こんにちは。ライターの斎藤充博です。僕はライターをもう10年以上やっているんですが、最近ちょっと気になることがあります。それは……
ってことなんです。
どうも以前とくらべて、文字をベースに構成する記事が読まれていないような……。その一方、動画はすごく元気なイメージがありますよね。有名YouTuberはその行動がニュースになっていますし、ショート動画を使った広告やPRも人気なようです。
それなら、もうライターじゃなくて、いっそのこと動画制作者になった方がいいのでは……?
僕の知りあいにライターから動画制作者に転身したニシキドアヤトさんという人がいます。今回はニシキドアヤトさんにお話を聞いてみました。
- 動画ってぶっちゃけ儲かる?
- ライターからどんな経緯で動画制作者になったのか
- 動画を制作するのにどんなスキルが必要なのか
- 動画制作に向いている人とは
まるっと教えていただきましたよ~!
ニシキドアヤト(X:@art_0214/YouTube:猫のフレデリカ)
8年間会社員として勤めた後に、取材を中心とするWebライターに転身。その後にYouTuberチャンネル『宮迫ですッ!』のスタッフとして活動する。現在はフリーの動画制作者。
ライター(絵も)
動画制作ってぶっちゃけ儲かる?
斎藤
ニシキドさんというと、ついちょっと前まではメチャメチャにバズるライターだったじゃないですか。それが、いつの間にか動画制作者になっていたわけで……。はっきり聞きますが、動画制作ってそんなに「いい」んでしょうか?
ニシキド
僕の場合は、「YouTubeを始めたいけど、なにから手をつけたらいいかわからない」という悩みを抱えた企業さんやインフルエンサーさんを、動画編集も含めてお手伝いさせていただいてます。
動画の企画出しから現場でのディレクションや撮影、サムネイルの制作など、動画を公開するまでの全ての工程に携わらせていただいているクライアントさんが多いです。
動画制作といっても、いろいろな仕事があって、値段はピンキリなんです。ライターもそうですよね。その辺りの感覚は一緒だと思います。
斎藤
なるほどね。それじゃあ安い案件もあったりする……?
ニシキド
そうですね。かんたんにとれる仕事だと、やっぱり安いんです。よくある案件募集サイトなんかでは、10分くらいのYouTube動画の編集が3,000円~5,000円というのを見たことがあります。10分の動画を編集するって、編集内容にもよるんですが、早い人でも5~6時間以上かかるんです。まだ駆け出しの人だったらもっとかかるんじゃないでしょうか。
斎藤
6時間以上かけて時間で5,000円は厳しい……! よくWeb広告で「動画編集を副業にして儲けよう!」みたいなのを見るけど、そうはいかないんですね。
ニシキド
もっと安いものも見かけたことあります。YouTube shortだと1本500円というのもありますね。
斎藤
おお……。ちゃんと稼ごうとするには、どういった案件を狙っていけばいいんでしょうか?
ニシキド
動画って本当にいろいろなジャンルがありますし、なんともいえないですね。他にも、企業が作っている動画なら多少上がったりとか、ミュージックビデオを作れるなら高くなるとかは聞きます。
結局はクライアントさんの予算次第というところでしょうか。同じ編集規模でも、やはり予算がデカいところとカツカツのところでは単価もかなり違ってくるので……!
斎藤
なるほどな~。やっぱり動画ならなんでもいいってわけじゃなくて、案件次第ってことですね。
ライターから流されるようにYouTuberの世界へ
斎藤
ニシキドさんは、お笑い芸人の宮迫博之さんが開設しているYouTubeチャンネル『宮迫ですッ!』のスタッフでしたよね。その後に『宮迫ですッ!』を卒業して動画制作者として活動しています。ライターからどんなふうに動画の世界に入って行ったんでしょうか?
ニシキド
ライター時代も、友達と遊んだときの動画を趣味でかんたんに編集したりはしていたんですよ。他にも、ちょっとした短い動画を自分で作って記事の中に補足的に差し込む、みたいなこともやっていました。
斎藤
そもそもが「動画も作れるライター」ではあったわけですね。
ニシキド
そうですね。特にスキルがあったわけではないんですが、ライター時代も「ライターが90%、動画が10%」くらいのイメージだったと思います。そこから宮迫さんのところに入ることになって。急に「動画が100%」になっちゃいました。
斎藤
いきなり誰もが知っているような芸能人のYouTubeチャンネルに携われるなんてすごい……! きっかけはなんだったんですか?
ニシキド
ライター活動をしている中で、動画関連のプロデューサーと知りあったんです。その人は藤本美貴さんの「ハロー!ミキティ」というYouTubeチャンネルに携わっていて、そのチャンネルに「おもしろい記事を作っているライター」ということでゲストとして呼んでもらいました。
斎藤
いきなりミキティーと共演するところから始まっているんですね!
ニシキド
この藤本美貴さんとのトークがプロデューサーに好評だったみたいです。「今度、宮迫さんのYouTubeチャンネルを手伝うんだけど、企画出ししてよ」ということになったんです。
斎藤
ライター活動が、こんなふうに別の仕事に繋がるんだ……!
ニシキド
いくつか企画出しをしているうちに、企画会議に出るように言われて。宮迫さんとはそこで初めてご挨拶させていただきました。そこから動画の撮影もなんとなく流れで手伝うようになって。いつの間にか動画にも出るようになって……。
斎藤
「動画に出る」というか、ニシキドさんの実家にまで行っていますもんね。
ニシキド
そうでしたね(笑)。こんなふうに、どんどん流されて宮迫さんのYouTubeチームの内側に入っていったイメージです。
本当にいろんなご縁と運が重なって、チームメンバーとして3年間活動させていただきました。この3年間は本当に沢山のことを学べた、自分の人生で一番濃い3年間でした。宮迫さんやチームメンバーのみんなにはとても感謝しています。
動画編集スキルは1,000円で身に付けた
斎藤
そしていまでは『宮迫ですッ!』チャンネルを卒業されて、フリーの動画制作者として活動しているわけですよね。以前から動画の編集が好きだったとは冒頭で聞きましたが、どんなふうにスキルを身につけていったんですか?
ニシキド
宮迫チャンネル時代はiPhoneのInShotというアプリでかんたんに編集をしているだけでしたね。これだけではスキル不足なので、「Premiere Pro」というソフトを使えるようになりたいと思いました。業界でよく使われているソフトなので、これから動画制作を始めようとする人は、まずはここからやってみるといいと思います。
斎藤
Premiere Proか……。触ってみたことはあるんだけど、けっこう難しいですよね、アレ……。
ニシキド
わかります。初めて見た人は設定項目が多くて、びっくりしちゃうかも。僕も「飛行機のコクピットか!」って思いました。ただ、学んでいくと、よく使うところってそんなに多くないことがわかるんですよ。
斎藤
それはどうやって学んでいいけばいいんでしょうか?
ニシキド
僕の場合は、動画でいろいろな講座を開いているUdemyで「 Premiere Proの基本的な使い方講座」みたいなものを購入して、基本的なスキルは身につけました。たしかセールで1,000円くらいだったと思います。
斎藤
1,000円。めっちゃ安いですね。……ということは、パソコン買って、Premiere Proを契約して、Udemyのセールで安く売っている動画を1,000円くらいで買ったら、それなりに仕事になるレベルの動画制作者になれちゃうってことですか?
ニシキド
それは、全然なれますよ。
斎藤
そうなんだ……!
ニシキド
なれますよ、なんて言うと、ちょっと偉そうですけど……(笑)。Udemyの動画で基礎的なスキルを身につけたら、知らないことは都度YouTubeなどで調べていけばなんとかなります。
僕は自分ができることが増えて行くのが、なんだかゲームみたいに感じられて。楽しくやっていました。
斎藤
初心者の人はどんなところで苦労しそうでしょうか?
ニシキド
これは基本的なスキルを身につけた後の話なんですが、初心者の人は「テロップを打つべき場所」や「カットしたほうがいい場所」の、判断基準がまったくないと思うんです。そこは一番苦労しそうだな、とは思いますね。
斎藤
ニシキドさんも、そこは苦労しました?
ニシキド
僕の場合は宮迫さんのYouTubeチームで培った知識と経験があったので、そこは全く困らなかったです。
斎藤
そうなんだ!
ニシキド
当時は編集チェックもスタッフの業務だったので、「ここはカットしてほしいな」とか、逆に「ここの下りがカットされてるけど、他の動画との繋がりも考慮したら生かしてほしいな」みたいなやりとりを編集チームと頻繁にやりとりしていました。
それから、多分ライターの経験もかなり役に立ってると思います。提出して編集者に朱を入れられた原稿を見て、「いや、ここ削ったら冒頭のここの振りが意味なくなるだろ…」みたいなことって結構ありません?
斎藤
すごくよくありますね。
ニシキド
そういった「構成力」みたいなものがある人は向いてると思います。
動画制作に向いているのはやっぱり「好きな人」
斎藤
ここまで聞いていると、ニシキドさんはそもそも動画制作にめちゃめちゃ向いているんじゃないのかという気がしていきました。ニシキドさんの中で「こんな人が動画制作に向いている」というのはありますか?
ニシキド
動画を編集するって、本当に淡々と一人でがんばっていくだけの時間なんですよ。そういうのが好きな人は向いていると思います。僕も編集作業をしていると、集中しすぎて唾を飲むのも忘れちゃうときがあります。
斎藤
えっ! ヨダレたらしながらやってるってこと……?
ニシキド
口からたらすんじゃなくって(笑)、喉奥にどんどんたれていって、気道に入ってむせるという……。
斎藤
むせるまでやっているのすごい。
ニシキド
それから、自宅に作業机もあるんですが、サブモニターやマウスなんかのツールも使わないようにしてます。
「家の作業机じゃないと仕事しづらいな」という言い訳をしたくなくて……。こうすれば、どこでもパソコン1台で同じ作業環境になりますから。
だから暇つぶしみたいな感じで動画の編集をしていることも多いです。例えば、電車の中とか。テーマパークに行ったときの行列の最中とか……。
斎藤
「暇つぶしとして、動画の編集ができる」って無敵だと思います。僕はライターだけど、暇つぶしに文章書くってない……。
ニシキド
自分でも向いているのかな、って思いますね。だからいまはめっちゃ楽しいんです。何のストレスもないですね、仕事に対して。
斎藤
やっぱりそもそも「動画が好き」というのは大きそうですね。なるほどな~!
というわけでライターから動画制作にシフトしたニシキドアヤトさんのお話でした。
あらためてニシキドさんの記事を読むと、文章の記事というよりは、まるでYouTuber動画を見ているような読み口の記事になっているように思えてきました。そう考えると、ニシキドさんの転身は単に時流に乗ってたのではなく、必然的な流れですよね。
僕も動画を作りたいって思っていたけど、自分がどれだけ動画が好きか? を問い直した方がよさそうです……!
最後に、僕が練習に作ってみた動画を置いておきます。
これでもがんばった……!
GENSEKI運営スタッフより
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