「イラストを仕事にしたいけど、どうしたらいいかわからない……」そんな悩みを持っている人はいませんか。
この連載では、大人気イラストレーターのさいとうなおき先生に「イラストを仕事にするための質問」に答えていただきました。
今回のテーマは「イラスト全般についての疑問解消Q&A」です。イラストを仕事にしていく上でのさまざまな質問に答えていただきました。第一線で活躍するプロの知見、ぜひ参考にしてください!
第1回 イラストを仕事にしたい人が「用意すべきモノ」
第2回「イラストレーターはどうやって営業すればいい?」
第3回「イラストで初めて仕事をもらったときにどうすればいいか」
第4回「イラストで収入を増やすにはどうしたらいいか」
第5回「イラストの人気ジャンルって?」
第6回「イラスト全般についての疑問解消Q&A」(この記事)
答えてくれた人
さいとうなおき(Twitter・YouTube)イラストレーター/YouTuber。1982年生まれ、山形県出身。多摩美術大学卒業後、ゲーム会社を経て現在フリーランス。『ポケモンカードイラストレーター』。
YouTubeチャンネル登録者130万人以上を記録。『お絵描き上達テクニック』などの情報も発信中。
Q.もっと絵が上手くなりたいんだけどどうしたらいい?
A.いっぱい描けば上手くなる! 目標を高くしすぎるとしんどいので、まずは小さい目標をこなしていこう。
ーーこれはイラストレーターのほとんどが持っている悩みだと思うんですが、もっと絵が上手くなるためにはどうしたらいいでしょう?
さいとう先生
絵が上手くなるためにはとにかくいっぱい描くことが大事です。少なくても1週間に1枚は描いたほうがいいと思います。
あと画力で悩んでいる人は「絵を投稿したのに、いいねが付かないのは自分の絵が下手だから」という思い込みも多分あると思うんですよね。
最初は他人から評価されることを目標にしない方がいいと思います。ましてや、SNSで「1万いいねもらう」など高い目標を設定すると、なかなか達成ができなくしんどいです。
そこで自分の中で「〇分で絵を仕上げる」「難しい構図にチャレンジしてみる」のような小さい目標を設定するんです。これならクリアしやすいし、数をこなせばだんだんと絵も上手くなってくると思います。
Q.イラストの仕事で生計を立てたいけど親が反対する……。
A.言葉に加えて、きちんと仕事に向き合う姿勢を見せることが大事。お金を稼げているというところを見せると親は安心する。
ーーイラストの仕事で生計を立てていくつもりなんですが、親の反対が怖いです。反対された/されそうなときってどうしたらいいでしょう。
さいとう先生
親御さんはおそらくイラストレーターの仕事がどういう仕事なのか、ちゃんと稼げるのかを不安に感じていると思います。まずはそこをしっかり説明しておく必要があります。
その上で「自分はこういうことがやりたいんだ」ときちんと姿勢で見せてあげると親御さんも納得してくれるのではないでしょうか。
ーー親からの「家業を継いでほしい」というプレッシャーも強くて……。
さいとう先生
そこは難しい問題ですよね。僕も農家の長男だったので、親から「農家継ぐやろ?」ってニュアンスを端々から出されていました。
だけど僕はイラストレーターになりたかったから、イラストをしっかり描いて自分のスタンスを親に見せて納得してもらいました。
もちろん親の仕事とイラストの仕事がクロスオーバーするならそれが一番なので、「家業にもイラスト活きるよ」という説得の仕方もありですね。
Q.SNSは営業活動でも大事だけど、ずっと見てると反応などで気が滅入りそうです。
A.ほどほどの距離感が大事。
ーーSNSでの営業活動は大事だと思うのですが、、ずっとSNSを見てると気持ちが落ち込んじゃいそうです。SNSのおすすめの付き合い方を教えてください。
さいとう先生
まず、SNSで数字を気にし始めると気が滅入ってしまうので、そういう状況になったら自分のいいと思うものに向かって、楽しんで絵を描いたほうがいいなと思います。
そして、数字のことをそんなに気にしていない場合でも、いろいろな人からのリプライが飛んでくることがあります。これもいちいち気にしていると大変です。
SNSの画面の向こうにいるのはどんな人なのかわかりませんし、どんな気持ちでこちらにリプライしているのかはわかりません。そこで僕が意識していたのは、リプライに対しては、あまり真剣に反応はしないということでした。
批判的な文章が送られてきたら、それを必ず受け入れないといけないと考える人も多いと思います。でも、はたして受け入れる必要があるでしょうか?
すごく変わった人が批判しているのかもしれないし、特に深く考えずに批判しているのかも知れません。それはわからないですよね。
だから消耗してまで正面切って向き合う必要もないのでは……? と伝えたいですね。Twitter(現X)ではミュート機能もありますし。
これはもちろん傍若無人に振る舞ってOKというわけではないので、聞き入れたほうがいい意見があった場合は柔軟に対応しましょう。
Q.自分がイラストレーターに向いていないと思ったときはどうすればいい?
A.絵を描くのが嫌いにならないようにしよう。つらくなったらイラストから離れてもOK。
ーーずっとイラストレーターを続けてるんだけど、描いた絵に反応がなくて、イラストレーターに向いてないんじゃないかと不安になります。
さいとう先生
絵を描くことが嫌いにならないように、いったんイラストから離れてみてもいいんじゃないかと思いますね。そもそもイラストレーターを志したのなら、絵を描くのが好きな人のはずです。そんな人がイラストを描くのを嫌いになってしまうのが、一番の不幸です。
なぜ嫌いになるかというと「それしかすることないのに評価されない」という状況がずっと続いて心が折れてしまうからです。
そこで、いったんイラストとの向き合い方を考える必要があると思います。イラストとの距離をとってみたり、別の仕事をしたりするなどはどうでしょう。
Q.仕事を断っちゃうと次に仕事がなくなりそうで不安。うまい断り方ってある?
A.断る方向性にもよるが、きちんと正直に理由を伝えること。ちゃんと仕事してれば仕事はまた来る。
ーーせっかく来た仕事を断ることがあるのですが、次に声をかけてもらえなくなるのでは、と不安になります。うまい断り方があれば教えてください。
さいとう先生
これは僕も非常に悩ましいところではありますね。断ると次に仕事が来ないんじゃないかと不安になる気持ちもすごくわかります。
だけど、きちんと仕事できる人なら次の仕事はきっと来ます。ここで大切なのは、どういう理由で断りたいのかをはっきりさせることです。
断りたい場合って、大きく分けて2つあると思うんです。
- 「要件やスケジュールの都合で今回は断りたい(だけど次あったらやりたい)」
- 「担当者とちょっと反りがあわないからこれきりにしたい」
次があったらやりたいという場合は、必ずきちんと返信しましょう。そのときはスケジュールや商材、金額などちゃんとウソをつかずに正直に理由を伝えたほうがいいです。そのほうが先方も納得してくれて、別のタイミングでまた声かけをしてくれるはずです。
これきりにしたい、という場合はきちんとした返信をしなくてもいいと思います。
いいものをちゃんと作っていたら、たとえ断っても仕事はまた来ますし、なんかやりたくないことは断っちゃえばいいんじゃないかと。僕は、30代後半にしてようやく割り切れました(笑)。
第1回 イラストを仕事にしたい人が「用意すべきモノ」
第2回「イラストレーターはどうやって営業すればいい?」
第3回「イラストで初めて仕事をもらったときにどうすればいいか」
第4回「イラストで収入を増やすにはどうしたらいいか」
第5回「イラストの人気ジャンルって?」
第6回「イラスト全般についての疑問解消Q&A」(この記事)
執筆神田匠(Twitter:@gogonocoda)
イラストきびのあやとら(Twitter:@kibinoayatra)
編集斎藤充博(Twitter:@3216)