こんにちは! GENSEKIマガジン編集部です。
以前の記事でクリエイター全力応援コンテスト「獣人」オンライン講評会をレポートしました。
このオンライン講評会では、イラコン応募者のみなさんに質問を募り、タカヤマトシアキ先生に答えていただくQ&Aの時間がありました。その内容に、新たにタカヤマ先生のコメントやメイキング画像を追加し、今回も「Q&A連載 第三弾」として再構成しました。全3回の連載としてお届けします!
第三弾 第1回「サムネイルを目立たせるには色と構図にコントラストをつける」(この記事)
第三弾 第2回「ドラゴンのウロコは水玉模様をベースに描く」
第三弾 第3回「イラスト制作中に『迷う』のは無駄な時間」
タカヤマトシアキ(X:@tata_takayama/Web/GENSEKI)
デュエル・マスターズ、ヴァンガードなどさまざまなトレーディングカードゲーム(以下TCG)でメイン・パッケージイラストを手掛けるイラストレーター。クリーチャーやメカニック、リアル系まで幅広い画風を持つ。
Q.イラストの印象がぼやけてしまうのですが、どうしたらいいでしょうか。先生が意識していることはありますか?
A.コントラストや色調の違いで、絵にメリハリをつけよう。
タカヤマ先生
画面にコントラストがないと、ぼやけた感じになります。メリハリがついていれば、たくさん色を使っても調和が取れますし、見せたい部分にちゃんとフォーカスをあてることができます。ライティングや色調に変化をつけて、コントラストを作りましょう。
一番簡単なのは、メインキャラと背景で色調を変える方法です。先日僕がGENSEKIイラストメイキングで描いたイラストは、最初から「キャラの赤」と「背景の緑」で色調を分け、前に立ったキャラが目立つように作りました。
また、極端な方法ですが、コントラストやメリハリが出てないと感じたとき、色調補正で彩度をグッと落とし、コントラストを思い切り上げる手もあります。絵的にはガタガタになってしまいますが、コントラストは強く出るので、メリハリを出す指針にはなります。自分もたまにやることがある方法です。
僕もプロになったばかりの頃は、ぼやけることがありましたし、今でもたまにあります。そういうときは無意識に「自分がよく選ぶ色」ばかり使っていたりするんです。普段描いていて「なんだかずっとぼやけてるな」と思っている人は、一度思い切ったことをしてみましょう。
あえてキャラに派手な差し色を入れてみたり、全体にふわっと当たるライティングをやめて白飛びするほど強い光を当ててみるとか。それぐらいコントラストのキツい絵の構成にしてみてもいいと思います。
そうすると、なぜいつもぼやけがちなのか? に気づけると思います。
今回の「獣人」イラコンで大賞の@ aruuraraさんのイラストは、そのあたりがうまく描かれています。ずっとクオリティの高いイラストを発表されている方で、実は僕も以前からフォローしていて見ていました。彩度を感じられつつもメリハリがあり、見せたい部分にフォーカスがうまくできている構成で、よい参考になると思います。
Q.サムネイルなど通常より小さい表示サイズでも目を引くには、どう描けばいいでしょうか?
A.「コントラスト」をつける。これに尽きます。
タカヤマ先生
これも同じく、コントラストです。色やライティング、構図などでしっかりメリハリがある作品は、小さくても目に飛び込んできます。逆にそれがないと、多くの作品から選考されるシーンでは不利になってしまいます。
コンテスト選考では、最初にサムネイルを見て候補をピックアップするので、パッと見のよさは重要です。拡大したらしっかり描かれた絵だとわかっても、サムネイル時点で印象に残らなかったものが大賞に選ばれることは、ほとんどないと思います。
仕事の場合も同じです。クライアントさんが候補のイラストレーターを探すときも、膨大な量のイラストを見るので、ポートフォリオもパラパラっと一瞬で見て絞り込んでいく。
それだけ「パッと見で何が描いてあるかわかる」というのは重要です。
絵の良書『やさしい顔と手の描き方』のA. ルーミス先生も、「構図とはコントラストだ」みたいな話をされていました。一言で言い切っていてかっこいいですよね。そしてそれは結構正しいのではないか、と僕も思います。
Q.影ができる場所を判断するには何を勉強すればよいでしょうか?
A.デッサン力を身につける、3Dソフトを使う。
タカヤマ先生
これは単純に、デッサン力がつけばある程度わかるようになります。
それ以外なら、3Dソフトを使うのが簡単です。以前の記事でも何度かお話していますが、僕はよく「イージーポーザー」を使っています。ライティングの種類や設定できることは少なめですが、操作がわかりやすく、使いやすいと思います。
ただ、3D画像そのままを描くことはありません。3D特有の固さが出てしまったり、影がごちゃついたり、必要以上に暗くなることがあるので、あくまで参考です。
こちらもGENSEKIイラストメイキングの記事や、YouTubeチャンネルの作業配信で、使っている様子を公開していますので、見ていただけたらと思います。
Q.ラフの段階では躍動感や立体感があるのに、描き進めるとどんどん平面的になってしまいます。ラフ、線画、下塗り、1影、2影、加工の順で塗っているのですが、原因はどこでしょうか?
A.ライティングとコントラストに絞って考えよう。
タカヤマ先生
質問者さんのイラストを見てみないと正確なことは言えませんが、たぶん制作過程は問題ないです。平面的に見えるというのは、「平面的に見えるライティングになっている」のでしょう。
繰り返しの話になりますが、ラフの段階でしっかり立体的に見えるライティング、コントラスト、色調を作ることが大切です。
また、全体をていねいに描きすぎて、強調すべきところと、強調すべきでないところが同じような描き込み量になっているのかもしれません。描き込み量にメリハリがついていないと、ラフの躍動感や立体感もなくなっていってしまいます。
いつもの色調で描かずに、コントラストが出る色調をまず第一に考える。明確に光が当たっているところといないところを分ける。そうやってひとつずつコンセプトを絞って、練習するのも大切です。
デッサン教室に行ってみるのもいいですよ。僕もプロになったばかりのころ、同じ悩みを経験したのですが、片道1時間以上かけてデッサン教室に通いました。いい教室探しは大変かもしれませんが、勉強になりました。(詳しくは Q&A連載 第二弾 第1回 参照)
>>>第三弾 第2回「ドラゴンのウロコは水玉模様をベースに描く」に続く
第三弾 第1回「サムネイルを目立たせるには色と構図にコントラストをつける」(この記事)
第三弾 第2回「ドラゴンのウロコは水玉模様をベースに描く」
第三弾 第3回「イラスト制作中に『迷う』のは無駄な時間」
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