こんにちは! GENSEKIマガジン編集部です。
以前の記事で『クリエイター全力応援コンテスト』第1回「ドラゴン限定!国を滅ぼす暗黒ドラゴンイラコン」オンライン講評会をレポートしました。
この講評会ではイラコン応募者のみなさんに質問を募り、タカヤマ先生にお答えていただくQ&Aの時間がありました。その内容を「タカヤマ先生Q&A」として再構成し、全7回の連載としてお届けします。
第1回「かっこいいモンスターの描き方を教えてください」(この記事)
第2回「迫力のある構図や魅力的なデザインはどこから生まれるのですか?」
第3回「どんなふうに色を選んでいますか?」
第4回「どんなツールで絵を描いていますか?」
第5回「いろいろな画風で描くべきでしょうか? 自分の画風を貫くべきでしょうか?」
第6回「企業にイラストの営業をかけることは可能でしょうか」
第7回「影響を受けたイラストレーターは誰ですか?」
タカヤマトシアキ(Twitter/WEB)
デュエル・マスターズ、ヴァンガードなど様々なトレーディングカードゲーム(以下TCG)でメイン・パッケージイラストを手掛けるイラストレーター。クリーチャーやメカニック、リアル系まで幅広い画風をもつ。
Q.かっこいいモンスターの描き方を教えてください。
私のやり方ですが、まずそのモンスターの「強さ」「属性」「性格」「性別」「+アルファ」といった特徴を考えます。描く前に設定をしっかり決めておくのが大切です。
単なるセリフみたいなものではなく、「自分はどういうものが描きたいか」しっかり把握できる設定を書き出して、それにあう資料を集め、描画に繋げます。
具体的には、まずモンスターのレベルを「弱・中・強」で決めます。たとえば、描くものが「ドラゴン」なら……
- 弱→そんなに大きくなくてシンプルなドラゴン
- 中→体も角も大きくなって羽も派手になる。弱で赤いドラゴンなら赤+差し色で1色増やす
- 強→さらに体も大きくなり羽が4枚、腕が4本、ツノが大きくなる、鎧を着込んでいるなど、弱、中にはないパーツや要素を付け足しパワーアップ
という感じです。(「クリーチャー・人外イラコンレポート」で図解)
同時に闇、光、火、水などの属性も決める。そうすると色や形、スケール感が決まります。
性格は温厚か攻撃的か、性別が雌型ならウエストがくびれて女性っぽい目付きをしているなど、特徴からもデザインを考えることができます。
<例>
光属性のドラゴン・最強クラス・性格は高慢
→素早い
→スピードが出る=細身のシルエット
→武器を持たせるなら細身の剣、槍
→スピード感を表現するなら色は白+青系
→青+白でさし色は黄色
装飾や装備はデザインの特徴や様式で決めます。和洋東西、ギリシャ風、中国風、ゴシック調、和風などのデザインが一通りわかる資料を用意しましょう。模様のパターンや格子の様式、武器の様式、生き物のカラーリングなども資料や頭の中でストックしておくといいですね。
こうして自分の中にデザインの引き出しができると、「今回はギリシャ風で行こう」「この性格ならケルト風のデザインがよさそう」と、性格や背景によりマッチしたデザインができるようになります。
Q.モンスターやキャラクターの世界観はどう考えていますか?
仕事の場合はすでに世界観が決定していて仕様書にあわせて描くので、考える必要はないことが多いですね。オリジナルで描くときも「こういうかっこいい絵が描けないかな」からスタートするので、世界観はあまり考えないことが多いです。
Q.キャラクターの魅力を出すために工夫されていることは何ですか?
しっかりキャラクターの特色を踏まえて描くことと、そのキャラクターにあったライティングやポージングで描くことです。
暗黒系ドラゴンなら、アオリ構図にして下からライトを当て、不気味な感じにする。そうすると少なくとも正義のヒーローには見えないですよね。
「このキャラクターを描くなら、この構図だとかっこよさが出ない」とか「このライティングだとあまり性格が出ないな」と考えることもできます。
デザイン自体のかっこよさもありますが、「そのデザインをより高める」ライティングやポーズがあると思って、描いています。
Q.コンテスト選考で、審査員の方はどういったところを見ているのか教えてください。
応募総数が多い場合、まずサムネイルを見て選びますので、サムネ映えは重要です。パッと見ただけで何が描いてあるかわかり、かっこよさが伝わる構図で、さらに拡大してもしっかり描き込まれていて、クオリティも高くかっこいい、という流れがいいですね。
ぱっと見は地味でサムネ映えしないが、細部まで描き込まれて味わい深い感じのイラストは、コンテストに応募するのには向いてないかもしれません。せっかくの高いクオリティもパッと見の印象が弱いと、応募総数が多い場合は目につきにくくなってしまうからです。
この点は仕事も同じです。企業がイラストレーターを探すときも、まずパッと見た印象で選ぶことが多いはずです。ピックアップに残ることを意識して画面を作ったり、ライティングを考えたりするのは重要だと思います。
あと、選考中に感じた個人的な余談ですが、プロを目指す方は、ペンネームを一発で読めるわかりやすいものにするといいですね。仕事に直接的に関係があるかと言われれば、あまり関係はないかもしれませんが、さっと読めた方がクライアントとのやり取りもスムーズです。
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タカヤマ先生のQ&Aインタビュー、いかがだったでしょうか? 連載は続きますので、どうぞお楽しみに!
第1回「かっこいいモンスターの描き方を教えてください」(この記事)
第2回「迫力のある構図や魅力的なデザインはどこから生まれるのですか?」
第3回「どんなふうに色を選んでいますか?」
第4回「どんなツールで絵を描いていますか?」
第5回「いろいろな画風で描くべきでしょうか? 自分の画風を貫くべきでしょうか?」
第6回「企業にイラストの営業をかけることは可能でしょうか」
第7回「影響を受けたイラストレーターは誰ですか?」
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▼タカヤマトシアキ先生
▼コンテスト協賛
・株式会社ワコム
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全世界150以上の国と地域で、映画制作や工業デザインのスタジオ、デザイナー、マンガ家などのプロクリエイターから、趣味でイラストや写真加工を楽しまれる方まで幅広くご愛用いただいています。
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編集
坂本彬
GENSEKIマガジンの編集 / ライティング・マーケティングを担当。