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撮影の前に手元にある素材を集めよう【藤原麻里菜のホントにゼロから始める動画制作】#2

 

YouTubeチャンネル「無駄づくり」の藤原麻里菜さんが、まったくの初心者に向けて動画作成のやり方を教えてくれる連載です。今回のテーマは「撮影をする」。「素材は何でもいいのだ」と藤原さんは語ってくれました。

執筆・イラスト藤原麻里菜
(X:@muda_zukuri/YouTube:無駄づくり
無駄な工作を作るYouTubeチャンネル「無駄づくり」を運営。Forbesの「世界を変える30歳未満の30歳」にも選出される。著書に『考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71』(ダイヤモンド社)『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(オライリー・ジャパン)など。

編集するための素材を集めよう

まず、動画作りには、編集する”素材”が必要になります。彫刻でいうと、木や粘土などになりますね。なんで彫刻で例えたのかはわかりません。

素材はなんでもいいんです。スマホのカメラで撮った猫の動画。友達との写真でも。「えー写真?」「動画作るのに写真?」と思われるかもしれませんが、写真をスライドショーみたいにして動画にすることも可能です。たまに視聴者投稿の写真をスライドショーにしているCMとかありますよね。そんな感じです。

絵を描くのが好きな人は、2枚くらいイラストを書いて、それを交互に貼り付ければ、アニメになります。つまりは、パソコン上で見られる動画・画像データはなんでも素材になっちゃいます。

自分が撮影したものや描いたものじゃなくても大丈夫です。といっても、他の人がSNSにアップしている動画やイラストを勝手に拝借するのは違法なので、「フリー素材サイト」を活用していきましょう。
イラストや写真のフリー素材サイトはおなじみかもしれませんが、もちろん動画にもフリー素材のサイトはあります。

私のおすすめはPixabay。海外の迫力のある素材がたくさんあっておもしろいです。また、有料になってしまいますが、Pixtaもよく使います。素材が単品で購入できて、サイズも選べるので重宝しています。フリー素材サイトを使うときは、利用規約を読むようにしましょう。クレジットを入れたら使ってOK、商用利用はNGなど細かく決まっている場合が多いです。

「動画を作る」というと、わざわざ外に出向いて素材を撮りに行ったり、家の中でもなにかをやらないといけないイメージがありますが、フリー素材のサイトや今もっている素材をかき集めれば、次のステップである「編集」に進むことができます。まずは、とりあえずやってみることが大切なので、いったん持ってる素材で編集してみましょう!

とはいっても、カメラでどうしても素材を撮らなきゃいけないんだ! という人もいると思います。次は、カメラで撮影するときの注意点についてお話します。

 

まずはスマホのカメラから始めよう

私は一眼レフを使って撮影しています。でも、正直、スマホのカメラでも十分だなあと思うこともあります。なんで一眼レフを使っているかを改めて考えたところ、特に理由はなく、なんとなく使ってるなあという結論に至りました。なんかさあ、名前がかっこいいじゃん。一眼レフ! って。漢字とカタカナがまじってるところとか。

また、YouTuberさんなどがよく使っているミラーレスカメラもあります。私はカメラに詳しくないので、もっと詳細を知りたい人は調べてもらうとして、私の所感としては、ミラーレスカメラのほうが初心者には撮影しやすかったり、扱いやすい印象です。また、一眼レフは重いですが、ミラーレスカメラはいわゆるコンデジみたいに軽くて持ち運びやすいです。

撮りたい動画にもよりますが、最初はスマホから始めて、物足りなくなってきたらミラーレスカメラ。それに物足りなくなってきたら一眼レフ。と、レベルアップさせていくのがいいのではないかなあと思っています。

ちなみに、私の初めての動画はiPadで撮影しました。10年前のiPadなので、超・画質が悪いです。それでも、最初の一歩としては上出来だと思います。何かを始めるときは、とにかくコストをかけずに始めるのが続けるコツだと思っているからです。

たしかに、最初にどばっと高いカメラを買ったほうが、「せっかく買ったんだし……」と、動画制作がやる気になるかもしれません。でも、そんなのまやかしです。私はさんざん、最初にコストをかけて、途中でやめる、ということを繰り返してきました。英会話教室。ミシン。中国語教室。ジム……。

まずは、低コストで始めて、それを繰り返して、楽しくなってきた頃にレベルアップしていくのがいいと思います。

 

スマホで撮るときの注意点

では、動画をスマホで撮るときの注意点についてお話します。まずは、「手ブレを許さないこと」です。

スマホで撮影された動画をたまにYouTubeやSNSで見るのですが、手ブレがひどい動画は本当に見てられません。スマホには手ブレ補正が入っている機種も多いですが、それでも人が手で持つと、どうしても手ブレは起きます。

どんだけ「俺、動かないの得意だから」と言っている人でも、必ず震えてます。快適な動画を作るためにも、「手ブレ、許すまじ」でいきましょう。

そのために三脚を使いましょう。スマホ用の三脚は100円ショップでも売っていますし、amazonや楽天などでも購入可能です。これがあれば、両手が空いて、いろんなことができますね。

手持ちで撮りたいという人は、スマホ用の「ジンバル」を買ってみるのをおすすめします。ジンバルは、ぬるぬる動く手持ちの脚で、手ブレをぬるぬると回避してくれます。特に歩きながら動画を撮りたい人におすすめです。4,000円〜1万円くらいで購入できそうです。

少し編集の話になってしまうのですが、手持ちで撮った動画素材→三脚で撮った手ブレのない動画素材→手持ち……とカット割を繰り返すことで、見ていて快適な動画も作れますので、手持ちがすべて悪というわけではないです。歩きながら動画を撮ったり、手持ちじゃないと撮れない動画もあると思うので、そこは臨機応変にいきましょう!

 

外で撮影するときの注意点

外で撮影をしたい! と思っている人も多いかもしれません。しかし、外で撮影するときは許可取りや、他の人への配慮など、いろんな関門が待っています。

この世界は俺のものだ! と思っている人、残念ながらこの世界はいろんな組織によって管理されております。なので、公園で撮影をしたい場合は、その公園が撮影しても大丈夫かを事前にホームページなどで調べてみましょう。

有名なところだと、渋谷にある代々木公園は、実は撮影するのに許可が必要です。風景写真や記念写真などは許可がなくても大丈夫ですが、一定時間場所を占有する撮影においては、事前に許可を取り、料金を払わなくてはいけません。そのため、三脚を使用するような撮影は許可が必要です(編集注:詳しくは公式のホームページを参照してください)。

また、街中で撮影する場合も、他の人の映りこみなどに配慮しながら撮影しましょう。みんなはやらないと思いますが、知らない人や映りたくない人を無理に映すことは絶対にやめましょう。

 

部屋で撮影するときの注意点

家の中で撮影するときも、注意が必要です。これはシンプルに「見られたら嫌なものが映ってないか」を考えてください。例えば、家の住所がわかるもの(amazonの箱とか窓の景色など)などが映ってしまったら、個人情報の特定につながりますし、危険なので、気をつけましょう。

私個人の好みとしては散らかってる部屋とかで撮影されているものが好きですが、最初はシンプルな壁際で撮影をしたり、部屋を片付けて撮影をするのがいいと思います。

 

画角を調整しよう

撮影するときに大切なのは画角ですね。これも、第一前提としては「真ん中」を意識しておけば大丈夫です。なにがあっても、真ん中。とりあえず真ん中。それか中心から右か左。とにかく真ん中に線を引いて、そこに当てはめるように被写体を置きましょう。

画角の勉強になるのは、MV(ミュージックビデオ)などプロが撮影した動画です。どんな画角で撮るときれいか、自分なりに研究してみるのもおもしろいかもしれません。

 

素材はなんでもいいのだ

今回は撮影、素材について講義をしてみました。冒頭にも言ったとおり、編集を始める第一歩としては素材はなんでもいいのです。公園に行って、スマホでのんびり撮影をしてもいいですし、おうちの中で、通販で届いた物の開封動画を撮ってもいいですね。普段の料理の風景を撮るのもいいかもしれません。

前回、コンテンツについてお話しましたが、ちょっと準備が大変なコンテンツを思いついた方も多いと思います。そんな方はアップロードのことは考えず、とりあえず編集のステップに進むために、スマホにある動画を見返して、素材を集めてみてください。

次回は、いよいよ編集についてお話します。お楽しみに〜!


 

執筆・イラスト藤原麻里菜(X:@muda_zukuri/YouTube:無駄づくり

編集斎藤充博(X:@3216WebGENSEKI