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【イラスト添削#10】キャラクターイラストに悩む人必見!衣装の描き方と演出方法


こんにちは、 GENSEKIマガジン編集部です。ご好評いただいているgreen322先生の添削シリーズ、第10回をお送りします!

今回も『green322先生に イラストの添削をしてほしい人募集!』でご応募いただいた作品を、実際に先生に添削していただきました。

この記事で学べること
  • テーマに沿った仕上げ方
  • イラストをクオリティアップする方法
  • キャラクターの衣装デザインと布の描き方
  • エフェクトで構図を整え、絵にメリハリをつける方法
添削担当

green322(X:@green322green
Xで14万人以上のフォロワーを持つ人気イラストレーター。美術系大学卒業後中学校の美術教諭として勤務、退職後イラスト制作会社でアートディレクターとして作品の品質管理を担当。その後ゲーム開発会社でのイラストレーター勤務を経て、現在フリーのイラストレーターとして活動中。

添削イラスト応募者 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/kaosketch/20240506/20240506183729.png
sorami(X:@sorami_yuruGENSEKI

soramiさんのお悩み

今回の添削対象は、soramiさんのこちらのイラストです。

ー今回のイラストで自分が思い通りにいかなかった点や、特に気になっていてフィードバックが欲しい点を教えてください。

「ラナンキュラス」というお花をテーマに作成しました。美しいお花なので衣装を美しく豪華に表現したかったのですが、あまりきれいになりませんでした。上手な布の表現色の塗り方を学びたいです。

 

ー普段、イラストを作成する上で困っていることや、悩んでいることはありますか?

衣装を描くときに、どこにどんな色をのせていいかわかりません。シンプルになり過ぎてのっぺりするか、わからないまま描いて汚くなってしまいます。上手な方のようにリッチな表現をしたいのですが、どうしたらいいかわかりません。

 

ー目指している絵柄や作家さんはいますか?
イラストレーターのクノオさん(X:@kuno_on)や鉢人さん(X:@hachihito888)です。


【添削ポイント】テーマのモチーフと伝えたいことに重点を置いて仕上げよう

soramiさん、イラスト添削にご応募いただき、ありがとうございます。

今回のイラストはお花がモチーフということですが、狙いを持ってイラスト制作されているのはとてもすばらしいです! お顔もかわいいですし、衣装にお花を落とし込むという難易度が高いことにチャレンジされていて、とても好印象です!

いっぽう、お花モチーフにしては背景が暗めなことや、構図や人体のデッサンに少し不安がありそうな点がもったいないと感じました。

お悩みの「衣装を美しく描く」「布の表現や塗り方」にも触れながら、全体を順に添削させていただきますね。


気になる部分を修正してから、テーマに沿ってイメージアップ!

1.構図

構図全体を見たときに、右上のスペースが空き過ぎているのが気になります。このスペースに狙いがあると伝わればいいのですが、そうでない場合は不必要に感じられ、違和感につながってしまいます。

違和感はなるべくイラストから取り除きましょう。キャラクターの配置を中央に寄せてバランスを取ります。


2.人体デッサン

次にキャラクターの人体デッサンを確認します。脚が短く見えてしまっています。おそらく画面内に膝下まで収めたかったのだと思いますが、 今回のイラストで魅せたい部分はキャラのお顔とドレスだと思いますので、脚は少し切れてもいいと考えましょう。人体の整合性を優先して脚を伸ばします。

肩や胸回りのデッサンの違和感を自然に見えるように修正します。このときに顔の横幅と手や腕も少し小さく細く調整すれば、かわいらしさを増すことができます。


3.衣装の描き方

今回の衣装は想像上のデザインなので、落としどころが難しく苦労されたのではないでしょうか? 

まずはテーマの「花」が持つ透明感や軽やかさが出るように、花びらの形をもっと薄く描いてみましょう。同時に髪の毛も細かく動きを出すように描いて、より軽やかさを強化します。

お悩みにあった布の描き方は、やはりシワを描いてあげないと「らしさ」が出ません。今回のドレスはシワがたくさん入る服ではありませんが、胸の谷間などのすぼまる部分にシワを少し描くだけでかなり見栄えがよくなります。

また、花びら一枚一枚が独立しているデザインですが、全体の陰影の移りかわりまで意識できると、自然に見せることができます。これは布に限らず、どのモチーフにおいても重要です。

例えば、頭や胸からの落ち影といった身体の凹凸が落とす影をはっきり描くと画面にメリハリが出ます。また、逆に髪に光を強めに当てると、さらに強調できます。

パーツを塗り込みながらそういった画面全体のメリハリまで意識できれば、イラスト全体のクオリティをぐっと上げることができます!

4.背景

背景でも華やかな印象を強めることができます。色あいを明るくして、全体の色調を暖色寄りに変更しました。花の描写を記号的な表現にすると、キャラクターと差がついてさらに画面を見やすくできます。

▼上記を添削したものがこちら!▼

ビフォーアフター

【さらにひと手間】テーマに関連するエフェクトで華やかにして、構図のバランスも整えよう

<エフェクトを使って構図を整える>
さらに、仕上げの演出を追加してみましょう。

華やかでリッチになるように、全体にキラキラのエフェクトを追加しました。細かい光の粒も混ぜて、エフェクト自体に前後感や大きさの変化をつけます。お花がテーマということで「花びら」を全体に散らして豪華さを加えます。

右上のスペースが空き過ぎていたところは、多めにエフェクトを配置してさらに構図を整えます。

オーバーレイレイヤーを重ね、手前に見せたいところにぼかしブラシで光を加えます。軽やかさと空気感を出すために、エフェクトや足元にも黄色っぽい光を入れます。


【色相・彩度】などの色調補正で全体を暖色寄りの色に整えたら、最後にテクスチャをかけて仕上げます。



全体にグレーの砂目模様の入ったレイヤーをオーバーレイ50%程度で絵に重ね、質感を加えながらメリハリをつけたら、完成です。

ビフォーアフター

添削完了!

添削を加えたイラスト

元のイラスト → 添削経過 → 添削完了の変化


【総評】資料を徹底的に集めて長所をさらに魅力的に


今回のイラストは全体的にていねいに描かれていて、とても良いと思います。ただ、ていねいに描こうとするあまり、描き込みをためらっているようにも見受けられました。

描き込むことで質感やメリハリが出て、画面を充実させることができます。

解決方法のひとつとして、とりあえずがむしゃらに描き込んでみてから不要な部分は引き算していく、というやり方があります。

また、「どう描いたらいいかわからない」場合は、とにかく資料を用意しましょう。今回で言うとお花はもちろん、ドレスの参考になりそうな画像を集めたり、ドレスの装飾についての資料があると、衣装デザインの案出しもしやすくなります

soramiさんは「かわいいお顔が描ける」「オリジナルの衣装を考える」といった創造性が優れていると思いますので、長所を活かしつつ、さらにイラスト制作を楽しんでください。今回の調整が参考となれば幸いです!

応援しております。お互いがんばりましょう!

添削イラスト募集中!

この連載では、green322先生にイラストの添削をしてほしい人をまだまだ募集しています!

元のイラストの良さはそのまま活かして、さらにクオリティを上げるポイントが満載の、学びの多い添削です!

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【動画あり】炎のエフェクトがひと通り描ける! green322「炎の描き方」《GENSEKIイラストメイキング》
炎の描き方PSD【解説記事あり】

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執筆

kao(X:@kaosketchWebGENSEKI

編集

斎藤充博(X:@3216WebGENSEKI