクライアントが私を探しているところに遭遇し、大変興味深いお話を伺うことができました! ラッキー!

こんな風に時間によって状況が変わるので、クライアントが見つからないからと早々と切り上げず、別のことをしてみるのもアリだと思います。

私は営業から宣伝に切り替えましたが、企業ブースに行ったり、名刺ボックスに熱い思いを投函したり、アキバの街へ出て気分転換するのも良いですし、できることはたくさん。

話す人みんな優しいし、反応も良いし、このままラストまでいようかな?とも思ったのですが、体力はもう限界……。
「もしかしたらこの後運命的な出会いがあるかも……! 今帰って良いのだろうか?」というジレンマとともに会場を後にしました。

同じように帰るタイミングに悩む方も多いと思うので「⚪︎時には撤収」「名刺100枚交換したら帰る」と予め決めておくと良さそうです。

まとめ「コスパ最強。とにかく参加して損はなし!」

  • 滞在時間:午前10時〜午後3時(途中昼ご飯で1時間抜け)
  • 交換した名刺:30枚
  • 発注・相談:0件(いまのところは)

体感としては100人くらいの方と名刺交換したつもりでしたが、実際は30人。配った分だけチャンスが増えるという土橋さんの言葉を思い出し「ひとりひとりに時間をかけすぎたかもしれない……」「号外だけ配って名刺渡さなかった人もいたなあ……」など後悔がよぎりました。

でも普通にしてたら接点がなさそうな方々と多く交流できたので、今回は量より質! ということで納得することにします。次こそは、100枚以上目指します!!!

以下、参加前のイメージと参加後の変化です。

誰とも会話せず、ぼっちにならないか心配

→全く心配無用。むしろここ数年で一番会話した一日だった。みんな優しい。

しっかり戦略を練り、効果的な営業ツールを用意したほうがいい?

→本当はもっとちゃんとしたポートフォリオを用意したかったけど、時間がなく最低限の情報を「号外」としてまとめるだけで精一杯だった。でもそれが逆にインパクトがあったようでたくさんの方に興味を持ってもらえてラッキーだった。

作風やタッチによって有利・不利があったりする?

→私のような作風でも特に肩身の狭い思いはしなかった。ただ、話すうちに「あ。私はお呼びでないな」と思うことはときどきあり、そんな時はお互いのために早めに切り上げるようにした。

どうせ参加するなら一件でも受注したい!

→もちろん依頼があればうれしいけど、市場調査や同業者とのコミュニケーションの場としても使えると思った。自分の作品に対する評価をダイレクトに得られるので、駆け出しの方は自身の強みやセールスポイントを探る機会にもなるかと。
我々は参加せずでしたが、夜からの親睦会はお酒の場でもあるのでざっくばらんな交流ができるらしく、より深い話ができるかも。

参加費2,000円(昼の部/親睦会は8,500円)ってどう?

→交流会としては相場らしいけど、これだけのことができて、この値段はコスパ最強というのが率直な感想。

〈その他〉

また、ピーク時にはラウンジのテーブルも埋まってしまい、この場で分厚い作品集を広げて見てもらうのも大変と思ったので、以下のように区別すると良さそう。

  • 交流ラウンジに持ち込み・配布するもの → 軽くて荷物にならない、すぐ渡せるもの
  • ポートフォリオコーナーに置くもの → じっくり見てもらうための大型作品や冊子

実際ラウンジの密度がマックスの時、上の階のポートフォリオコーナーで休憩を兼ねて作品を読み込んでいる方がけっこういた。
今回きびのは著書を忘れるという痛恨のミスをやらかしており「あ〜ここに書籍置いてたら読んでもらえたかもしれないのに〜!」とめちゃくちゃ後悔。

あとは交流会は体力勝負というのを思い知ったので、こまめな水分補給、動きやすい格好・靴がおすすめ。

次回は2025年11月28日(金)、11月29日(土)の開催を予定しているとのこと、興味が出たら是非ご参加ください!

きびのももうすっかり「交流会怖くない」から「交流会楽しい!」にクラスアップしましたのでまた参加したいと思っています。
現地で会ったらよろしくです!

取材協力
THE CREATORS
https://creators.twxd.jp/

執筆・イラスト

きびのあやとら(GENSEKI/X:@kibinoayatra
元ギャル。グラフィックデザイナー歴16年の漫画家。書籍『今すぐ痩せ見え!!-5kgコーデ』(はちみつコミックエッセイ)発売中。デザインはあらゆるクリエイティブの根底にあるズッ友のような存在。基本的なことやコツさえ抑えたらデザインはとても自由で楽しいからマジでみんなやろ〜?ということをギャルのノリで伝えていきたいと思っています。

編集

斎藤充博GENSEKI/X:@3216Web

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