こんにちは、おゆみです。
絵を描く仕事をやっておきながら、背景が苦手という問題を抱えております。
「上手に描けない」という事実と向き合うのが怖く、その不安から背景に対しての苦手意識が強くなりすぎてしまっているんです。もはや、練習することすら放棄している状態……。
しかし、苦手意識や恐怖心をなくせば「下手でも下手なりに描ける」くらいのポジティブなメンタルに持っていけるんではないでしょうか?
そこでわたしが考えたのは、どういう手段を使ってでもいいからとにかく「描けた」という達成感を得ること。
子どもの頃、よく好きな漫画をトレースしてました。ただ線を上からなぞってペンで描くだけなのですが、それでもそっくりな絵を自分の手で描けたという達成感が自分にとって良かったと記憶しています。まずはその快楽を得ることが第一歩。
そこで、背景の練習もトレースから始めてみました。
漫画内で実際に自分が街中で撮った写真を使ってます。なるべくトレースしやすいものを選びましたが、それでもマンションのベランダを描こうとすると細かいですね。物干し竿をかけるところだったり、手すりだったり、パイプ? の管だったり……。
それ以上に細かいのが電柱です。ただのコンクリートの棒かと思いきや、電線が伸びてる部分はわけがわかりません。
こういった「細かくてよくわからないところ」を正しく描くには、構造を理解すればよいのでしょう。でも、そんなことに手を出したら疲れて、ますます苦手意識が高まってしまいそう。今回はスルーします。
それに、写真に忠実にきっちりトレースをすると、どこか「トレース感」が出てしまって、なんとなく無機質な印象になりがちです。
あえて写真に逆らって手を抜いたり、拡大せずに描いたり(デジタルで描く場合)、直線を使わずにフリーハンドで描いたりすると、ほどよく自然な感じにもなります。
また、実際に印刷されて本になったら細かい部分なんて見えませんし、そんなところをまじまじと見る読者もほぼいないでしょう。
なので、細かくてどう描けばいいかわからないところは、省略していきます。描きたいときは描けばいいし、描きたくないときは描かなければいい、それくらいゆるくてよいと思います。
自分はまず電柱を黒く塗りつぶしました。黒く影のようになっていることで、建物より電柱が手前にある感じが出て、なんとなく奥行きが感じられるような気がしなくもないです。
マンションは、手すりを一本の線で描いて、物干し竿も省略して描かず、パイプもところどころを描くだけにして手を抜いてあります。
こんなふうに描いても、最後の仕上げに影をつけてあげれば、逆にいい感じになったような気さえしてきます。「手の抜き方」を学ぶつもりでやってみるのもいいんじゃないでしょうか。
だんだんと背景への苦手意識もなくなってきたような気がします。いつかもうちょっと上のレベルのこともできるようになるかもしれません。
漫画
おゆみ(instagram oyumijp )
平成生まれ、東京在住のイラストレーター。漫画や文章もときどき描きます。