この連載では、イラスト作成に関するお悩みを、田中くんがかのと先生と一緒に学んでいきます。今回のテーマは「キャラが棒立ちにならないようにする」です。
登場人物
イラストレーターになりたい学生。夢はゲーム会社に就職すること。
この連載の先生。イラスト・ゲーム・キャラクターデザインなどさまざまなデザイン、ディレクション等、多岐にわたって活動するマルチクリエイター。
この記事を読むと学べること
- 空間を感じさせる体の動き
- 体の自然な重心の取り方
手前と奥を意識しよう
前回の記事で腕の付き方は分かったけど、なんだかイラストが平面的に見えるんですよね。
どうしたらもっと動きが出ますか?
そうね。もっと手前と奥を描いてあげてみて!
手前と奥?
例えば腕や足を描くときって、画面に対して横に動かしがちよね。そこで、画面の手前に出したり、後に引いたりといった表現ができると、立体的な空間が生まれて、動きのある表現になるわよ。
手前と奥か……でも描くの難しそう。
確かに横の動きの方がシルエット的にはわかりやすいわね。そこで、手前と奥を描くには、「切り込み線」が大事になってくるわよ!
切り込み線? 初めて聞く言葉ですね……?
物が重なってると、シルエットではわかりにくいわよね。でも、ここに切り込み線を描いてあげるだけで、手前と奥が表現できちゃうの!
わ! 本当だ! 手前に見える!
この「切り込み線」を描くか描かないかで、だいぶ見え方が変わってくるからぜひ描いてね!
描くときは、手前にあるものの形の延長を意識して入れてみて。
なるほど。こうすると手前にも奥にも見えるのか。
もちろん、その形にあったシルエットや大きさも必要だけど、あるとないとじゃ大違いよ!
また、正面の絵でもこの線を入れてあげるだけで、厚みや奥行き、手前奥がわかりやすくなるから、ぜひ試してみてね!
重心を意識しよう
あと、僕がキャラを描くと、なんだか棒立ちしてるみたいに固くなっちゃうんですけど何かコツはありますか?
そんなときは「重心」を意識してみて! 田中くんが待ち合わせで立ってるときって、どんな感じ?
片方に重心がきたり、壁にもたれてたりしますね……。
そっか。僕のキャラは真っ直ぐすぎるんだ。
体勢を少し崩すとわかりやすいけど、肩と骨盤の位置はどうかしら?
右肩が上がって左肩が下がる……。左骨盤が上がって右側が下がる?
そう! 「く」の字になってるでしょ?
あー! 確かに!
両肩のラインと骨盤のラインが平行になるのは、まっすぐ立っているか、座っているキャラだけよ。立っているキャラは大体両肩のラインと骨盤のラインが「く」の字になるのよ。
うん。確かにそうなりますね!(やってみる)
身体の重心を考えて、あとは肩と骨盤の向きを考えてあげれば自然と動きが出てくれるわね!
あとは、肩や足を前後に傾けたり、腰を捻ったりしても動きが出るわね!
以前のポーズのお話と合わせて考えるとよさそうですね!
そうね! ポーズのお話のときは、ポーズやシルエットの話を中心にしたから、今回の重心や描き方を組みあわせていくとより理解しやすいと思います!
今日、学んだことに注意しながら、いろんなポーズの作画を練習をしてみますね!
すぐに行動に移せるのは田中くんのいいところね! がんばって!
はーい!
執筆・イラスト華乃都(かのと)(X:@rubanribbon)
ゲーム会社、IT 系会社で、イラストレーター&デザイナーとして勤務したのちに独立。現在はフリーランスのイラストレーター&デザイナーとして活動中。専門学校でも現役で講師をしている。
イラスト(ファッション画、水墨画、ゲーム系etc…)
デザイン(グラフィック、パッケージ、UIX、グッズ、etc…)
The Kitten Louis イラストレーター/ エグゼクティブプロデューサー
クリエイティブディレクター、プロデューサーなど活動は多岐にわたる。