キャラクターのポーズを自然に描くためのコツ。松浦健人先生インタビュー
【こちらの記事はきびだんご株式会社の提供でお送りします】
こんにちは、GENSEKIマガジン編集部です。
漫画家・イラストレーターの松浦健人先生が審査員、きびだんご株式会社の協賛のもと「第2回 ポーズを描こう! ポージングイラストコンテスト」を開催しました。
この記事では受賞作品を例に「日常ポーズを描くコツやテクニック」「漫画やイラストを描くときのデッサン人形の使い方」を伺いました。コンテストに使用したアートフィギュア「スティッキーボーンズ」独自の魅力も教えていただいています。記事の下部にはクーポンコードも掲載していますので、ぜひ最後までご覧ください。
松浦健人(X:@matsukenmanga)
週刊少年ジャンプで『トーキョー忍スクワッド』『仄見える少年』を作画で連載。イラストレーターとしても活動中。
デッサン人形を持つメリット
サイトウ
今回は、アートフィギュア「Stickybones(以下スティッキーボーンズ)」を使って撮影した3つのポーズから、ひとつ選んでイラストを描く課題でした。こうしたデッサン人形を使うメリットについて教えてください。
松浦
「座る」「走る」「寝る」といった日常的なポーズは、ありふれているようで実は難しいです。誰でも普段からよく見ているポーズだからこそ、嘘やごまかしが利きません。
今回のコンテストではポーズ見本の写真がありましたが、手元にこういった人形があると、構想段階からシミュレーションに使えます。複雑なポーズの構造や、自分が脳内で想像してもわからないポーズも、すぐ見て理解できるのが人形のいいところです。
「寝る」ポーズは接地面のリアルさが重要
サイトウ
課題のそれぞれのポーズについて、詳しく伺いたいと思います。まず、寝ているポーズを描くコツはなんでしょうか?
松浦
腕に頭を乗せる、足が重なっているなど、上のものと下のものが干渉する部分が自然に描けるかがポイントです。
例えば、寝ているときの頭を描くと浮いているように見えることが多く、身体が沈んでいる感じや重なる肉の感じも描くのは難しいです。そこがうまく描けたら、ポーズが自然に見えると思います。
サイトウ
身体同士や人と背景など、接地面の描写が大切なんですね。
【大賞:ポーズ3】海の夢をみる/じみにしじみ
松浦
今回のように人形のポーズを参考に描く場合、肉体の重なりや人体と物が干渉する部分はどうしてもリアルな人体とは違ってきます。その中でじみにしじみさんの作品は違和感なく自然に描けていて、よかったですね。
サイトウ
違和感をなくすには、どうしたらいいでしょうか?
松浦
人形の参考だけでは違和感が出てしまう場合、自分で同じポーズをとって違いを比べたり写真をたくさん撮るのがいいと思います。人形はとても便利ですが、100%信じすぎない意識も必要です。人形を作っている人達も、完全にトレースして描く想定はしていないと思います。
サイトウ
絵を描き慣れている先生でも毎回、資料集めをされているのですか?
松浦
たくさんします。今までそれなりに漫画を描いてきた蓄積があるので全てのポーズが必要なわけではありませんが、手が前に出ているなど難しいポーズは資料が必要になります。「どんなポーズにしよう?」と考える最初の段階で人形を使っていろいろ試し、それでも足りなければ自分でポーズをとったり写真で確認しています。
真上からの構図の魅力と難しさ
【佳作:ポーズ3】あと29分!!/Azure
サイトウ
Azureさんの作品も寝るポーズです。寝るシーンで真上からの構図はよく見かける気がしますが、描くのは大変そうです。
松浦
寝ている真上からの構図は、身体のシルエットが魅力的に見えるので、よく描かれるシチュエーションだと思います。
ただ、このようにモチーフをたくさん描くのは、パースにあわせるのも大変で難しいですよね。壁のフレームなど見えすぎると目立ってしまうところは、隠したり切ったりしてごまかすのも手だと思います。
サイトウ
前回のポーズコンテストでは、画面に対して逆さまに人を入れる構図の作品が大賞でした。今回も佳作2作品が逆さまの構図ですが、メリットがあるのでしょうか?
【佳作:ポーズ3】背徳感/アロワナ氏
松浦
どちらかというと、逆さまに人物が入る構図は見栄えがしにくいので避けられがちです。僕も漫画でカラーを描くとき、一度やろうとしましたが担当さんに止められました(笑)。
「コンテスト用に一枚絵を描こう!」というときに、メインを逆さまで入れるのはチャレンジングなことです。でもアロワナ氏さんの作品は、「そういえば逆さまだ」と今気付いたぐらいで、違和感なく使えています。顔を描くと見にくくなる構図なので、顔を隠したり線だけで表現するタッチがあっていたのがよかったですね。
「座る」ポーズは正確に描くのが大切
【佳作:ポーズ1・3】逢引/Pani
サイトウ
こちらの作品は「寝る」「座る」の2つのポーズが使われています。
松浦
2つのポーズとシチュエーションをうまくあわせてくれましたね。情報量も多くていねいに描かれていて、いい印象を受けました。
サイトウ
先生は絵を描くとき、ポーズとシチュエーションはどうやって決めていますか?「このポーズが描きたい」から描き始めることもあるのでしょうか?
松浦
僕が趣味でイラストを描くときはまずシチュエーションから始めて、ポーズは後から考えることが多いです。
散歩していて、いい背景になりそうな場所が見つかったら「ここにどんな人がいて何をしていたら絵として映えるだろうな?」と考えます。背景を盛り上げるように人を置いていく、といった感じですね。
サイトウ
座るポーズを描くコツは、なんでしょうか?
松浦
「座る」は日常動作の中でも特によく見るので、違和感に気付きやすいポーズです。より正確に描く必要があります。
真正面から足を組むポーズなどはとても難しく、僕も一発では描けません。いつも悩みながら描いています。難しいアングルや構図で描くことになったら、やはり自分でポーズを取ったり写真を撮って、本当らしく見えるように工夫しましょう。
松浦先生のイラスト
「走る」ポーズを描くには人体動作の理解が鍵
【佳作:ポーズ2】大逃走/松三郎
松浦
松三郎さんの作品は「こんなきれいなフォームで走るとは何事なのだろうとシチュエーションを考えた」ということですが、インパクトがあってシュールでおもしろいです。イラストはこういうものがあっていいなと思いました。
サイトウ
「走る」ポーズの応募は他と比べるとやや少なめでしたが、走るポーズを描くのは難しいのでしょうか?
松浦
一枚のイラストに走るシーンを収めるのも難しいし、そもそも自然に「走っているように見える」描写が難しい。もっというと「歩く」はさらに難しい。僕も今回の選考で、そのことに改めて気付きました。
動きのあるポーズは重心や人体の動作に対する理解度が高くないと描けないんです。
サイトウ
そういった人体構造や動作の理解はどうしたら身に付くでしょうか。先生はSNSにクロッキーも投稿されていますが、こういった練習は効果的ですか?
松浦先生のXより
松浦
そうですね。僕は大学生のころ、足がうまく描けなくてクロッキーで練習したら上達した、ということがありました。とてもお勧めです。
サイトウ
写真や資料の通りに描くだけでは表現できないことなのですね。
松浦
それがアクションを描く難しさです。ただ、静止したポーズにも難しさはあるので、自分がどちらが得意かは相性だと思います。
▼結果発表と講評コメントはこちら
しっかりした関節とポーズ固定がスティッキーボーンズの魅力
サイトウ
先生は漫画とイラストの両方でご活躍されていますが、デッサン人形はそれぞれの場合でどう使われますか?
松浦
イラストでは、最初の「どんな構図にしよう?」「ダイナミックなポーズにしようか?」というときに、シミュレーションしたりある程度のアタリをつけるのに使っています。必要があればさらに同じポーズで写真を撮ったり資料を集めますが、その準備段階に役立っています。
漫画ではさらに活躍していて、イラスト以上にいろいろなシーンやアクションを描かなければいけないので、手元で手軽にいろいろなポーズが試せるのは助かります。
サイトウ
漫画でもイラストでも、絵の取り掛かりとして使えるんですね。
松浦
とても便利だと思います。
サイトウ
松浦先生にも、コンテストのお題で使用したアートフィギュア「スティッキーボーンズ」を実際に使っていただきました。使い心地はいかがでしたか?
松浦
関節がしっかりした作りになっていて可動域も広く、どんなポーズでもしっかり固定できるところがとてもよかったです。
例えば、重心がすごく後ろにかかるポーズだと、本来は重力に負けて倒れてしまいます。でもスティッキーボーンズは関節が決まるし、足の磁石が台座にしっかりくっつくので、ポーズをしっかり立てることができます。これは既存のデッサン人形のイメージになかったアプローチで、とてもいいですね。
今回使用したアートフィギュア「スティッキーボーンズ」 の1,000円OFFクーポンを配布いたします! 手のコレクションや2体セットまで、さまざまなニーズにあわせて用意されていますので、この機会にぜひお得に手に入れてご活用ください!
1,000円OFFクーポンコード:VIVIONSBCP2
期間:〜2025/2/28 23:59まで
対象商品:Stickybones商品ページで購入可能なSKU(バリエーション)商品
(※一部商品除く)
利用方法:購入手続き時にクーポンコードを入力
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執筆
kao(X:@kaosketch/Web/GENSEKI)
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